台風18号通過後のビーチは…?

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台風18号、すごい威力だったようですね。

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日本気象株式会社のサイト「地球気」より

「ようですね」というのは、今回は実際にその猛威を体験することはなかったので。

台風18号は最盛時に905hPa(!)という猛烈な勢力にも関わらずたいへんコンパクトな台風だったため、沖縄本島の真横を通り過ぎた(久米島を直撃)にも関わらず本島はそれほど無茶苦茶な大荒れにはなりませんでした。久米島在住の皆様におかれましては、一刻も早く生活が元通りになることを祈っております。

さて、台風が通り過ぎた後は海岸が気になるもの。

台風による波が外洋から、普段は流れ着かない「思わぬ土産」を浜に届けてくれることがあるからです(※必ず、絶対に、波がおさまったのを確認してから出かけるようにして下さいね!!)。

というわけで台風通過の翌々日、(就業時間中にもかかわらず)那覇の事務所からほど近い瀬長島に行ってまいりました。

島に向かって右側の北岸から

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こちらは新しい滑走路が海上にできて、外洋の波があまり入らなくなっている模様。

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大量に打ち上げられていたのはカイメンソウ。

生きている時は深緑色をしています。海綿(単骨海綿目のカイメン)と紅藻類が共生してこのような枝状の体を作ると考えられています。カイメンソウの体をつくっているカイメンと紅藻、どちらも単独では自然界で生きられない…という不思議な生物。

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ハマササゲ(マメ科)の黄色い花が咲いていました。

北岸はあまり目ぼしい打ち上がりはナシ。

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瀬長名物、離発着する旅客機

というわけで、南岸の方へ

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ビーチでの捜し物に熱中して俯いている人、傍目にはなんだかちょっとネクラに見えます(もちろん僕もです)。

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台風で千切れた海藻や流されてきた葉っぱなどが、高潮線に沿って延々と打ち上げられています。

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こちらは台風のときの打ち上げ。高潮線よりさらに上(陸より)に並んでいます。

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砂浜の上にはこんな足跡がたくさん。

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足跡の正体はオカヤドカリ。

海岸に打ち上がった海藻や生き物の死体を餌にしています(写真に写っているのはノコギリガザミ類のハサミ)。普段からたくさん見られますが、この日は打ち上げゴミの中に餌がたくさんあったためか、昼間から多く出歩いていた印象を受けました。

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こちらはオキナワヤマタニシ(陸産の貝類)の殻を背負ったオカヤドカリ。瀬長島にも恐らくたくさん生息しているのでしょう。

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ラッパモクという海藻(褐藻)の仲間。

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海草類もたくさん打ち上げられていました。このあたりの海中にかなり大規模な海草藻場があるのかもしれません。

というわけで、「打ち上がり」はいつもより多かったものの、あまり目ぼしいものは発見できませんでした。

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砂浜と道路の境目あたりに生えるオオハマボウ(ユウナ)の樹。オオハマボウは海岸にも多く生える植物ですが、さすがに台風の波の直撃はダメージが大きいのでしょう。

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こんな感じで、下の方の葉はすべて落ちるか枯れるかしていました。

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クサトベラの樹も相当なダメージだったようですね。

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グンバイヒルガオ。丈の低い植物はこのように砂に埋もれてしまうというリスクもあります。

それでも枯死してしまわないあたりはさすが海岸植物です。内陸の植物の中には、台風の影響で塩分を含んだ雨が降っただけで枯れてしまうものも多くあります。

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というわけで、残念ながら大きな収穫もないまま海岸を後にしました。

場所が悪かったのかな、とも思いましたが、今回は台風の風向きがイマイチだったらしく、中部や北部まで台風後のビーチコーミングに出かけた他の友人数名からも「大した収穫はなかった」とボヤいておりました。

波の高い時に行かない、というのが大鉄則ですが、台風後のビーチコーミングは運がいいといろいろ面白い「打ち上がり」を見られるのでオススメです。

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具志頭の遊歩道の下見に行って来ました!

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このたび、第8弾となるモニターツアー(10月19日水曜実施)の下見に、具志頭遊歩道(ホロホローの森)に行ってきました。

まずは具志頭体育館からちょっと降りたところにある場所に寄り道。

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この道、上を通るだけでは何てことない道なんですが…

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横から見るとこの通り。天然の石灰岩の橋になってます!どうやってこの形になったのでしょう。詳しくは当日…!

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近くではヤンバルアカメガシワが実をつけていました。「ヤンバル」という名がついていますが沖縄本島の中南部にも先島にもたくさんあります。アカメガシワ同様、新芽が赤くなります。ちなみに赤くなった新芽は、冬〜春くらいに行けば見られます。

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オオムラサキシキブの花。花とともに下の方にちょこっとm晩秋にはこんな感じに実が鮮やかな紫に色づきます。

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2015年12月撮影

さて、それでは遊歩道に入って参りましょう。

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まず森に入って目に入るのが、複雑怪奇な形に侵食された石灰岩とそこに絡みつくガジュマルやハマイヌビワの根っこ。

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大きく切り立った石灰岩の崖からは、上に生えているガジュマルから出た気根が垂れています。

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植物の体は「シュート(茎+葉)」とルート「根」とに大別でき、基本的にシュートは地上に、ルートは地下にあります。気根はルートが地上にある、という例外のひとつ。

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このひょろ長い気根も、地上につくと一気に太くなりはじめるそうです。こうなると手で動かすのも困難なほどの太さと強度になります。

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石灰岩の上の植物群。サタソウ、オニヤブソテツ、タイワンクズ、キダチハマグルマ、ホウビカンジュなど。

この辺りに生育する植物のかなりの種類が、土がほとんど、もしくは全く無くても根を下ろして発芽し、育つことができます。

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この向こうが明るいのは森が途切れて開けているからなのですが、向こう側が見えません。

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これは、このような「マント群落」と呼ばれるつる性植物でできたシートに覆われているからです。ハート型の葉はノアサガオ。

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他にもアマチャヅルや、

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ミツバビンボウカズラ

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キダチハマグルマ、などがマント群落を構成しています。

このマント群落には、森の外側を覆うことで水の蒸発を抑え、森全体を保湿する働きがあります。

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ふと頭上を見ると、ハマイヌビワの葉裏にナナホシキンカメムシ。カメムシなので無理矢理つかむとカメムシ臭を出します。

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マメ科のクロヨナの、淡いマゼンダの花が満開でした。

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マメ科特有の蝶形花。高いところに咲いている場合が多いのですが、いくつか目の高さに咲いている場所も見つけておきました。ただ、この台風でかなり散ってしまうことが予想されます。

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大きな樹の下には、この通り花がたくさん散っていました。

マメ科なので、当然マメがなります。

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昨年落ちたマメはこんな感じに発芽していました。ちなみに樹木の芽生えのことを「実生(みしょう)」と呼びます。

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こちらは同じマメ科のハカマカズラの実生。

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ヤシの仲間のクロツグ。

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写真ではサイズが分かりにくいですが、二抱えほどもあるシマタニワタリの大株(中央右)とホウビカンジュ(左)。

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道の頭上を横切るガジュマル。ガジュマルやハマイヌビワは、他の植物の影の下に入ってしまうと伸びる方向を変え、日照を求めて「逃げる」そうです。

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で、逃げた先で手をつくように気根を下ろしていくので、森の中を比喩でなく「歩く」(ただし長い時間をかけて)んだそうです。

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トウヅルモドキ。

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葉の先端がこんな感じで巻いていて、ここで他の植物に絡みついていきます。

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上っては垂れて、を繰り返すとときにものすごい密度になります。上の写真では右上〜中央の黒っぽい塊が全部トウヅルモドキです。こうなると光を通さなくなり、しまいには覆いかぶさられた植物は光が届かなくなり、枯れてしまいます。

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ノカラムシの花。

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目立ちにくい大変小さな花です。

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ちょこっと海が見える所に出て、

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切通しチックになった場所を通って、

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駐車場まで降りてきました!ちょっとしつこく見すぎまして、ここまで3時間強。当日はもうちょっと短縮します。

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駐車場脇に咲いていたアマクサギの花。クサギの仲間なので、花の作りがイボタクサギ(海岸やマングローブに多い)などと似ています。

最後に少し、当日使うかは分かりませんが海岸の方にも寄ってみました。いま来た遊歩道を戻って海側へ抜ける…のはしんどいので、車で海岸側の駐車場へ。

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こちらもなかなか面白い地形。隆起サンゴ礁が侵食されていく時にここだけ残ったのでしょうね。基部は波でかなり抉られてノッチになっています。

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グンバイヒルガオが花盛りでした。カンカン照りの砂浜に緑のじゅうたんを広げたように生育します。

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ハリツルマサキ。目立ちにくいですが、こちらも小さな花を咲かせています。

ハリツルマサキは街中にもたくさんありますが、海岸のものは街中のものに比べて、和名にふさわしく棘だらけです。

…という感じで今回は終了。現場でこの季節にお見せできるものはだいたい把握したので、あとはどうやって「植物学」を身近な体験と結びつけて伝え、皆様に楽しんでいただけるか…を画策中です!

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恩納村の海岸下見

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恩納村の海岸に、フィールドの下見に行ってきました。

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台風の影響で波はちょい高め。

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隆起サンゴ礁が波による侵食を受けてできたダイナミックな地形も、ここの魅力です。

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岩肌にはサンゴや二枚貝の化石も。こちらは単体性造礁サンゴのクサビライシ類。

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こちらはオオトゲサンゴの仲間。キクメイシ類(サザナミサンゴ科)に比べて隔壁(放射状に並んでいる部分)が分厚いのが特徴。

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貝類の化石もちらほら。

干潮のときに見られる潮間帯生物を確認するために波打ち際へ。

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ニセクロナマコ。

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水面で腕をフリフリして食事中のウデフリクモヒトデ。水面に浮いている泡(サンゴの粘液とプランクトンの死骸なんかが混ざったもの)が奴らの餌です。

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イボタマキビ(窪みにいる黒いツブツブした貝)。高潮帯(潮が目一杯満ちてくると水をかぶる場所)にいます。海岸で寝る場合、こいつらのいる場所で寝たら水没しますね。

そしてちょっと移動して、

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よく来る人はこの写真だけでどこか分かるかも。巨岩の中が抜けて洞になっています。

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内部はこんな感じ。よく見ると天井に石灰岩の柱が垂れていて現在進行系で雨による侵食を受けていることがわかります。

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現在の潮線の少し上あたりの窪みは、洞内に入り込んできた波によって侵食された跡。

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そしてこんな洞の上にも海岸植物が。中央少し右にソテツが見えます。

ここのもう一つの見どころは、沖縄の海岸植生がわりときちんと残っているところです。まずは波打ち際に近い最前線から。

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花をつけたウコンイソマツ。

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ソナレムグラ。

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ソナレムグラの花。

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こちらはイソフサギ。赤く見えるのは花です。

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イソフサギとウコンイソマツ(少し奥の方)こんな感じで岩礁の窪みを埋めるように生育します。

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ホソバワダン(ンジャナ)と思われるが、要確認。

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イソノギクの白い花。

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ボタンボウフウ(長命草)。

ここからちょっと陸寄りに移動して、

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ハマゴウ。

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マメ科のハマササゲ。

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こちらは木本(もくほん)のクサトベラ。

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さらに陸に上り、海岸植生も背が高くなり「海岸林」になるあたりにはアダン。

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葉の縁だけでなく、よく見ると裏側の中心にも棘がついています。

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まだ青い実もついていました。

という感じで、海プログラム実施のイメージもついた所でタイムアップ。ここは本当はもっと真面目に見れば海岸植物の種数が出るのですが、今回は時間が足りなかったのでまた次回にでも。

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白化したサンゴはその後にどうなる?

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三連休もいよいよ終わってしまいますね。結局青空を十分に拝めたのは初日だけだったのではないでしょうか。

ということで三連休初日はツアーで利用している恩納村のフィールドへ行ってきました。7月末にミドリイシサンゴの白化が確認できたので、その後どうなったのか見てきました。

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7月31日に訪れたときはリーフエッジ付近で特にミドリイシの仲間が白化していました。

 

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7月31日の観察時はハマサンゴも白化している群体が複数みられました。

 

白化したばかりのサンゴはまだ死んでおらず、環境が改善されると共生していた褐虫藻が戻ってきて回復します。一方で、環境が厳しいままだとそのまま死んでしまい、藻類が生えてきます。

ではでは今回はというと・・・。

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残念ながら白化したミドリイシサンゴの多くは死んでしまったようです。藻類が生えて写真のようになってしまっていました。とはいえ、全部が死んでしまったわけではなく、問題なく生きている群体もいます。

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ミドリイシの仲間は健康な群体かすでに死んでしまった群体がほとんどで、まだ白化している群体はごくわずかでした。一方で、7月末には白化していなかったコモンサンゴの仲間が白化中でした。

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シート状に広がるコモンサンゴの仲間が多く白化していました。
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エダコモンサンゴも全体が白化している群体や、または半分以上が白化している群体が多く見られました。

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よく見るとポリプが確認できます。

 

ハマサンゴはだいぶ回復したようで白化している群体はごくわずかでした。

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二つの群体が融合しているようですが、片方は健康で片方は白化していました。

 

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上のハマサンゴとは違う群体。

 

ちなみにこの日の水温は、リーフエッジの礁原近くで干潮時に15 cm~30 cmの深さで測って32°でした。このフィールドでは確かに白化したサンゴもいますし、その後死んでしまったサンゴもいますが、現在でも十分に健康なサンゴが生息しています。テレビや新聞で報道されているようなあたり一面が真っ白な危機的状況というわけではないようです。

沖縄の夏はもう少し続きますし、引き続き観察を続けたいと思います。

そんな感じで途中で雨に2回も降られ、水温計が流されたり、野帳を海に落としたりしながらも無事退散できました。

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朝から砂浜めぐり

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今朝は事業所に到着と同時にボスから

「海の砂を調べたい」

というめんどくさい力強い要望をいただいたため、午前中は近くのフィールドへ。

まずは人工ビーチの砂ってどんなだっけ?ということで那覇市内のビーチへ。

 

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途中で新しく大きな建物が立っているなぁと思ったら大型客船でした。

 

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波で打ち上げられたものが帯状にまとまっている打ち上げ帯周辺を散策。

 

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観光客で賑わっていました。

 

急にカタブイに降られて撤退。次は自然海岸の砂を見に行こう!ということで浦添へ移動。

 

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入り口の様子が以前とちょっと変わっていました。

 

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以前より減ってはいるけど、マガキガイの殻が多い。

 

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殻の形が猛毒をもつイモガイに似ていますが、殻口のところに凹みがあるのがマガキガイです。

 

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タイワンガザミのオス。脱皮殻がいくつか漂着していました。

 

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通称 「砂茶碗」。タマガイの仲間が卵と砂をいっしょに固めたものです。たくさん落ちていました。

 

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海岸沿いに道路建設中。58号線と平行して那覇につながる道、になるようです。

 

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車道を挟んだ反対側は絶賛工事中。

 

工事の都合で海に放り込まれた礫の周囲にルリスズメダイやツノダシがふらふらしててボスも大興奮。干潮の時間を過ぎる前に退散したかったのでボスを急かしつつ自然海岸の砂もサクッと観察。気になるものは持ち帰って調べることに。

 

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別の日にとってきた某人工ビーチでの拾い物。人工ビーチの砂は深いところから取ってきているので、深いところに住む生き物の殻が多くみられます。

 

「どこの砂浜も同じ砂でしょ」と思っている皆さま、ぜひ海へ遊びに行った際に砂を一握りとって目の前に持っきてみてください。様々な色や形をした生き物の痕跡が見えてきますよ。

 

車内で一人盛り上がるボスを横目にビーチコーミング企画もしっかり作らなきゃなと焦りつつ、この日の砂浜めぐりは終了。海の砂ネタの企画にご期待ください。

 

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台風13号。そして気になる海水温。

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昨日は雨音で目が覚めて天気をチェックすると熱帯低気圧が台風になりそうとの予報。その後、予報通りに台風となり、足早に沖縄本島近海を通過。

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気象庁の台風情報より引用。http://www.jma.go.jp/jp/typh/1613l.html

 

特にツアーの予定はなかったのですが、打ち合わせが何件か入っていたので窓の外が気になる一日でした。

今年の沖縄は全く台風が来ないために海水がかき混ざらず、表層の海水温が上昇し続けていました。そのため、サンゴの白化(サンゴの体内に共生している褐色の藻類がいなくなり、白色の骨が透けて白くみえるようになる)が大規模に起こるのではないかと心配されていました。最近は連日のように新聞やテレビでも報道されていますね。

2016, 08, 27 日本最大のサンゴ礁が白化 専門家「沖縄のサンゴ半数以上死滅の恐れ」 | 沖縄タイムス+プラス

2016. 08. 29 サンゴ:白化9割も…海水温上昇で 国内最大「石西礁湖」 – 毎日新聞

2016. 08. 29 サンゴの白化拡大、98年以来の被害か 沖縄・鹿児島:朝日新聞デジタル 

2016. 09. 01 石西礁湖、慶良間、本部、恩納…サンゴ白化拡大 – 琉球新報 –

2016. 09. 05 鹿児島:奄美サンゴ白化 海水温高く大浜海浜公園の8割 – 毎日新聞 

2016. 09. 05 サンゴの末期、悲しい輝き 沖縄「白化」の海に記者が潜った | 沖縄タイムス+プラス

キュリオス沖縄でも7月31日にツアーで使用している恩納村のフィールドでサンゴの白化を確認していたので、記事中に何度か取り上げられているサンゴマップに投稿しました。

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藻場のシコロサンゴ、タイドプールのハマサンゴでは全体が白化してる群体が多く見られました。

 

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リーフエッジ付近は特にミドリイシが顕著に白化。ほとんどが群体全体が白化していました。

 

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エッジ付近の礁原では白くなったミドリイシが目立ちました。

 

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とはいえ全然白化していないハマサンゴもいました。タイドプールごとに環境が異なっているようです。

 

今回の台風13号は沖縄のダイバー、サンゴ研究者、海に関わる人々にとっては待望の台風?と思いきや、この台風が来る前にすでに水温が下がってきていました。

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こちらは7月1日、15日、31日の沖縄近海の水温。だんだん水温が上がっていきました。気象庁の日別海水温より引用・改変。http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html?areano=3

 

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こちらは8月1日、15日、30日、そして9月5日の海水温。段々下がってきていますね。

 

どうやら8月19日・20日あたりから下がり始めたようです。とはいえまだまだ水温は高いままですので、今回の台風13号が海をかき混ぜてくれることを期待したいですね。このまま下がっていくといいのですが・・・。

 

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まだまだ夏の干潟ツアー

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昨日は午後から恩納村で干潟ツアー。

大阪からお越しのご家族と県内から参加のご夫婦の二組をご案内。9月に入り、朝晩は涼しい風が吹くようになった沖縄ですが、日中はまだまだ夏。熱中症に気をつけながらあっという間の2時間をお過ごしいただきました。

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iPhoneアプリで360°写真を撮影。広大な海草藻場が広がるフィールドです。

この日はエントリーしてすぐの岩場でシオマネキの仲間やイソアワモチ、ヒザラガイなどなど、子どもたちが歩けば何かを見つけてじっくり観察モードでスタート。

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ルリマダラシオマネキ

 

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ソデカラッパ発見!ハサミ脚が片方なかった・・・。

 

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砂浜で小さなアオヒトデを発見。

海草藻場にたどり着いたら今度はカニ、ナマコがフィーバー。岩礁帯ではサンゴの蛍光を観察しました。飽きるほど生き物を観察して今回もツアーを無事に終えました。。

夏の暑さが続く沖縄ですが、水分補給を忘れずにまだまだ夏を楽しみたいですね!

 

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夏休みの終わりに、沖縄の干潟へ出かけて子どもたちと海の生物探しに興じる!!

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沖縄県地域環境センター(沖縄こどもの国チルドレンズセンター1F内)の主催で、先日8月20日、恩納村の干潟にて「海の生き物観察会」が開催されました。

この観察会に弊社のメンバーも講師として参加して来たので、その模様をお伝えします。

 

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講師陣はこちら。

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「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕さん

「しかたに自然案内」を運営し、沖縄における海洋・生物教育啓蒙活動を行ってらっしゃいます。

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そしてキュリオス沖縄の仲栄真礁君

そして我らがキュリオス沖縄の仲栄真君。

私宮崎は、もっぱら写真を撮るというポジションで参加しました。

また、沖縄こどもの国のスタッフさま方(集合写真撮り忘れましたorz)がイベントのお膳立てから会場設営、当日の安全管理まで担当してくださいました。

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まずは、事前学習が行われる恩納村ふれあい学習センターの教室にて打ち合わせ。

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集合時間の13:30になり、続々と参加者が集まってきます。この日の参加者は全体で30名ほど。

ここで一通り危険生物・熱中症への注意喚起、観察の際のポイントなどについてレクチャーが行われました。

干潟の生物観察に行く際の注意点をごく簡単に挙げると、

  • 熱中症対策をしっかり(帽子、首にタオル、水分をこまめに補給)
  • サンダル厳禁(後述します)
  • 危険生物に関する知識をある程度身につけていく
  • サンゴ、そしてなるべくなら海草も踏まないように歩く
  • ひっくり返した石は必ずもとにもどす

こんなところでしょうか。

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レクチャーが終わり、いよいよセンターの裏の干潟海岸へ!…観察会にクバ笠って、渋い。

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皆さん、足元はバッチリでした。

海というとビーサンや草履で行く人が多いですが、こと足元が岩場だったり、転石がごろごろしてたりという海岸では岩で足を切ったり、生き物の棘に刺されたりというリスクがあり大変危険です。

こういう場所での生物観察に一番いいのはフェルト底のマリンブーツですが、底がしっかりした運動靴でも十分代用できます。詳しくはこちらをご覧下さい。

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さて、先陣を切って生き物を探してくれていた子が探してくれたこの生き物、なんだか分かります??

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この写真と次の写真は別の日に撮影

裏返してみたら分かりやすいでしょうか。これ、イソアワモチという「殻のない貝類」です。

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こんな感じで岩にひっついています。

殻がない、というだけでもヘンな奴ですが、実はこの貝、肺で直接空気を呼吸します(多くの海産の貝類はエラ呼吸のみ)。さらに、呼吸をするための穴が肛門の後ろに空いています。

海辺で見かけたら、是非おしりの辺りを覗き込んでみて下さい。

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こちらはナマコの仲間のオオイカリナマコ。

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こちらも別の日に撮った写真

たいへん長くなるナマコで(2mぐらい)、サンゴ礁の浅い砂地やアマモ場に多く生息しています。

体はぶよんぶよん(大部分が水)で、おまけに触ると手にひっつきます。ぱっと見、粘着しているようにも見えますが、実はこれは体の表面にあるカルシウムの棘(骨片)が引っかかっているのです。この骨片が錨(いかり)の形をしているので「イカリナマコ」という名がついた、といわれています。

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ちょっと遠目で分かりづらいですが、こちらはソデカラッパというカニ。カラッパが見つかったら面白いね〜なんて話をしながら歩いていたら、なんと一人の男の子が見つけてくれました!

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これも別の日に撮った写真

?これのどこがカニなんだ?という形をしています。DSC04286

ひっくり返すと分かりやすいでしょうか。なんというか甲羅の左右が張りだして脚を覆うアーマー(鎧)みたいになってます。そして左右のハサミはその甲羅と完璧につながるようなデザイン。

上の写真でカニの右(カニから見て右)のハサミに奇妙な白い突起があるのが分かるでしょうか。またの機会に詳説しますが、実はカラッパ類はこの突起を支点にして巻き貝類を「缶切り」の原理でバリバリと割って食べるのです。

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ちなみにこちらは鹿谷さんのグループ。

事前の班分けで「生き物を探してガンガン行く組(弊社仲栄真)」と「のんびり行く組(鹿谷さん)」とに分かれたのですが、結局どちらのグループも生き物を目にすると「もっと探そう!」とガンガン前に進んでしまう感じでした。

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岩をどけて生き物を探す。ひっくり返した岩は、そーっと元通りに!

しかし、子供たちの生き物を見つける速度の素早いこと。弊社仲栄真、そして私も普段から海の生き物を探し慣れているはずなのですが、この日解説した生き物の半分くらいは子どもたちが先に見つけてしまいました。

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こちらはカワテブクロというヒトデの仲間。腕が冗談のように太いですね。

かなり暑い日で、2時間ほどで海岸での生き物観察は終了。参加した子どもたちには大変楽しんでくれたようで、「来年も来たい人〜?」との問いかけに全員挙手してくれました。

鹿谷さん、仲栄真君、お疲れ様です。企画を立てて色々お膳立てしてくださった子供の国の皆様、ありがとうございました!

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おまけ。ホワイトボードに海の生き物を描いてウェルカムボード的なものにしよう!ということで描き始めたものの、いつのまにか「うろ覚えイラスト大会」になってしまいました。

(宮崎)

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「藻場」はなるべく踏むべからず!沖縄で海を歩く際はご注意を。

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「藻場(もば)」

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海藻や海草が一面に生えている場所をこう呼びます。紛らわしいですが、「モバゲー」等のモバは「モバイル」のモバであって藻場ではありません。

海藻と海草の違いは?

どちらも読みは「かいそう」です(海草の方は「うみくさ」と読む場合も)。

「海藻」の方は藻類(そうるい)と呼ばれる植物を指します。藻類とは簡単に言うと、花を咲かせず胞子で殖える植物の仲間で、体のつくりは単純で、根・茎・葉の区別はありません。「緑藻」や「紅藻」「褐藻」などいくつかのグループに大別されます。

身近なところではコンブやワカメなど。ローカロリーでうれしい「海藻サラダ」に入っているアレですね。岸近くで藻場を形成する海藻としてはホンダワラやカジメ、アラメなどが有名です。

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イソスギナ Halicoryne wrightiiこちらは藻類の仲間。

これに対して、「海草」は花を咲かせ種をつくる植物(被子植物)の仲間です。

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リュウキュウスガモ Thalassia hemprichii

海藻には「根」「茎」「葉」の区別がありませんが、海草にはちゃんとあります。

関東に多いのはアマモやコアマモ、沖縄だと一番多いのはおそらくリュウキュウスガモではないでしょうか。岸近くの砂地、特に河川があって陸からの栄養分が適度に流れてくる場所に多く育ちます。

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一面の海草藻場(うみくさもば)

海草はどっから来た?

植物の祖先も、最初は海で誕生・進化し、その後一部のグループが進化の過程で陸上に上がったと考えられています。

コケ→シダ→維管束植物の順に進化(分岐)した年代が新しいとされていますが、この順番は、より陸上に適応していく過程でもあります。端的に言えば、古いグループ方が乾燥に弱いのです。森の中がコケで覆い尽くされた屋久島なんて、「年400日雨が降る」と言われていますよね。ちなみに「藻類」は、そもそも陸上に上がらなかったグループの一つです。

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コケ植物の多くは湿潤な環境を好む。やんばるにて。

ところが「海草」の仲間は一度陸上に適応したのち、海に戻った変わり者の植物です。哺乳類でいうところのイルカやクジラみたいなイメージでしょうか。

海草藻場を見つけたら

さて、沖縄も海が楽しい季節になりましたが、サンゴ礁や砂浜を歩いていてこのような海草が茂っている場所を見つけたら、なるべく踏まないようにお願いします。多くの人によって踏み荒らされると枯れてしまいますので。

ただ、藻場は生物観察をするならうってつけの場所でもあります。

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カマスベラの幼魚と思われる

分かりますかね?定規に右下にいる緑色の魚。カマスベラという魚食性のベラの幼魚です。

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イッカクガニ Menaethius monoceros

そこそこの大きさの藻場があればたいてい、こんな感じで緑色をした生き物やいろいろな魚の幼魚などが隠れ住んでいます。詳しくはまともな写真が揃ってから特集しようと思いますが、この他にも小型のイカの仲間やモエビの仲間、イソギンチャクの仲間など「藻場」にしか出てこない生き物がわんさかいます。

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(宮崎)

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