11月20日に、キュリオス沖縄で毎月行ってきたモニターツアーの第9回を実施しましたので報告します。
朝9:30、那覇市末吉公園の駐車場に集合。
当日は時々パラパラと雨が降る天候で、派手に濡れるようなことはなかったのですが、代わりにかなり蒸し暑く「冬どこ行った?」という感じの気候。
今回はお子様も2名参加です。大変ありがたいことに、業界の方にも来ていただけました。
駐車場のモモタマナの樹から定期的に実が落下して僕らや参加者の方の車に「ガン」「ゴン」と当たります。よく見るとオオコウモリの歯型がありますね。
それではGO!まずは駐車場入口の脇から高台に登っていきます。
ハマビワの花が咲いてました。これは雄株ですね。
参加者を差し置いてまずは観察です。
皆さん大変熱心でした。
さて、ずいずい登ってきます。
ナナホシキンカメムシ発見。葉の裏にはもっとびっしり集合してました。
興味津津ですが、カメムシ臭い…と触ろうとしません。
…あらら、寄生蜂にやられたんでしょうね。クロツバメというガの幼虫。卵を産み付けられて、体の中で孵化した幼虫が成長して体を食い破って出て、蛹になって飛び去った後と思われます。
…というお話をして参加者一同ドン引きの瞬間。
ちなみにクロツバメの幼虫は有毒なジャコウアゲハの幼虫に擬態して鳥の目を欺いていると考えられますが、もちろん寄生蜂にそんなの通用しません。
クロツバメ、成虫もいました。前ばねは烏の濡れ羽色、後ばねはさらに青の金属光沢が乗り、大変に美しいガです。クロツバメをはじめとしたマダラガの仲間は、ガにもかかわらず昼間活動します。
クサギ(アマクサギ)の花。
雄しべ、雌しべともにとても長いのが特徴。
クサギの花は雄しべが先に成熟し、その後雄しべがしおれると雌しべが成熟する…という仕組みで自家受粉を避けています。
実もついてました。
こちらはタカナタマメの花とマメ。濃くも上品なピンク色です。
「この花、マメ科の花として何かおかしくないですか?」との僕の問いかけに、「上下が逆さまなんじゃないでしょうか」
ドンピシャです。いやぁSさん、恐れ入りました。
タカナタマメやハマナタマメは花柄が反り返り、結果として普通のマメ科の花と上下逆に付きます。
そして子どもたちは生き物を見つけるのが天才的に速いです。
こちらはヘリグロヒメトカゲ。
落ち葉の堆積しているところに住んでいて、アリやシロアリを食べて暮らしています。手足がたいへん短いのが特徴。
その後、高台から降りてちょっと住宅街を進み、民家の脇にある道から末吉宮を目指します。
ナガマルコガネグモ。網にあるX字(半分しかなくてV字になってますが)の模様は「隠れ帯」と呼ばれていてクモが網を張った後に糸で編みつける模様です。
この隠れ帯の機能には諸説あり、外敵から身を隠すためだとか、クモが食べられないような大型の生き物がむやみに網に引っかかって壊さないようにとか、紫外線を反射して餌となる昆虫を引き寄せるとか言われていますがよく分かっていません。
他にもシークワーサーの葉を日に透かして油点を見たり…
迷蝶ルリウラナミシジミの後ばねを見つけてその美しさにみんなで関心したりしながら進みます。
おっ、これはクサカゲロウの仲間の幼虫。
クサカゲロウは幼虫の時期は肉食で、捕食した虫の残骸とか糞とかゴミとかを背負ってカムフラージュしながら歩いています。
おっ、こいつは…
指下板をチェック。明かりに集まってきて鳴くヤモリとは別の「ミナミヤモリ」という種類です。
ヤモリは、吸盤で壁などにくっついているワケではありません。この指下板にミクロの毛が密生していて、なんとその毛と壁の間に生じる分子間力(ファンデルワールス力)によって貼り付いているのです。
末吉宮も近くなってきた所で、コウシュウウヤク(イソヤマアオキ)という植物の上に…
じゃん!
アケビコノハの幼虫を発見。
どこがどうなっているか分かりにくいですが、茎にぶら下がった状態で右側が頭を中にして「くるん」と丸まっていて、左が足(尾脚)をグッと持ち上げている状態です。
平気なフリをしてましたが、僕の「イモムシ嫌いセンサー」のメーターを振り切る存在。これは参加者の皆さんにも衝撃的だったみたいですね。
さて、ここの景観を見せたかったのです。
大きなガジュマルがもともと付いていた岩から剥がれて地面に横たわっています(もちろん生きてます)。
参加者の皆さんからも「那覇じゃない…」「那覇じゃないよね」と口々につぶやいていました。
沖縄南部の典型的な植生が街中に残る、とても貴重な場所です。
最後に末吉宮の石段のところまで登って、
「ああ、やっぱり那覇だった」って言って、
時間も押していたので急いで戻りました。
かなり時間をオーバーしてしまい、参加者の皆様にはご迷惑をかけました。最初の高台のポイントも悪くはないですが、蛇足だったかもしれません。
お子様がいろいろな物に興味を持ってくれたのは本当に良かったです。
というわけで、参加して下さった皆様、ありがとうございました&大変お疲れ様でした!