【修学旅行】やんばるにて、都立農業高校さまの自然体験学習(亜熱帯の森コース)を担当しました。

4月20日、学習院高等科の修学旅行の「亜熱帯の森コース」のガイドを担当させていただきましたので、そのときのお話を。

当日は少し雨まじりの霧のかかる天候だったのですが、楽しんでいただけました。

トウヅルモドキという植物の葉を触っているところ

皆さん好奇心旺盛で、道すがら山の昆虫や植物について解説すると写真を撮ったり、触ったり。

センダンの花

登山道に入る前の道ではセンダンの花が満開でした。

リュウキュウコンテリギ

こちらはリュウキュウコンテリギ。アジサイのような装飾花はありませんが、アジサイの仲間。沖縄本島の北部「やんばる」に固有な植物です。

リュウキュウハナイカダ。

こちらはリュウキュウハナイカダ。葉の真ん中から花が咲く変わった植物です。葉の柄と花の柄が途中まで融合することで、こんな奇妙な形になっています。

そして意外と人気だった生き物が…

アワフキムシの巣

アワフキムシ。山中でこんな泡を見つけたら、誰かが吐いたツバではありません。アワフキムシの幼虫の巣です。

アワフキムシはセミやウンカに近い昆虫の仲間で、幼虫時代にお尻から出る水分と分泌物(アンモニウム石鹸)でこんな泡を作り出します。

泡なんて隠れ家としていかにも頼りなさそうですが、昆虫はふつう気門と呼ばれているお腹の穴を泡でふさがれてしまうと窒息死してしまうため、泡はきわめて有効な防御になります。

岩の上のカタツムリを激写中。

このとき撮られていたカタツムリはこちら。

シュリケマイマイ

シュリケマイマイという、殻の外周に毛が生えた平べったいカタツムリの仲間。いつも岩の上にいて、葉っぱの上や木の幹で見つかることはまずありません。

生徒さんの中にはデザイン専攻の方もいるそうで、自然の造形の面白さにとても敏感に反応してくれていました。

天気はいまいち

見晴らしのいい尾根に出ましたが、天気はいまいち。晴れた日ならここから海が一望できるのですが…

それでもめっちゃ笑顔

海側の景色がパッとしないので山をバックにパチリ。

こちらはもう1班のグループ。

ここでやんばるの自然の固有性についても解説。奄美〜沖縄本島〜八重山は温帯と熱帯のはざまに位置します。このような緯度の地域を地球上で探すと乾燥地帯がほとんどで、沖縄のような湿潤な気候の場所は他にほとんどありません。

熱帯でも本州のような温帯でもなく、かつ雨の多い沖縄は、気候的に見ただけでもすでにとても特殊な場所なのです。

さらにそこに、中国大陸とつながったり離れたり、という地誌が関係してさまざまな固有な生物が進化し、生態系が育まれました。

つまりは、こんな天気の日があるからやんばるの森が豊かでいられるって事ですね。

視界がちょっとよろしくないので下山は慎重に。

アリドオシの花。派手さはないですが整った形のきれいな花です。

…というわけで下山し、まとめをして終了!

自然や生き物の話を興味を持って聞いてくれたのも良かったですが、造形やデザインといった僕らが普段あまり見ない視点から楽しんでいた生徒さんもいて、こちらもとても刺激を受けました。

都立農業高校の皆さん、引率の先生、添乗員さん、ありがとうございました!

泡瀬干潟観察会でメナガオサガニハサミエボシに出会いました!

4月15日(土)に泡瀬干潟を守る連絡会主催の泡瀬干潟観察会に案内役として参加しました!

天気はちょうどよい感じの曇り。風も涼しく、快適に実施できました。

集合場所の浜。

 

出発前にアーサ汁が配られました。貝も入っています。ごちそうさまでした!

 

アナアオサ(左)とヒトエグサ(右)。やわらかさが違うね、と触り比べ。

アナアオサは2層の細胞でできているけどヒトエグサは1層の細胞でできているのでやわらかさが違う?触ってみていかがだったでしょうか。ヒトエグサは”一重草”ということですね。

小さいゴマフクモヒトデ。子どもたちに大人気でした。

 

左からホウシュノタマ、キンセンガニ、オヒルギの赤い萼。

 

小さいジャノメアメフラシ。目が可愛いと人気でした。

指先で背中をグリグリすると体内に殻が入っているのがわかります。アメフラシは殻を退化させた貝の仲間(軟体動物)。

ウミケムシの仲間?よく見るとかわいい。

 

ウロコムシの仲間?

 

ひょっこりと殻が水面から顔を出すハボウキガイ。

 

参加者が見つけたメナガオサガニに赤いハサミが・・・と思ってよく見てみると・・・

3本目の鋏脚ではなく、エボシガイの仲間っぽい。後で調べてみるとメナガオサガニハサミエボシ Octolasmis unguisiformis のようです。エボシガイは「ガイ(カイ)」とついていますがフジツボの仲間で甲殻類になります。ハサミに見えるので名前に「ハサミ」と入っているのでしょうか。ということはこの位置に特異的に着生するのでしょうか。そうだったらよくこんなところに・・・。

なんて感心していたらつい先日環境省が発表した海洋生物レッドリスト2017にて絶滅危惧IA類に指定されていました。絶滅危惧IA類は「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」というレベルになります。貴重な生き物だったんですね。

 

ちなみにメナガオサガニにはオサガニヤドリガイという小さな二枚貝も寄生(なのか共生なのか、関係性は不明)するようです。

ナマコ三兄弟。クロナマコ、トゲクリイロナマコ、ハネジナマコ。

 

クルマエビの仲間?参加者が砂を掘ると偶然発見。

 

今回の観察会のためにキュリオス沖縄の職人・宮崎に秘密兵器を製作してもらいました。

自作のヤビーポンプ。

砂の中に生息する生物を吸い出すヤビーポンプです。市販のものがあるのですが、日本国内では販売されておらず、手に入れるにはオーストラリアなどから個人輸入する必要があります。ということで作ってもらいました。

砂中泡瀬干潟をしばらく歩くとにはボコボコと小さな砂山に遭遇します。ゴカイやギボシムシ、ユムシの仲間など、砂の中に生息する生き物が排泄した砂が小さな山になっています。

そんな場所を見つけて試しに使ってみましたが結果はイマイチ。もうちょっと回数を重ねて使用してみたいところですが、道具そのものにも改良の余地がありそうです。
(使用の際はフィールドを荒らすことがないようにやたらめったらに使うことはしませんでした。)

 

当初の予想の倍近い参加者が集まって驚きましたが、事故やケガなく観察会は無事に終了!次回は8月に再度観察会を行う予定です。それまでにヤビーポンプの改良をしなくちゃ^^;

 

(仲栄真)

 

キュリオス沖縄では砂干潟と岩礁帯が隣接するフィールドでツアーを行っています。そちらもぜひ!

干潟ウォッチング!海の生き物の宝庫「亜熱帯の干潟」を訪ね歩いてみよう

生き物探しリーフトレッキング! 「サンゴ礁の海」で専門家ガイドと一緒に生き物さがし!

リスクマネジメント講習に参加してきました!

だいぶ日が経ってしまいましたが・・・。

2017年1月10日(火)にNPO法人エコツーリズムセンター(通称:エコセン)主催のリスクマネジメント講習を宮崎・仲栄真が受講してきました。ツアーの安全管理について体系的に学び、同業者の皆様と情報交換する良い機会となりました。

 

写真 2017-01-10 9 47 26
塚原俊也 氏(くりこま高原自然学校 校長)が講師を務め、ご自身の経験談含めとても有意義な情報を提供していただきました。

 

リスクマネジメントとは

野外での体験型アクティビティやエコツアーは、自然を相手にする、または自然環境下で実施することから様々なリスク(講習の中では”不確実性“と表現)が存在します。「リスクマネジメント」とは、そのリスク(不確実性)を対応可能な範囲に収めたり、万が一の事態になった際に被害を最小限に留めるためにやりくりすることで、今回の講習ではそのための考え方や基礎的な知識を学びました。

その中で印象に残っているものを一つご紹介。ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故が起こり、300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったがその可能性があった出来事)が存在するという法則です。

 

ハインリッヒの法則
ハインリッヒの法則。1929年にアメリカのハーバート・ウィリアム・ハインリッヒによって提唱された法則。実際の労働災害を統計的に調べて導かれた法則とのこと。

 

ヒヤリ・ハットを減らせば、重大事故や軽微な事故が起こる可能性を抑えることができます。そのためには、日頃のヒヤリ・ハット事例を記録していき、それを安全管理マニュアルの作成等の日頃の取り組みに反映することが特に重要とのことでした。

 

安心・安全なツアーの実施のために

キュリオス沖縄では、ツアー事業を始める際に今回と同様の講習会に参加するなどして安全管理に関する情報収集を行いました。また、フィールドでの活動経験の豊富な先輩方にもアドバイスをいただきながら安全管理マニュアルを作成しました。

安全管理マニュアルでは、どういうときにツアーを中止・中断するのか、もしもツアー参加者が怪我をしたらどのように対応するか、そして緊急時の対応手順やリストアップした緊急連絡先などの情報をまとめています。

昨年(2016年)は沖縄県内においてビーチでの落雷事故やマダニによる感染症の発症などのニュースも話題になっていましたので、それらの事例も参考に見直しを検討しているところでした。今回の講習で新たに得た情報やリスクマネジメントに対する考え方を日頃の安全管理にうまく反映させて、これまで以上に安心・安全なツアーを提供できるようにしたいと思います。

 

写真 2017-01-10 9 47 38
安全管理ハンドブックを教材としていただきました。

 

ツアーを選ぶ指標として

昨年は3月に西表島全域が国立公園となり、9月にはやんばる地域も国立公園に指定されました。これらの動きは世界自然遺産登録に向けたものであり、国は2年後の登録を目指して活動しています。

もしもやんばる地域が世界自然遺産に登録されたら、沖縄のエコツアー事業者は急激に増えるのではないかと予想されています。現状でエコツアー事業を始めるにあたって必要な資格や登録制度は特になく、誰でも開業できる状態にあります。そのため、事業者の数が急激に増えると、中には安全管理が不十分な事業者も出てくるかもしれません。

そうなると、体験ツアーを利用する際に事業者の安全管理体制やガイドスタッフの安全管理に関する講習の受講履歴、資格の有無を事業者を選ぶ際の指標として重要になってくるかもしれません。エコツアー事業者もどのような安全対策を行っているのか、きちんと情報発信しておく必要がでてきそうです。

沖縄で体験型ツアーを利用する観光客の皆さまもぜひ安全管理に関する情報をショップを選ぶ指標にご活用ください。そういった取り組みに力を入れている事業者が選ばれるようになれば、エコツアー事業者全体の意識がより高まってくると思います。

事業者と利用者の双方から「安心安全な体験」が提供できる沖縄観光にしていけるといいですね。沖縄で体験型ツアーに参加する際のご参考になれば幸いです。

 

 

危険?そうでもない?見かけてもそっとしておこう「ヒメハブ」

p2410048

やんばる(沖縄本島北部)の水場やその近くで最もよく遭遇するヘビがこのヒメハブ Ovophis okinavensisです。

沖縄で「太くて短いヘビ」を見かけたらヒメハブ

太短い体型が特徴で、体の色は変異がありますが、赤っぽいこげ茶色のものが多いようです。

ハブやサキシマハブなどとは少し違う仲間(ヤマハブ属)に分類されます。

沖縄の言葉で「ニーブヤー」(意訳:いつも眠そうにしている怠け者)と呼ばれるように、昼夜問わずじっとしていることが多く、あまり動き回りません。

ヒメハブの危険性は?

ヒメハブも、毒ヘビには違いありません。

これは体のつくりや性質を見ても明らかで、毒を使わずに狩りをするヘビは体も長く、もっとずっと筋肉質で素早いです。

ヒメハブの毒の毒性は、少なくとも人に対してはハブと比べてずっと低いと考えられ、またハブに比べると攻撃性も低いことから、山や畑作業に慣れた人には軽視されがちです。

ですが、2本指の欠けた手を見せながら「農作業をしていて咬まれて、放置していたら指が壊死してしまった」というお話をしてくださった方もいるので、あまり軽視しすぎない方がいいでしょう。

基本的に距離を保って観察する分には、向こうから近付いてくることはありません。

p2790044

また、枯れ葉にまぎれる体色や動かない性質から「いても気づきくい」ため、誤って踏んづけて咬まれないように注意が必要です。

万が一咬まれた場合は、慌てなくてよいので必ず病院を受診しましょう。

カエル食いのヒメハブ

ヒメハブはカエルが大好物…というより、餌のほとんどをカエルに頼っているそうです。

p1950005
沢の浅瀬につかるヒメハブ

普段は沢など水場のそばにいますが、雨が降ってカエルが活発に動き回るときは一緒に道路などに出てきます。

夜の沢やカエルの繁殖期の水場に入ると、何個体も目撃することができます。

ヒメハブは見つけてもそっとしておこう

沖縄では、ヘビを見かけると殺そうとする人もいます。

ハブの個体数が多く、ハブによる咬傷が絶えなかった時代は生活の知恵の一つだったのかもしれません。

しかし、今やハブの個体数はやんばるでもそれほど豊富ではなく、人家の敷地内に出た場合などを除いて殺す必然性はありません。

ヒメハブにいたっては、上に書いた通りもともとあまり危険性の大きなヘビではありません。

ヒメハブを見かけたら、侮らず適度な距離を取ってじっくり観察してみましょう。

ちなみにヒメハブは、世界中で沖縄諸島と奄美群島のみに生息する固有種です。

p2790032
夜の沢で見かけたヒメハブ。珍しく最初から攻撃態勢

沖縄キャリア教育EXPO2016に出展しました!

2016年12月23日に沖縄女子短期大学で開催された沖縄キャリア教育EXPO2016(主催:有限会社オーシャン・トゥエンティワン)に出展しました。

キュリオス沖縄は、会場内に設置された体験展示「多様な学びとの出会い」という企画に参加・出展。これまで活動してきたツアーや展示イベントの中で見られた子どもたちの学びについて紹介させていただきました。また、いつものようにちょっとしたハンズオン展示も行いました。

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-11-06-25

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-11-05-42
今回の展示企画の主旨。

 

今回この体験展示全体は、仲栄真が以前よりお世話になっているてぃあんだぁクラブの佐渡山要先生が中心になって企画しており、子どもたちに自然体験を提供している団体としてキュリオス沖縄にお声がけいただきました。展示会場にはいくつかの団体がそれぞれの活動紹介を行っており、会場内は企画タイトルの通り、様々な子どもたち・ご家庭に対する多様な学びの機会を表す場となっていました。

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-11-04-49
ホームスクール@おきなわさんのホームスクーリングサポートのカテゴリー。いろんな団体と協力して多様な学びの場を作っていました。「自然教室」のところにキュリオス沖縄の名前もいれていただきました。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-10-40-12
キュリオス沖縄のブース。ツアー中に見られた子どもたちの学びの一例をご紹介させていただいました。

 

私たちのブースでは、ツアー中に見かける「生き物が苦手な子」が実際の生き物に触ってみるという挑戦について一例を取り上げました。苦手な生き物に触ってみるという体験の中で自信をつけたり、苦手だった生き物について興味をもつ過程について紹介させていただきました。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-10-40-25
県内人工ビーチの砂、浜松にある中田島砂丘の海岸の砂を展示。海岸の砂もいろいろ違いがあります。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-10-40-34
オキナワアマビコヤスデにブラックライトを当てると・・・。前日に別の企画で使用したついでにお持ちしました。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-15-06-03
蛍光が観察できます。蛍光の役割についてはよくわかっておらず、そもそも意味などない、という話もあります。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-12-23-10-40-57
カタツムリの殻をよく観察したことはありますか?種類によって殻の形がどう違うのか、見比べてみるとなかなか発見があっておもしろいです。

 

多くの方にご来場頂き、キュリオス沖縄の紹介だけでなく、県内の教育事情についてもいろいろと情報交換をすることができました。

また、イベント中に企画されていたシンポジウムにも最後に参加することができました。多くの方が沖縄の子どもたちの未来を考えて熱心にキャリア教育へ取り組まれているのだと実感しています。

キュリオス沖縄もより一層、沖縄の教育へコミットできるよう、企画していきたいと思います。

 

(仲栄真)

世界自然遺産登録を目指す「やんばる」の山に、県内の参加者と登ってきました!

前回、天候不順のために山に入れなかった県内参加者向けのやんばるツアー。

今回は天候にめぐまれ、存分に山を堪能することが出来ました!

昼からのツアーなのでまずは大宜味の道の駅で腹ごしらえ。

img_7182

時期限定かもしれませんが、ここ大宜味の道の駅の食堂では水の代わりにシークワーサー水がピッチャーで飲み放題です(写真右上)。「◯◯の天然水」とか「◯ろはす」とかより濃くてしかも甘くなく、なかなか美味しかったです。

さすが、柑橘の里おおぎみ!

dscf5124

山に登る峠道は「ススキロード」と化していました。7-8分ほどの峠道を登って登山口の駐車場へ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回の参加者は16名あまりと、やや大所帯でございます。

dscf5121

登山道の入り口に咲いていたサキシマフヨウ(アオイ科)。もうそろそろ花も終わりかけで、代わりに綿毛をつけた種がいっぱい詰まった果実も見られました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いざ入山。

登山道に入ると、湿度が一気に高くなるのが分かります。

dscf5077

ツワブキ(キク科)の黄色い花がたくんさん咲いていました。沖縄ではこの花が咲くようになると、いよいよ本格的に冬の到来です。

ちなみにツワブキの花はキク科の花らしい清々しい香りがします。嗅いだことがない方はぜひ。

dscf5211-1

こちらも冬の花、アリモリソウ(キツネノマゴ科)。

うつむき加減に咲きます。一見真っ白な花ですが、花の中をのぞきこむと赤紫色の模様が見えます。

dscf5089

種類の分からないキノコ。

枯れた樹、弱った樹の材の中には、菌類の菌糸が入り込みはびこって分解を加速させていきます。倒木はキノコを含む菌類のパラダイスになり、そららを食べにカタツムリの仲間なども集まってきます。

dscf5084

アオミオカタニシ。きれいな緑色をしていますがこれは実(肉)の部分の色で、殻は無色の半透明です。

img_7187

途中の広場で休憩。

今回のツアーは、沖縄県が「奄美琉球」の世界自然遺産を目指していることを県内のみなさまに普及啓発することが目的でもあるので、そのへんのお話もしました。

img_7193

さらに石段の登山道を登っていきます。

img_7150

お子さんが見つけて大喜びしたナナホシキンカメムシ。虫がやや少なくなったこの季節でも安定して見られるいい昆虫です。匂いはアレですが(キュウリの青臭い匂いを濃縮して強烈にしたような感じです)。

葉の裏に集団で止まっているところも見かけました。

 

バージョン 2

ようやく尾根に到着。ちょっとガスってましたが、やんばるの山々と西海岸の海が一望できます。

頂上へは、ここからなだらかな尾根道を歩いてすぐです。

dscf5092

アオノクマタケラン(ショウガ科)の実。ドキッとするほど赤いです。

dscf5186

そして尾根沿いの道に咲いていたのがこのオキナワテイショウソウ(オキナワハグマ)(キク科)。

dscf5098

花弁の先がくるんと同じ方向に捻れた、独特の花です。

dscf5108

サイズはこんなもん。

尾根道を歩いてすぐ、山頂に到着します。しますが、ここの山頂はあんまり開けてないので、さきほどの尾根道に着いた時点ですでに登頂が終わったような感じです。

そして、参加者の方が山頂で見つけてくれた面白い植物がこちら。

dscf5138

ナンバンギセル(ハマウツボ科)という寄生植物です。

イネ科の植物の根に寄生し、地上へは花茎(かけい)と花のみが出てくる、というとても変わった植物。葉緑体はないため、生きているときも茎は枯れたような色をしています。

その他、下山途中でシリケンイモリや、

img_7148

オキナワキノボリトカゲなど。

dscf5221

気温的にも植物の装い的にもすっかり冬ですが、冬でもそれなりに温暖な沖縄ではこの季節も様々な生き物が活動を続けていました。

車道に出てしばらく行ったところでオキナワスズメウリ(ウリ科)が大量に実をつけているのを見つけました。

img_7210

可愛らしい実ですが、すさまじい繁殖力ではびこるので庭などに植える際は要注意です。

img_7213

最後に、オオバギの葉が切られくるんと丸まっているのを発見。

開いてみると、ハネナシコロギスの巣でした。

p1930083-1
こちらは別の日、夜間に撮影

夜になると葉の上などで獲物を待っていますが、昼間はこんな感じの巣をつくってその中に隠れています。

そんな訳で、とても充実した山歩きでした。

なお、今回のツアーと同内容のツアーは、弊社のこちらのガイドツアーにてご参加いただけます。

%e3%83%8d%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%81%e3%83%82%e3%81%ae%e7%b5%84%e3%81%bf%e5%86%99%e7%9c%9fth

やんばる山トレッキング !植物・昆虫をじっくり観察しながら、季節の山を歩く

所要時間:約3時間
<混合プラン> ¥6,000/1名様
<グループ貸し切りプラン> 1名様¥7,000(4名でお申し込み)〜¥9, 000(2名で〃)

日本サンゴ礁学会へ参加してきました。

12月1日から始まっていた日本サンゴ礁学会へ参加してきました。

といっても何か発表したわけではなく、情報収集やお仕事関係のごあいさつ、友人の研究発表を聴きに、といった感じでした。早く発表できるネタを用意したいところですね。

img_7120

 

サンゴ礁学会のホームページでニュースレターが無料公開されています。こちらに今回の学会中に発表された研究のタイトルなどが公開されています。

今回は2年ぶりくらいに参加でした。久しぶりにお会いする方々とごあいさつしつつ、初日は自由集会へ。自由集会とは、学会会員が自由にテーマを設定してそれに沿った発表者を集めて開くセミナーのようなものです。

最初に参加したのは地球科学分野と生物学分野の研究者の方々による自由集会でした。発表していた地球科学分野の研究者たちは、過去の気候や環境、サンゴがどのように生息していたのか過去の地球環境についての研究を発表していました。

現在につながる過去の環境・生態系を知ることは、現在を知る上でも重要なのです。

一方で生物学分野の研究者たちは、現在ではどんなサンゴがどのように生息しているのか、集団遺伝学や生態学、分類学の研究手法を用いて現在のサンゴ群集についての研究を発表していました。

img_7110

 

2日目はなんとか午後のポスター発表から参加。会場の都合で今回発表予定の半分しか見て回れず。3日目は北部でツアーがあったのでほとんど出れず。最終日は那覇マラソンを横目に口頭発表と一般公開イベント「北琉球におけるサンゴ礁、研究・保全の現状と課題」に参加していろいろとお話を聞いてきました。

 

img_7223
スタート直後のランナーの皆様

 

2日目に参加した自由集会は今年の夏に起こった大規模な白化現象について情報交換する場となっておりました。

ちょこっと映ってました(^_^;)

ここで話し合われたことは後日に学会から総括として公開されるとのこと。サンゴの白化現象を気象災害と捉えてはどうか?という提言や白化ストレスに強いサンゴ株の発見など、とても興味深い内容でした。

 

ドタバタとした週末になりましたが、新たな情報を得たり、久しぶりにお会いする方々にごあいさつできたのはとても良かったです。これからのツアーやフィールドの保全に活かしていきたいと思います。

雨だったのでウフギー自然館へ。

昨日は早朝に雨音で目が覚めてちょっとため息。というのも午後からやんばるでツアーの予定だったのです。

今回はとある事業の中のイベントということもあり、雨天時の代替プランへ切り替え。朝からドタバタと各所へ調整しながら向かった先は国頭村にある「やんばる野生生物保護センター ウフギー自然館」!

 

午前のうちに施設内の下見と案内の流れを確認し、ウフギー自然館のスタッフの方にごあいさつと簡単な打ち合わせ。そこから集合場所のおおぎみ道の駅へ。雨は止む気配なし。ですよねぇ。

時間になったので参加者と移動してウフギー自然館へ。本当は山の中に入るはずだったので、ちょっとしょんぼり気味な小学生もいましたが、中に入ったら時間いっぱい楽しんでもらえました。

img_7072

カウンターにあったヒトデや魚。ヒトデは作ってみたいですね。ブース展示などの際の飾りに良さそう。他にもキジムナーの歯ブラシ(!?)なんかもありましたよ。

 

img_7073

ホタルの提灯。テリハボクの実に穴を開ける&フタ部分をカットしてひもを通す。中に捕まえてきたホタルをいれて提灯にするそうです。割らずに穴を開けるのが大変そうだけど、来年はこれ作ってホタルツアーかな?

 

img_7099

400円で購入。協力金として保全活動や教育活動に活用されるとのこと。やんばるの生きものがイラストと文章付きで紹介されています。鳥類の情報が豊富そうだったのとイラストが可愛らしかったので購入。

 

7ea7ac3a-2889-4d12-9569-acdf4338fb4c
Instagramのレイアウトで編集してます。やんばるの四季。

お気に入りの展示はこれかな。季節の変化を自分で感じられるようになると心豊かに生きられるのではないかと思っております。館内には他にも音声や映像を使ったすばらしい展示が多数あるのですが、どたばたで写真を撮っておらず・・・。

展示の中にはロードキルや外来種問題を取り扱ったものもあり、普段のツアーではこういう問題についてはちゃんと話せてなかったなぁとちょっと反省。うまくお伝えできるように何か案を考えたいと思います。

館内では20分ほどのシアターでやんばるの自然を学べたりもします。子ども向けのクイズシートなんかもあるので楽しく学べること間違いなし。沖縄中南部にお住まいの方や、沖縄北部へ遊びに来た観光客の皆さまもぜひやんばる野生生物保護センター ウフギー自然館でやんばるの自然を学んでみてはいかがでしょうか。

<キュリオス沖縄の森ツアーもよろしくです!>

 

第9回モニターツアー実施しました!

11月20日に、キュリオス沖縄で毎月行ってきたモニターツアーの第9回を実施しましたので報告します。

朝9:30、那覇市末吉公園の駐車場に集合。

当日は時々パラパラと雨が降る天候で、派手に濡れるようなことはなかったのですが、代わりにかなり蒸し暑く「冬どこ行った?」という感じの気候。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回はお子様も2名参加です。大変ありがたいことに、業界の方にも来ていただけました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

駐車場のモモタマナの樹から定期的に実が落下して僕らや参加者の方の車に「ガン」「ゴン」と当たります。よく見るとオオコウモリの歯型がありますね。

dscf5261

それではGO!まずは駐車場入口の脇から高台に登っていきます。

dscf5102-1

ハマビワの花が咲いてました。これは雄株ですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

参加者を差し置いてまずは観察です。

dscf5266

皆さん大変熱心でした。

dscf5270

さて、ずいずい登ってきます。

dscf5279

ナナホシキンカメムシ発見。葉の裏にはもっとびっしり集合してました。

dscf5274

興味津津ですが、カメムシ臭い…と触ろうとしません。

dscf5107

…あらら、寄生蜂にやられたんでしょうね。クロツバメというガの幼虫。卵を産み付けられて、体の中で孵化した幼虫が成長して体を食い破って出て、蛹になって飛び去った後と思われます。

dscf5281

…というお話をして参加者一同ドン引きの瞬間。

ちなみにクロツバメの幼虫は有毒なジャコウアゲハの幼虫に擬態して鳥の目を欺いていると考えられますが、もちろん寄生蜂にそんなの通用しません。

dscf5286

クロツバメ、成虫もいました。前ばねは烏の濡れ羽色、後ばねはさらに青の金属光沢が乗り、大変に美しいガです。クロツバメをはじめとしたマダラガの仲間は、ガにもかかわらず昼間活動します。

dscf5291

クサギ(アマクサギ)の花。

dscf5141
この写真は別の日に撮影

雄しべ、雌しべともにとても長いのが特徴。

クサギの花は雄しべが先に成熟し、その後雄しべがしおれると雌しべが成熟する…という仕組みで自家受粉を避けています。

dscf5297

実もついてました。

dscf5150-1

こちらはタカナタマメの花とマメ。濃くも上品なピンク色です。

dscf5300

「この花、マメ科の花として何かおかしくないですか?」との僕の問いかけに、「上下が逆さまなんじゃないでしょうか」

ドンピシャです。いやぁSさん、恐れ入りました。

タカナタマメやハマナタマメは花柄が反り返り、結果として普通のマメ科の花と上下逆に付きます。

dscf5308

そして子どもたちは生き物を見つけるのが天才的に速いです。

こちらはヘリグロヒメトカゲ。

落ち葉の堆積しているところに住んでいて、アリやシロアリを食べて暮らしています。手足がたいへん短いのが特徴。

 

その後、高台から降りてちょっと住宅街を進み、民家の脇にある道から末吉宮を目指します。

dscf5320

ナガマルコガネグモ。網にあるX字(半分しかなくてV字になってますが)の模様は「隠れ帯」と呼ばれていてクモが網を張った後に糸で編みつける模様です。

この隠れ帯の機能には諸説あり、外敵から身を隠すためだとか、クモが食べられないような大型の生き物がむやみに網に引っかかって壊さないようにとか、紫外線を反射して餌となる昆虫を引き寄せるとか言われていますがよく分かっていません。

dscf5327

他にもシークワーサーの葉を日に透かして油点を見たり…

dscf5351

迷蝶ルリウラナミシジミの後ばねを見つけてその美しさにみんなで関心したりしながら進みます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おっ、これはクサカゲロウの仲間の幼虫。

クサカゲロウは幼虫の時期は肉食で、捕食した虫の残骸とか糞とかゴミとかを背負ってカムフラージュしながら歩いています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おっ、こいつは…

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

指下板をチェック。明かりに集まってきて鳴くヤモリとは別の「ミナミヤモリ」という種類です。

ヤモリは、吸盤で壁などにくっついているワケではありません。この指下板にミクロの毛が密生していて、なんとその毛と壁の間に生じる分子間力(ファンデルワールス力)によって貼り付いているのです。

dscf5362

末吉宮も近くなってきた所で、コウシュウウヤク(イソヤマアオキ)という植物の上に…

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

じゃん!

アケビコノハの幼虫を発見。

どこがどうなっているか分かりにくいですが、茎にぶら下がった状態で右側が頭を中にして「くるん」と丸まっていて、左が足(尾脚)をグッと持ち上げている状態です。

平気なフリをしてましたが、僕の「イモムシ嫌いセンサー」のメーターを振り切る存在。これは参加者の皆さんにも衝撃的だったみたいですね。

dscf5375

さて、ここの景観を見せたかったのです。

大きなガジュマルがもともと付いていた岩から剥がれて地面に横たわっています(もちろん生きてます)。

dscf5386

参加者の皆さんからも「那覇じゃない…」「那覇じゃないよね」と口々につぶやいていました。

dscf5393

沖縄南部の典型的な植生が街中に残る、とても貴重な場所です。

dscf5405

最後に末吉宮の石段のところまで登って、

dscf5411

「ああ、やっぱり那覇だった」って言って、

dscf5419

時間も押していたので急いで戻りました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

かなり時間をオーバーしてしまい、参加者の皆様にはご迷惑をかけました。最初の高台のポイントも悪くはないですが、蛇足だったかもしれません。

お子様がいろいろな物に興味を持ってくれたのは本当に良かったです。

というわけで、参加して下さった皆様、ありがとうございました&大変お疲れ様でした!

外に出てみたら・・・

今日は他のスタッフが出払っていて自分ひとりだけ事務所で作業。

最近はいろいろとデスクワークに追われている日々なのですが、特に天気の良い日なんかはつらさ倍増ですよね・・・。

ということで今日はベランダに出て青空の下で作業してみました。

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-11-08-13-58-55
事務所にまだ机がなかったときに実家から持ち出してきた明らかにビーパ用のテーブルとイス。

 

風が気持ち良いので作業も捗ります。(※注意:遊んでいるわけではありません。)

作業をしていると鳥の声が。真上を見上げるとなんか飛んでいる!

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-11-08-15-29-50
iPhoneしかなかったので・・・。ぎりぎりわかりますでしょうか。

 

%e5%86%99%e7%9c%9f-2016-11-08-15-29-50
なんとか判別できそう。

 

不鮮明ではありますが、おそらくミサゴ。海岸の近くに生息しており主に魚類を捕食します。5羽がぐるぐる旋回しながら東の方へ流れていきました。事務所は海の近くといえば海に近いので、まあ、見れるもんなんですね。

たまには違う場所で作業してみるのもいいなぁと、最近は部屋にこもりっきりな1日が多かったので外での作業は良い気分転換になりそうです。

 

(仲栄真)