このたび、第8弾となるモニターツアー(10月19日水曜実施)の下見に、具志頭遊歩道(ホロホローの森)に行ってきました。
まずは具志頭体育館からちょっと降りたところにある場所に寄り道。
この道、上を通るだけでは何てことない道なんですが…
横から見るとこの通り。天然の石灰岩の橋になってます!どうやってこの形になったのでしょう。詳しくは当日…!
近くではヤンバルアカメガシワが実をつけていました。「ヤンバル」という名がついていますが沖縄本島の中南部にも先島にもたくさんあります。アカメガシワ同様、新芽が赤くなります。ちなみに赤くなった新芽は、冬〜春くらいに行けば見られます。
オオムラサキシキブの花。花とともに下の方にちょこっとm晩秋にはこんな感じに実が鮮やかな紫に色づきます。
さて、それでは遊歩道に入って参りましょう。
まず森に入って目に入るのが、複雑怪奇な形に侵食された石灰岩とそこに絡みつくガジュマルやハマイヌビワの根っこ。
大きく切り立った石灰岩の崖からは、上に生えているガジュマルから出た気根が垂れています。
植物の体は「シュート(茎+葉)」とルート「根」とに大別でき、基本的にシュートは地上に、ルートは地下にあります。気根はルートが地上にある、という例外のひとつ。
このひょろ長い気根も、地上につくと一気に太くなりはじめるそうです。こうなると手で動かすのも困難なほどの太さと強度になります。
石灰岩の上の植物群。サタソウ、オニヤブソテツ、タイワンクズ、キダチハマグルマ、ホウビカンジュなど。
この辺りに生育する植物のかなりの種類が、土がほとんど、もしくは全く無くても根を下ろして発芽し、育つことができます。
この向こうが明るいのは森が途切れて開けているからなのですが、向こう側が見えません。
これは、このような「マント群落」と呼ばれるつる性植物でできたシートに覆われているからです。ハート型の葉はノアサガオ。
他にもアマチャヅルや、
ミツバビンボウカズラ
キダチハマグルマ、などがマント群落を構成しています。
このマント群落には、森の外側を覆うことで水の蒸発を抑え、森全体を保湿する働きがあります。
ふと頭上を見ると、ハマイヌビワの葉裏にナナホシキンカメムシ。カメムシなので無理矢理つかむとカメムシ臭を出します。
マメ科のクロヨナの、淡いマゼンダの花が満開でした。
マメ科特有の蝶形花。高いところに咲いている場合が多いのですが、いくつか目の高さに咲いている場所も見つけておきました。ただ、この台風でかなり散ってしまうことが予想されます。
大きな樹の下には、この通り花がたくさん散っていました。
マメ科なので、当然マメがなります。
昨年落ちたマメはこんな感じに発芽していました。ちなみに樹木の芽生えのことを「実生(みしょう)」と呼びます。
こちらは同じマメ科のハカマカズラの実生。
ヤシの仲間のクロツグ。
写真ではサイズが分かりにくいですが、二抱えほどもあるシマタニワタリの大株(中央右)とホウビカンジュ(左)。
道の頭上を横切るガジュマル。ガジュマルやハマイヌビワは、他の植物の影の下に入ってしまうと伸びる方向を変え、日照を求めて「逃げる」そうです。
で、逃げた先で手をつくように気根を下ろしていくので、森の中を比喩でなく「歩く」(ただし長い時間をかけて)んだそうです。
トウヅルモドキ。
葉の先端がこんな感じで巻いていて、ここで他の植物に絡みついていきます。
上っては垂れて、を繰り返すとときにものすごい密度になります。上の写真では右上〜中央の黒っぽい塊が全部トウヅルモドキです。こうなると光を通さなくなり、しまいには覆いかぶさられた植物は光が届かなくなり、枯れてしまいます。
ノカラムシの花。
目立ちにくい大変小さな花です。
ちょこっと海が見える所に出て、
切通しチックになった場所を通って、
駐車場まで降りてきました!ちょっとしつこく見すぎまして、ここまで3時間強。当日はもうちょっと短縮します。
駐車場脇に咲いていたアマクサギの花。クサギの仲間なので、花の作りがイボタクサギ(海岸やマングローブに多い)などと似ています。
最後に少し、当日使うかは分かりませんが海岸の方にも寄ってみました。いま来た遊歩道を戻って海側へ抜ける…のはしんどいので、車で海岸側の駐車場へ。
こちらもなかなか面白い地形。隆起サンゴ礁が侵食されていく時にここだけ残ったのでしょうね。基部は波でかなり抉られてノッチになっています。
グンバイヒルガオが花盛りでした。カンカン照りの砂浜に緑のじゅうたんを広げたように生育します。
ハリツルマサキ。目立ちにくいですが、こちらも小さな花を咲かせています。
ハリツルマサキは街中にもたくさんありますが、海岸のものは街中のものに比べて、和名にふさわしく棘だらけです。
…という感じで今回は終了。現場でこの季節にお見せできるものはだいたい把握したので、あとはどうやって「植物学」を身近な体験と結びつけて伝え、皆様に楽しんでいただけるか…を画策中です!