沖縄科学技術教育研究会主催、キュリオス沖縄が協力させていただいている学校の先生向けのイベント「理科であそ部」が第4回を迎えました。今回はその様子をリポートします。
「理科であそ部」とは(Facebookページはこちら)
「理科であそ部」は、身近なところにひそむ科学を遊びながら学ぼうというコンセプトのもと、教員や科学教育に携わる人たちが集まって活動しています。自分の中の「科学の扉」が開けると、今まで見ていた世界と全く違った世界が見えてくるはず!教材や授業ネタを提供しあって、明日からの授業がレベルアップを目指します!
今回は、目に見えないだけに実感を伴って理解させるのが難しい単元「大気圧」について。
「大気圧はどのような方向に働いているか?」というテーマで、様々な実験をしていきます。学校の授業だと一度にやる実験は1つか、多くて2つか3つですが、この会では一挙に5つも6つも実験をやります。実験好きにはたまりません。
「勉強会」という雰囲気ではなく、どちらかと言うと「大人たちの休日の部活」って感じでした。ただ、講師の方々の実験の分かりやすさやインパクトの工夫については、毎回目を見張るものがあります。
道具はあまり特別なものは使用せず、百均かスーパー、悪くてホームセンターで手に入るものばかりだそうです。
特別な機器を使っているからそうなるんじゃない?と思われてしまうような「子供たちにとってのBlack Box」を作らないことを是としています。
平らな床に無造作に置くだけで、上からの大気圧により、取っ手を持って真上に持ち上げるのがほぼ不可能になります。
うそん!と思って持ち上げてみましが、微動だにせず。。
これが「マクデブルクの半球」ってやつです。理論上これを真っ向から引っ張って外すには数百キロの力が要ります(多分取っ手の接着かボウルが耐えられませんが)。
17世紀のドイツでオットー・フォン・ゲーリケという人物により行われた有名な実験ですが、当時はかなり大きな半球を作り、16頭の馬で左右から引っ張ってやっと外れたという記録が残っています。
宮崎も引っ張ってみましたが、マジで外れませんでした。外すときは胸に抱いて左右の半球に別々に上下から「えいやっ!」と力をかけるそうです。
炭酸飲料の入っていた耐圧のペットボトルにゴム栓をして自転車の空気入れでシュコシュコと空気を入れ加圧します。
おぉ、「ポン」という音とともにペットボトルの中が真っ白になった!
急な減圧で温度が低下し、空気中に溶けきれなくなった水蒸気が微小水のつぶ(=雲)になります。減圧→温度低下&飽和水蒸気量減少→凝結という自然界の雲ができる仕組みを擬似的に再現しています。
あ、よく間違いちゃいますが「水蒸気」は気体の状態の水で、目に見えません。目に見える「雲」や「やかんの湯気」は、液体の状態の細かい水のつぶです。
こういうのって、知識としては多くの大人が知っていることだと思いますが、大切なのは「体験して」「おどろいて」おくこと。上の缶の実験、空き缶が「ペコッ」って潰れるとこを想像した人、いません?
確かに!「ペコッ」と潰れると思っていましたが、明らかに「ペコッ」ではなかったです。実際は擬音化するなら「どばしゅッ!!!」という短い轟音とともに潰れてました。
学校で「大気圧」という単元に入るとき、その威力の凄まじさを感じる実験をやっておくと俄然、「なんでこうなるんだろ?」という疑問への誘導がしやすくなります。
というわけで、今回の「理科であそ部」もめちゃくちゃ楽しかったです。先生方にも大好評だった模様。佐藤さん、宮城さん、ありがとうございます!
(by 宮崎)