台風18号、すごい威力だったようですね。
「ようですね」というのは、今回は実際にその猛威を体験することはなかったので。
台風18号は最盛時に905hPa(!)という猛烈な勢力にも関わらずたいへんコンパクトな台風だったため、沖縄本島の真横を通り過ぎた(久米島を直撃)にも関わらず本島はそれほど無茶苦茶な大荒れにはなりませんでした。久米島在住の皆様におかれましては、一刻も早く生活が元通りになることを祈っております。
さて、台風が通り過ぎた後は海岸が気になるもの。
台風による波が外洋から、普段は流れ着かない「思わぬ土産」を浜に届けてくれることがあるからです(※必ず、絶対に、波がおさまったのを確認してから出かけるようにして下さいね!!)。
というわけで台風通過の翌々日、(就業時間中にもかかわらず)那覇の事務所からほど近い瀬長島に行ってまいりました。
島に向かって右側の北岸から
こちらは新しい滑走路が海上にできて、外洋の波があまり入らなくなっている模様。
大量に打ち上げられていたのはカイメンソウ。
生きている時は深緑色をしています。海綿(単骨海綿目のカイメン)と紅藻類が共生してこのような枝状の体を作ると考えられています。カイメンソウの体をつくっているカイメンと紅藻、どちらも単独では自然界で生きられない…という不思議な生物。
ハマササゲ(マメ科)の黄色い花が咲いていました。
北岸はあまり目ぼしい打ち上がりはナシ。
というわけで、南岸の方へ
ビーチでの捜し物に熱中して俯いている人、傍目にはなんだかちょっとネクラに見えます(もちろん僕もです)。
台風で千切れた海藻や流されてきた葉っぱなどが、高潮線に沿って延々と打ち上げられています。
こちらは台風のときの打ち上げ。高潮線よりさらに上(陸より)に並んでいます。
砂浜の上にはこんな足跡がたくさん。
足跡の正体はオカヤドカリ。
海岸に打ち上がった海藻や生き物の死体を餌にしています(写真に写っているのはノコギリガザミ類のハサミ)。普段からたくさん見られますが、この日は打ち上げゴミの中に餌がたくさんあったためか、昼間から多く出歩いていた印象を受けました。
こちらはオキナワヤマタニシ(陸産の貝類)の殻を背負ったオカヤドカリ。瀬長島にも恐らくたくさん生息しているのでしょう。
ラッパモクという海藻(褐藻)の仲間。
海草類もたくさん打ち上げられていました。このあたりの海中にかなり大規模な海草藻場があるのかもしれません。
というわけで、「打ち上がり」はいつもより多かったものの、あまり目ぼしいものは発見できませんでした。
砂浜と道路の境目あたりに生えるオオハマボウ(ユウナ)の樹。オオハマボウは海岸にも多く生える植物ですが、さすがに台風の波の直撃はダメージが大きいのでしょう。
こんな感じで、下の方の葉はすべて落ちるか枯れるかしていました。
クサトベラの樹も相当なダメージだったようですね。
グンバイヒルガオ。丈の低い植物はこのように砂に埋もれてしまうというリスクもあります。
それでも枯死してしまわないあたりはさすが海岸植物です。内陸の植物の中には、台風の影響で塩分を含んだ雨が降っただけで枯れてしまうものも多くあります。
というわけで、残念ながら大きな収穫もないまま海岸を後にしました。
場所が悪かったのかな、とも思いましたが、今回は台風の風向きがイマイチだったらしく、中部や北部まで台風後のビーチコーミングに出かけた他の友人数名からも「大した収穫はなかった」とボヤいておりました。
波の高い時に行かない、というのが大鉄則ですが、台風後のビーチコーミングは運がいいといろいろ面白い「打ち上がり」を見られるのでオススメです。