日曜日は午後から沖縄市郷土博物館へ。現在開催されている企画展「沖縄市の自然 やんばるの入り口」のサイドイベントとなるジョイントトークイベントに行ってきました。
今回のトークイベントでは、沖縄市郷土博物館学芸員の刀禰浩一さんと沖縄市を研究フィールドにしている沖縄科学技術大学院大学(OIST)の吉村正志さんが講演を行い、その後に会場からの質問に答えていく流れとなっていました。
刀禰さんの「なぜ沖縄市がやんばるの入り口なのか?」というテーマのお話はとても興味深く、沖縄市への印象が変わるほどでした。勉強不足なせいもあり、沖縄市の自然環境といえば「泡瀬干潟」がパッと思いつくくらいだったのですが、陸上の自然もすばらしく貴重なものだったんですね。
ちょっとだけネタバレすると、沖縄市北部の地質はやんばる地域と同じ名護層と呼ばれる地層が分布しているため、そこにはやんばる地域と共通する動植物が生息しています。イタジイ林やヒカゲヘゴ、オオシマトラフハナムグリ、コノハチョウ、イボイモリなどなど、やんばるで見られる生き物が多く生息しているそうです。なんだかやんばるが近くに感じてきますね。
OISTの吉村さんは沖縄本島全域で行われているOKEON(Okinawa Environmental Observation Network)美ら森プロジェクトの紹介と「市民科学」の重要性についてお話していました。研究者にとって市民の皆さんが味方になることは心強いどころか、データ・標本の収集や解析など実務的にも大変重要であると熱がこもっていました。研究者だけでは広い範囲での定期的なデータ収集はとても難しいので、市民の皆さんの手を借りたい場合もあるのです。
講演後にも少しお話させていただきましたが、研究プロジェクトに対して単純にFacebookでいいね!したり、Twitterでリツイートしてくれるだけでも十分支援になり得るとのことでした。それだけ反響があればマスメディアが取り上げてくれるし、それによりさらに広くプロジェクトの意義を周知することができる、と。近年では研究費を広く一般から募るクラウドファウンディングで調達する研究者もいますしね。
現在は博物館や行政、県内の高校と連携してプロジェクトを進めているそうです。そういった研究プロジェクトを進めるためのシステムに関するお話もとても興味深かったです。
来場者からは、ドングリやクワガタの採集のコツから博物館の役割とは?、人と自然が共存するための課題とは?といった難しいけど重要な質問がなされ、お二人がそれに答えてくれました。
そんな感じで大盛況の中、トークイベントは終了。
トークイベント後には企画展に合わせて制作された冊子を手に入れていざ企画展示へ!と思ったらいろいろと話し込んでしまい時間切れ。また次の機会にゆっくり見に行くことにします。
沖縄市郷土博物館は入場無料となっているのでぜひ一度足を運んでみてください。企画展には上で触れたOKEON 美ら森プロジェクトのコーナーもありましたよ!
(仲栄真)