県立博物館での講演「沖縄の土を知って、これからの環境を考える」を聴いて来ました!

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少し時間が空いてしまいましたが、10月15日に県立博物館で催された土壌学者、金城和俊先生による講演会を聴きに行ってきましたのでその様子をレポートします。

まず驚いたのが、金城先生が持ち込んだ土壌の標本。地表から地下1.5mくらいまでの地層がスライスされて、薄い布に貼り付けられています。

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金城先生にどうやって作るのかお聞きしましたが、まず土壌を掘り進めて断面をつくり、そこに樹脂を浸透させて布を貼り付け、固化させてから剥がす、とのことです。何日もかかるそうで、雨が降ったりしたら一筋縄では行かなそうです。

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休み時間に近寄って見学できました。触ってもOKとのこと!

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土壌学とは?

土壌学というのは「地質学」とも微妙に違っていて、土壌を構成する成分や鉱物などの分析や比較に加え、土壌にかかわる生物の働きについての研究というニュアンスも加味されているそうです。

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気候帯によって分布する土壌は異なっており、沖縄を含む亜熱帯地域は「赤黄色土」と呼ばれる土壌が大きな割合を占めるそうです。

ちなみに全世界の土壌を陸地のエリアに均一な厚さになるように均すと、なんと平均18cmの深さしかないそうです。作物となる植物が健全に育つための土壌の深さが最低30cmと言われているので、いかに土壌が貴重であるか分かります。

土壌学ってどんなことをするの?

これは僕も興味ありました。

土壌はふつうは地表の浅いところにしかないので、重機を使って掘るようなことは稀だそうです。で、スコップを使っておよそ0.7t(!)の土を掘り出して人が中でしゃがめる穴を堀り、その穴の断面から土壌の様子を観察するそうです。沖縄の土は大変硬く、この大きさの穴を掘るのにがんばっても40-60分かかるとのこと。体力勝負な研究ですね。

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沖縄の土壌について

沖縄には、主に下記のような土壌が分布しているそうです。

  • 国頭マージ (赤黄色土)

一番多い 非常に年代的には古い→有機物が少なく、強い酸性 バラバラになりやすい。千枚岩、粘板岩、砂岩などが母材

  • 島尻マージ (暗赤色土)

海岸沿いに分布透水性が高い(根菜類の栽培に適する 人参の栽培に向いた津堅島もこれ)。母材としては国頭マージとほぼ同じ。水はけが良すぎるのでジャーガルをブレンドして土質改良をしている。風成塵(黄砂)が過去には(7万〜1万)大量に飛んできたと考えられ、これが島尻マージの生成のもとになったのでは?と考えられている

  • ジャーガル(灰色)

中南部、浜比嘉くらいまで。泥岩(クチャ)が母材。水はけがめちゃくちゃ悪い(スメクタイトを含む)※北部の灰色の土は酸性硫酸塩土壌といって性質が異なり、農作物には全く使えない

  • 沖積土壌

土壌の世界にも、開発などの影響によりほとんど見られなくなった土壌があり、「日本ペドロジー学会」により「レッドデータ土壌」なるものが制定されているそうです。沖縄本島では、森林が残っている場所のジャーガル地帯(県南部)が非常に貴重で、「絶滅危惧土壌」に指定されています。

赤土流出について

今回、このテーマを聞きたくて講演を聴きにきた参加者も多いのではないかと思います。

沖縄本島の赤土、国頭マージは、露出した(草などに覆われていない)状態、とくに露出して斜面になっている場所に雨が降った場合、土の団粒構造が崩れて流れてしまうということです。土の中に含まれている有機物は「ツナギ」の役割を果たすのですが、国頭マージには有機物が非常に少ないため、容易に粒がバラバラになって「濁流」となってしまうそうです。

赤土流出の原因とその対策についてはよく研究され十分なノウハウがあるそうです。具体的には土壌表面が裸地にならないよう植物を植える、勾配を修正する、など。これらの対策は現在では大きな工事の場合よく行われており、沖縄本島で現在流出の主因になっているのは農業用地からの流出である、ということでした。しかしその対策やコストを農家に丸投げするのではなく、行政の力で補助をしながら対策をすすめることが重要だということを非常に強調しておられました。

土壌と人の関わり

今回金城先生が結びで話されたのは、土壌と人類文明のお話。人類の四代文明はいずれも大河のほとり、作物を育てるための土壌が非常に栄養豊かな地域で始まりましたが、文明の荒廃や滅亡にも作物を育てる土壌の劣化が非常に大きく関わっていたのではないか、というお話でした。

土壌の汚染や流出は、なにも沖縄だけの問題ではありません。現在、土壌生成量は1t/ha/yrで、その5-30倍の土壌が侵食により失われて行っているそうです。平均で18cmの厚さしかない貴重な土壌が、です。

講演を聴いて

普段、フィールドで生き物を観察したり撮影したりするため土の上に這いつくばることはあっても、土壌というものに強い関心を寄せたことはあまりありませんでしたが、今回の講演を聴いて少し道端にある土についても「どこら来たのか…?」など今興味が湧くようにあんりました。

また、改めて人間の文明は自然のシステムに生かされているなぁという実感を持ちました。

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