4月20日、学習院高等科の修学旅行の「亜熱帯の森コース」のガイドを担当させていただきましたので、そのときのお話を。
当日は少し雨まじりの霧のかかる天候だったのですが、楽しんでいただけました。
皆さん好奇心旺盛で、道すがら山の昆虫や植物について解説すると写真を撮ったり、触ったり。
登山道に入る前の道ではセンダンの花が満開でした。
こちらはリュウキュウコンテリギ。アジサイのような装飾花はありませんが、アジサイの仲間。沖縄本島の北部「やんばる」に固有な植物です。
こちらはリュウキュウハナイカダ。葉の真ん中から花が咲く変わった植物です。葉の柄と花の柄が途中まで融合することで、こんな奇妙な形になっています。
そして意外と人気だった生き物が…
アワフキムシ。山中でこんな泡を見つけたら、誰かが吐いたツバではありません。アワフキムシの幼虫の巣です。
アワフキムシはセミやウンカに近い昆虫の仲間で、幼虫時代にお尻から出る水分と分泌物(アンモニウム石鹸)でこんな泡を作り出します。
泡なんて隠れ家としていかにも頼りなさそうですが、昆虫はふつう気門と呼ばれているお腹の穴を泡でふさがれてしまうと窒息死してしまうため、泡はきわめて有効な防御になります。
このとき撮られていたカタツムリはこちら。
シュリケマイマイという、殻の外周に毛が生えた平べったいカタツムリの仲間。いつも岩の上にいて、葉っぱの上や木の幹で見つかることはまずありません。
生徒さんの中にはデザイン専攻の方もいるそうで、自然の造形の面白さにとても敏感に反応してくれていました。
見晴らしのいい尾根に出ましたが、天気はいまいち。晴れた日ならここから海が一望できるのですが…
海側の景色がパッとしないので山をバックにパチリ。
こちらはもう1班のグループ。
ここでやんばるの自然の固有性についても解説。奄美〜沖縄本島〜八重山は温帯と熱帯のはざまに位置します。このような緯度の地域を地球上で探すと乾燥地帯がほとんどで、沖縄のような湿潤な気候の場所は他にほとんどありません。
熱帯でも本州のような温帯でもなく、かつ雨の多い沖縄は、気候的に見ただけでもすでにとても特殊な場所なのです。
さらにそこに、中国大陸とつながったり離れたり、という地誌が関係してさまざまな固有な生物が進化し、生態系が育まれました。
つまりは、こんな天気の日があるからやんばるの森が豊かでいられるって事ですね。
視界がちょっとよろしくないので下山は慎重に。
アリドオシの花。派手さはないですが整った形のきれいな花です。
…というわけで下山し、まとめをして終了!
自然や生き物の話を興味を持って聞いてくれたのも良かったですが、造形やデザインといった僕らが普段あまり見ない視点から楽しんでいた生徒さんもいて、こちらもとても刺激を受けました。
都立農業高校の皆さん、引率の先生、添乗員さん、ありがとうございました!