【企業研修】琉球銀行さまと協同で、ビーチクリーン&ビーチコーミングのプログラムを実施しました!

先週の2018年4月14日(土)に、地元沖縄の銀行「琉球銀行」さまとビーチクリーン&ビーチコーミングのプログラムを実施いたしました。

このプログラムは、琉球銀行も会員として参加する「日本の森を守る 地方銀行有志の会」の10周年イベントの一環として実施されたもので、今回「沖縄の銀行らしく、やるなら『海の森』であるサンゴ礁の保全に関わりたい!」という琉球銀行さまの強い想いで実現しました。

「こんなもの一所懸命見たの初めてだわ…」と言いながら熱中してくださいました

今回のプログラムのコンセプトは「ビーチクリーニング、ビーチコーミングを通じてサンゴ礁の自然を知ろう、興味を持とう!」そして「知ったり、興味・関心を持ったり、それを発信したりすることが保全の重要な一歩であることに気付こう!」というもの。

当日は、午前は行員の方々とそのご家族、午後は新入社員の方々が交代でプログラムに参加。当日の様子を写真でダイジェストでお伝えします。

両側に生えているのは代表的な沖縄の海岸植物アダン

まずは、道沿いの海岸植物なども観察しながら集合場所まで移動です。

ガヤバジの巣を観察

沖縄で「ガヤバジ(カヤの原っぱにいるハチの意)」と呼ばれるオキナワチビアシナガバチの巣を見せられてちょっとビビる子どもたち。

シーミー(清明)シーズンのお墓の草刈りをしていてチクっとやられるのは、だいたいこいつです。

まずは全体で挨拶&本日のプログラムについて説明です。

こちら本日のガイド陣です。私以外若いですが、みなさん沖縄の自然・フィールドや生物学に明るいのはもちろん、それぞれが何らかの生物学分野のスペシャリストの卵たちです。

ヘリグロヒメトカゲ

ゴミを拾ったり、バッタやトカゲ、植物などを見ながら進みます。このヘリグロヒメトカゲは行員であるお父さまがつかまえていました。見かけに似ずめちゃくちゃ素早いトカゲです。

このアダンの林をくぐると向こうは海。

海岸に出た!

ビーチクリーニングなのでもちろんゴミは拾うのですが、本日はそれに加えて「ビーチコーミング」、つまり海岸に打ち上げられているゴミではない様々なものを拾い集め、観察したりもします。

こんなシートを配布しました。いくつ見つかるかな?

なにか面白いものを見つけたよう。

こちらでも。

ちょっと見せてもらいました。

マダライモ、イボシマイモ、ノシガイ、オオシマヤタテ、ハナビラダカラ、それにビーチグラスなどなど。

沖縄ではきれいに丸くけずられたビーチグラスは少なく、こんなカチ割り氷みたいなカクカクしたビーチグラスが多く見つかります。これは沖縄の砂が、石灰岩主体のとても柔らかい(硬度が低い)砂でガラスを削りきれないからと考えられます。

ビーチグラスは人工物ですが、こんな所にもちゃんと沖縄の自然が絡んでいるのです。

こちらは午後の新入行員組の方々。今回、新入社員研修の一環と位置付けられているそうで、真剣です。でも楽しそう。

そして皆さんが拾ってきたものをネタにして、私たちがいろいろしゃべくったり、問いかけて考えてもらったり。

たとえば、子どもたちにふだん海岸でなにげなく骨(骨格)を目にしている「サンゴ」という生き物について。

大人のみなさんにも、サンゴの白化について。

たった今拾ってきたものと目の前の海が教材。

お説教くさくサンゴ礁の環境保全の重要性を説くというよりは、サンゴ礁の海がより好きになってもらえるよう、そしてその魅力をどうやって伝えようか、というお話をしてきました。

そして今回みなさんで制作したのが、「飾りたくなるビーチコーミング標本」。

ちなみにこれ、ただのインテリアではありません。

プログラムに参加した行員の方全員が、この中身をつかって「サンゴ礁にまつわる何か面白い話」ができるようにしましょう!ということで企画しているので、銀行などの窓口などで見かけたら、ぜひ「これなぁに?」って聞いてみて下さい。

最後に、まとめの話をして記念写真を撮って終了!

こちらは新入行員の方々。なんかバラバラに見えますが、これは全員がスタンバイする前に弊社カメラの電池が切れてしまったためです(すみませんでした!)。新入行員の方々のチームワークは抜群でしたよ。

琉球銀行の行員の皆さま、ご家族の皆さま、本当にありがとうございました!  

【写真満載】ヤシガニってどんな生物?食べられるの?はさまれたらどうなる?論文も引用しつつ解説してみるよ

「ヤシガニ」をご存知でしょうか?

テレビなどのメディアでもときどき取り上げられるので、写真や映像で見たことがある人も少なくないかもしれません。

カニでやエビに少しずつ似ているけれど、でもどちらでもない、とても奇妙な形をした生き物です。

ヤシガニ…ヤシガニって何だ?

いかにも海の中にいそうな形をしていますが、さにあらず。成長すると海水にも淡水にも入ることはなく、森の落ち葉の上をのしのしと歩き回ります。

体はがんじょうな殻に覆われ、非常にがっしりしています。

甲はヘルメットのような形をしていますが、よく見ると上の写真のように、左右に分かれています。はさみや脚は硬いですが、甲の部分はふつうのカニのようにカッチカチな硬さではなく、硬めのソフトビニール人形のような手ざわり。

脚は5対(片側5本の計10本)あり、いちばん前の脚は強大なはさみ(鉗脚)になっています。

そしてよく見ると、実は一番後ろの脚も小さなはさみになっています。

ヤシガニは何の仲間?

カニでもエビでもないような形をしたヤシガニは、実はヤドカリ、それも「オカヤドカリ」に非常に近い生き物です。

ミトコンドリアの遺伝子領域の再配列順序でみたカニ・カニダマシ・ヤドカリ類の系統関係(ML法による系統樹).Morrison et al, 2001を改

エビ目ヤドカリ下目(異尾下目)、つまり「いわゆるヤドカリ」の中でもとりわけ陸上に適応したのがオカヤドカリの仲間で、その中でも進化の過程で貝殻を背負うことをやめてしまった変わり者がヤシガニ、と言えそうです。

こう見るとオカヤドカリっぽいですね

ちなみにオカヤドカリは亜熱帯〜熱帯にかけて分布するヤドカリで、名前のとおり陸上で暮らしています。

ヤドカリ類のしっぽ(腹部)はやわらかく、巻き貝のら線形にあわせて「くるん」と巻いているものがほとんどです。

ところが殻を背負うことをやめてしまったヤシガニは腹部をお腹の下に折りたたむような形で保護しており、さらに腹部は上半分が殻で覆われています。

一方、腹部の下半分、内側に折りたたまれいる部分(上の写真の◯の部分)は実はぷにぷにと柔らかいのです。

が、ここは強力なハサミのリーチ内なので、さわってみようかな、なんて気は起こさないこと!!

ヤシガニもオカヤドカリもエラ呼吸

ヤシガニやオカヤドカリはエラを持っていて、そのえらを常に水でしめらせ、空気に触れさせることで水に溶けこんだ酸素を取り入れて呼吸しています。

この仕組みのおかげで、空気中で呼吸することができるのです。

ヤシガニの場合、陸上生活への適応が進んだ結果、えらが水で満たされてしまうと十分な酸素が得られず、水の中に長時間いると溺れ死んでしまうようです。

ヤシガニの大きさは?

ヤシガニがもうひとつ他のオカヤドカリの仲間と違う点は、そのサイズです。ちなみに上の写真はごく小型の個体です。

では大きいのはどのくらいか?

はい、どーん!

この個体で体長20cm、体重2kgほどでしょうか。

これでも最大級にはまだ遠く、最大で4kgほどになる、いやもっと大きくなるのでは?と言われています※1

また、かなり長寿であることが知られ、最近沖縄で行われた研究で、50年ほど生きるだろうということが分かっています(Oka et al, 2015)※2

写真の個体は、現在の筆者(32)より先輩である可能性も大ですね(笑)

※1 カニなどの甲殻類の仲間には、大きくなるにつれ成長はゆっくりになるものの、生きている限り脱皮を続け大きくなるものが少なくありません。なので、時折長生きした結果とんでもなく大きな個体が見つかることがあります。

※2 Oka S, Miyamoto K, Matsuzaki S, Sato T. Growth of the Coconut Crab, Birgus latro, at its Northernmost Range Estimated from Mark-Recapture Using Individual Identification Based on Carapace Grooving Patterns. Zoolog Sci. 2015 Jun;32(3):260-5. doi: 10.2108/zs150008.

…こんなサイズのヤシガニ、夜の森の中でいきなり会ったらちょっとビビリますよね?

ヤシガニは、陸上生活をする節足動物(昆虫やクモ、ムカデ、カニなど)としては、間違いなく地球上最大(重さ)の種です。

この「大きさ」は、身を守るのにも役立っていると考えられます。

特に1kgを超えるような大きさに成長してしまえば、自然界にヤシガニをおびやかせるような生物はそうそういません。…人間を除いてですが。

ヤシガニは、貝がらを捨てて大きくなるという進化の道を選んだのでしょうか。あるいは、大きくなりすぎた結果、貝がらを背負えなくなったのでしょうか。答えはヤシガニ自身も知らないかもしれません。

ヤシガニは木を登る??

次はヤシガニの行動や生活史について。

ヤシガニは英語でもcoconut clab(つまり椰子蟹)と呼ばれます。

ヤシの木に登って、実を落として食べる…という話が昔から都市伝説的に語られていますが、これは真実ではない模様。

ですが、木登りが大変うまいのは事実です。

脚でがっしりと木の幹をつかみつつ、ビックリするほどスルスルと木に登ることができます。

巨大な個体でも、この通り。ちなみに後ろ向きで登ることもできます。

オーバーハングした岩もこの通り

また、ココヤシの実を食べるのも事実のようです。(沖縄にはもともとココヤシは分布していないので、実際に食っているのを見たことはありません)

基本的に動物性のものも植物性のものも食べる雑食です。ほかにもアダンの実などが好物で、アダンに関しては地面に落ちたものだけではなく木に登ってなっている実を食べたりもするようです。

余談ですが、アダンの実は完熟すれば人間も食べることができます。味は「あんまりおいしくないカキ」という感じ。熟れていないと激渋だし、熟れるとあっという間に大量の虫がたかるので、タイミングが難しいです。

ヤシガニにはさまれるとどうなる?

ヤシガニを有名にしたものの一つが、ヤシガニの「はさむ力」の強さです。

ハサミ状になったヤシガニの第一脚

これまでも「凄い力だ」とは言われてきましたが、最近、ヤシガニの「はさむ力」を本格的に計測した研究が行われました(Oka et al, 2016)※3

※3 Oka S, Tomita T, Miyamoto K. A Mighty Claw: Pinching Force of the Coconut Crab, the Largest Terrestrial Crustacean. PLOS ONE. 2016 Nov. doi:10.1371

この研究によれば、これまでに計測された最大の力は2キロ超の個体の1765N(ニュートン)。最大級の個体ではその力は3000Nを超えるのではないかと言われ、これはライオンのかむ力に匹敵するのではないかと考えられています。

人間の指の骨などは本当に簡単に砕いてしまうくらいの力なので、くれぐれもはさまれないように注意が必要です。

ちなみに写真は、ヤシガニの大型個体を見つけて一緒に写真を撮ろうとしたところ、服をつかまれ、ものすごい力でたぐり寄せられてビビっている筆者。

この後、シャツを脱いで危機を脱しました。

その後、シャツをつかんだまま後退して逃げようとするので取り返そうとしましたが、なんと体重70kgのこちらが引きずられます(笑)(上の論文によると、大型の個体は30kgの物体を持ち上げる力があるそうです)

ヤシガニがあきらめて放してくれるのを待って、なんとかシャツは取り返しました。

ヤシガニは食べないほうがいい?

ヤシガニと言えば、とにかく「珍しい食材」としての情報がクローズアップされます。

でも、はじめに言っときます。今後、ヤシガニは食べるのはなるべく止めておきましょう。理由は2つほどあります。

理由①:とても希少

すでに書いたように、ヤシガニは自然界では天敵の少ない、かつ長生きな動物です。

つまり、たとえたくさんいるように見えても、「長生きで死なないからたくさんいる」のであって、捕まえて食べてしまえばあっという間に減ってしまうのです。

このような動物は、他の魚などのように人が「資源」として利用するの向きません。

養殖するとしても、あまりに成長が遅いという問題があります。食べられるくらいのサイズ(殻がたいへん厚くあまり身が入っていないので、体重500gくらい必要)になるのに、オスで10年以上、メスは25年かかると考えられています。養殖の方法が確立したとしても、とても商売としてやっていけなさそうですね。

さらに、ヤシガニが生息することのできる環境は年々減り続けています。とくに沖縄本島では、一時期絶滅したのではないかとさえ言われていました。

現在では生息地が何ヶ所か確認されていますが、環境省のレッドリストでも絶滅危惧II類(VU)に指定されており、絶滅のおそれがあることに変わりありません。

生息にはこんな感じの環境と、大小の洞窟とがセットで必要

各島でも減り続けており、多良間島ではようやく繁殖期の個体の捕獲を禁止する罰則付きの条例が制定されました。

テレビや観光雑誌などでグルメ食材として取り上げられることがありますが、観光で来た人が食べるほど数がいるような生き物ではないことは確かです。

文化としてヤシガニを食べるという地域もありますが、これも人口密度の低い地域で、ごくたまに獲って食べる…というくらいでないと、とうてい成立しないものです。

不幸なのは、沖縄県内でこの事実があまり知られておらず、「ヤシガニ」というと食べることを連想してしまう県民がいまだに多いことです。

ヤシガニにかぎらず、逆に希少性を売りにして高い値段で提供する…という商売をごくたまに見かけますが、これはもう論外ですね。

理由②:食中毒のリスク

ヤシガニ自身は毒を作りませんが、さまざまなものを食べるヤシガニは、食べたものによっては猛毒を持つことが知られ、死亡例もあります。

ハスノハギリという木の実がその原因になっているという説もあるものの、まだはっきりしたことは分かっていません。

ハスノハギリはこんな葉を持つ樹

一部地域では、毒のある個体は茹でたときの色で判断できると信じられていますが、科学的根拠は全くなく、明らかな迷信です。

(他のエビやカニの仲間と同じで、加熱によってタンパク質と結びついていたアスタキサンチンが分離して赤系の色に発色するため、茹でると必ず赤くなります)

ヤシガニと沖縄文化

沖縄にはかつてヤシガニを食用としていた地域がある一方、ヤシガニを「死者の魂をあの世に送る存在」として、決して食用にしなかった地域もあるようです。

かつて奄美・琉球では死者の遺体を洞窟に安置して白骨化させる「風葬」が一般的でしたが、この風葬の期間、遺体の肉を食べてきれいに取り去ってくれる代表的な生物が、ヤシガニやオカヤドカリだったということです。

洞窟内のヤシガニ

さすがにご遺体の肉を食べた(かもしれない)生き物を食べるというのは抵抗があるようで、どうもそのような言い伝えが色濃く残っている島や地域では、ヤシガニも比較的多く残っているようです。

どこに行けばヤシガニに会えるの?

上記のように沖縄県内ではヤシガニを見つければ捕まえて食べようとする人がまだ多く、残念ながらヤシガニが残っている地域について、一切具体的な情報を公開することはできません。

SNSなどに上がっている写真のGPS情報から簡単に場所を特定される時代ですので、ヤシガニを見つけても安易にスマフォで撮った写真をアップしないよう、お願いいたします。

ヤシガニは海岸に近い森に生息しています。ふだんは海からかなり離れたところにも住んでいますが、産卵の季節になると海に下り、腹に抱えた卵を海水に浸けます。すると、その刺激で卵からヤシガニの幼生がふ化して海の中へ飛び出していきます。

しばらくプランクトンとして育った幼生は、はじめオカヤドカリそっくりな形になり、貝がらを背負って上陸してきます。そしてしばらく成長するうちに貝がらを捨て、親と同じような生活スタイルに落ち着きます。

オカヤドカリとヤシガニ幼生の見分け方ですが、オカヤドカリは貝がらにこもるときにハサミと脚を使い、自分が入っている貝がらにフタをすることができます。

たとえ小さい個体でも、こんな風に脚とハサミを使ってフタができるのがオカヤドカリ

多少はみ出ることはありますが、とにかくハサミや脚を組み合わせてピッチリ隙間を塞ぐことができるのがオカヤドカリです。

これに対して、貝がらを背負っている時期のヤシガニは、貝がらにこもっても隙間だらけで、オカヤドカリほどうまく入り口を塞ぐことができないそうです。

ヤシガニはペットとして飼える?

正直なところ、筆者もヤシガニを飼ってみたいと思ったことが何度か…いや何度もあります。ただ、ヤシガニを長期飼育するのは大変難しいそうです。

ヤシガニに限らずオカヤドカリもですが、雑食性の生物の飼育は餌の栄養バランスがものすごく難しく、人間の与える餌では栄養に偏りが生じてなかなかうまく飼育できません。

また、適度な湿度があってなおかつ風通しがないと脱皮不全などで死にやすく、そのあたりのコントロールも非常に難しいようです。

オカヤドカリは数年生かした、という話をたまに聞きますが、オカヤドカリも20年くらいは生きると考えられているので、健康な状態で長生きできているかは疑問です。

プラケースなどに入れて数日飼うというのだと、プラケースを破壊して脱走する可能性が大です。また、水分が足りなかったり熱がこもる場所に置いていたりすると簡単に死んでしまいます。

もし見つけても、長生きさせる自信がないならその場で観察して逃がすのが最良です。

まとめ

  • ヤシガニはオカヤドカリの仲間
  • ヤシガニにはさまれると超危険
  • ヤシガニは数が減っており、成長も遅いため、食べるべきではない

ヤシガニは学術的に興味深いのはもちろん、なにより出会って非常に楽しい生き物です。

こんな生き物、子どもたちが見つけたら大はしゃぎなのは容易に想像できると思います。

美味しいという話も聞きますが、その「食体験」は、この先何十年もそのヤシガニが地元の子どもたちを楽しませる可能性を奪ってまで得るものでしょうか。

野生の生き物を捕まえて食べるというのは必ずしも悪ではありませんし、うまくやれば人が自然に依って生きていることを再認識素晴らしい体験にもなり得ます。

ただ、ヤシガニはそれをするにはあまりに成長の遅い生き物で、また今ではあまりに数が少なくなりすぎました。

せっかくお互いに生き物としては長寿なのですから、もしヤシガニに出会っても、「10年後また会おうな!」と言ってそっと逃してあげましょう…!

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沖縄のサンゴに何が起こっているの?もっと知りたいサンゴの白化現象!

2016年、沖縄県内外で話題になったサンゴの白化現象。皆さんはニュースや新聞でその話題をご覧になりましたか?沖縄でダイビングやシュノーケリングを楽しめば、ほぼ必ずと言っていいほど目にするサンゴたち。そんなサンゴに何が起こったのでしょうか。今回は沖縄で起こっているサンゴの白化現象についてご紹介します。

 

2016年の沖縄の海で起こったこと

2016年7月31日、恩納村にて撮影。リーフ内のハマサンゴの仲間が白化していた。

 

2016年は台風の数が少ないイメージがありますが、実際に発生した台風の数は平年並みでした。ただし、台風1号の発生が7月と遅く、沖縄地方に接近した台風の数は平年より1ヶ月遅れて9月がピークとなっていました。

海水温をみてみると、台風の影響を受けた9月を除く6月〜8月、10月〜12月で平年より海水温が高い状態が続いていました。台風には浅いところの温かい海水と深いところの冷たい海水をかき混ぜて浅い場所の海水温を下げる働きがありますが、2016年はそうはいかなかったようです。

その結果、離島を含む沖縄各地でサンゴの白化現象がみられ、キュリオス沖縄がツアーで利用している恩納村のフィールドでも白化したサンゴを多数確認できました。

その後、学会等で情報交換したところ、沖縄本島周辺でのサンゴの白化は局所的なもので、場所によっては健康なサンゴもしっかり残っていることがわかりました。

 

そしてニュースで最も話題になっていたのは石垣島と西表島の間にある石西礁湖と呼ばれる場所。こちらは2016年6月中頃から海水温が30℃を超える期間が約2ヶ月も続いたとのこと。2016年7月から8月にかけて行われた調査では、調査地点35か所において、海底を覆っているサンゴのうち、少しでも白化しているサンゴが占める割合の平均が89.6%となっていました。

 

全ての地点で白化したサンゴ(ピンクと白色)がみられた。引用:石西礁湖のサンゴ白化現象の調査結果について(お知らせ), 図2 各地点の白化調査結果, 環境省 那覇自然環境事務所, 2016年08月31日

 

上記の2016年7月・8月に行われた調査結果を見てみると、場所によってはほとんどのサンゴが「全体が白化している」状態(白色)であったり、逆に半数以上が「白化していない」状態(緑色)だったりと違いはあるものの、全体として一部でも白化したサンゴが大多数を占めているのがわかります。

その後、2回に渡って追跡調査が行われ、白化したサンゴの様子を追っています。その結果、2016年11月・12月の調査結果では調査地点全35地点において平均して70.1%のサンゴが死亡していたことがわかりました。

 

円グラフの黒い部分が「全体が死亡した群体」の割合となる。引用:西表石垣国立公園 石西礁湖のサンゴ白化現象の調査結果について, 図3(3) 調査結果(3回目:11 月下旬~12 月下旬),   環境省 那覇自然環境事務所, 2016年08月31日
健康な状態の石西礁湖のサンゴ群落。2015年4月, 石西礁湖。写真提供:池内絵里 氏(琉球大学大学院 理工学研究科)
多くのサンゴ群体が白化している。2016年9月, 石西礁湖。写真提供:池内絵里 氏(琉球大学大学院 理工学研究科)
広い範囲で白化しているのがわかる。2016年9月, 石西礁湖。写真提供:池内絵里 氏(琉球大学大学院 理工学研究科)
2016年の大白化から一年。死亡したサンゴが形をとどめたまま残っている。2017年9月, 石西礁湖。写真提供:池内絵里 氏(琉球大学大学院 理工学研究科)

 

その他、石垣島や宮古島で起こった2016年サンゴの白化について、観光事業者の皆さんが情報発信をしています。パッと見た感じですごくきれいに見える白化したサンゴの写真の数々。現場の方々の複雑な心境が伝わってきます。

 

 

2017年の沖縄の海で起っていること

2017年8月19日、恩納村にて撮影。リーフ内のシコロサンゴ、ハマサンゴの仲間が白化していた 。

 

2016年も白化が観察された恩納村のポイントでは、2017年8月にリーフ内で多数の白化群体を確認しました。他の地点の情報はまだ把握できていませんが、NOAA(National Ocean and Atmosphere Administration, アメリカの国立海洋大気庁)が出しているサンゴの白化注意報では、9月現在でAlert Level 2となっており、サンゴの死亡が予想されるレベルとなっています。

9月16日の時点でも沖縄近海はAlert Level 2となっている。引用:Daily 5km Satellite Coral Bleaching Heat Stress Monitoring, 2017年9月16日

 

まだ全体の情報がまとまっていないので2017年がどういう状況なのかは不明です。昨年と同様に台風が少なく、深いところにある冷たい海水と表層の温かい海水が撹拌されず、水温が高い状態が続いているようです。

暑かった…7月の沖縄 海水温が過去最高 風弱く日射が多い|沖縄タイムス, 2017年8月2日

 

サンゴの白化はなぜ起こる?

シコロサンゴの仲間。薄い葉のような形をしている。

 

ここでようやく本題です。そもそもサンゴが白化するとき、サンゴに何が起こっているのでしょうか?

サンゴはクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物の仲間で、炭酸カルシウムでできた白い骨格を作るのが特徴です。そしてもう一つの特徴として、サンゴの体の中には「褐虫藻(かっちゅうそう)」と呼ばれる小さな藻類が暮らしており、サンゴの体内で光合成をしています。

褐虫藻は名前のとおり褐色をしているため、多くのサンゴは茶色っぽい色をしています。この褐虫藻は、光合成をして作った栄養分をサンゴに渡し、サンゴも日光の当たる場所や光合成に必要な成分を褐虫藻に提供しています。このように、サンゴと褐虫藻は共生関係を築いています。

ちなみに褐虫藻がサンゴの体内に共生していることを最初に発見したのは、日本学術振興会が1934年にパラオに開設した「パラオ熱帯生物研究所」で研究を行っていた川口四郎博士です。1944年にその研究成果を報告しています。

日本人なら知っておきたい、日本人研究者のパラオでの活躍 ~パラオ熱帯生物研究所~|Ocean+α

 

 

サンゴの白化現象は、この褐虫藻がサンゴに消化されたり、体の外に吐き出されたりすることでサンゴの体内から失われ、サンゴの白い骨格が透けて白く見える現象です。

サンゴが白化する原因としては、強い光、高水温、低水温、低塩分濃度などのストレスが知られています。これらのストレスが褐虫藻が行う光合成反応に影響することで、活性酸素が発生します。活性酸素は、DNAやタンパク質にダメージを与えるやっかいな物質です。これがサンゴの細胞内で様々な障害を引き起こすため、サンゴと褐虫藻の共生関係が崩れると考えられています。

 

白化したハマサンゴ、シコロサンゴの仲間。

近年では褐虫藻がサンゴの体外に放出されるだけでなく、褐虫藻自体が色素を失って透明になったり、小さく縮小したりするなどの細胞異常を経て死んでしまい、白化してしまうこともわかってきました。

また、高水温下でのバクテリアの感染によりサンゴの白化が進むことも最新の研究で報告されています。傷ついたサンゴはバクテリアに感染しやすく、高水温で白化しやすいという実験結果が示されていました。海水浴客による踏みつけでサンゴが傷つくと白化を促進してしまう可能性も考えられますね。

 

白化したサンゴはどうなるの?

健康なサンゴは褐虫藻がもつ色素により茶色をしている。

 

勘違いされることも多いですが、白化したばかりのサンゴはまだ死んでいません。白化したサンゴに近づいて観察してみると、褐虫藻を失って透明になった小さなイソギンチャクのような形をしたサンゴのポリプがまだ生きているのがわかります。

そのため、例え白化したとしても環境条件が改善されればサンゴ体内で再び褐虫藻が増殖し、色を取り戻すことがあります。軽度な白化であれば毎年夏の時期に見かけるため、白化すること自体は珍しい現象ではありません。

 

白化したばかりのミドリイシ。
まだら状に白化しているハマサンゴの仲間。

 

それでは環境が改善されなかった場合、サンゴはどうなってしまうのでしょうか?

白化後もストレスに晒され続けると、白化したサンゴはそのまま死んでしまいます。体内に共生していた褐虫藻がいなくなり、栄養分を分けてもらえなくなったサンゴは、体内に貯蔵していた脂肪を分解して必要なエネルギーを補います。

そのため、白化して弱ったサンゴは貯蔵している脂肪の量が劇的に減ることが報告されています。そして、環境が改善されるより先に貯蔵した脂質が尽きてしまうと、先の石西礁湖の写真でもお見せしたように死んでしまうのです。死亡したサンゴは藻類に覆われ、下の写真のような姿になってしまいます。

 

少しわかりにくいが、褐色や紫色がかった藻類がサンゴの骨格を覆ってしまっている。
白化して死亡したミドリイシの仲間。

 

こうなってしまうと景観が悪化するだけでなく、生息する生き物にも影響がでます。1998年に起きた大規模なサンゴの白化現象の後、サンゴをエサにするテングカワハギやチョウチョウウオの仲間がいなくなってしまったという報告があります。昨年の大規模白化により、もしかしたら場所によっては生息する生物の種類が減っている可能性もあります。

昨年起こったような広範囲の白化現象で死滅したサンゴが回復するのには、数十年かかると言われていますが、過去の事例をみるとサンゴの種類によっては生息数が回復せずにその場所からいなくなってしまう場合もあるようです。

 

サンゴが白化したらどうすればいい?

まずは知ることから始めてもOK

 

サンゴの白化で変わっていく環境を短期間で劇的に改善することはほぼ不可能です。しかし、小さなことでもできることはあります。例えば、サンゴのストレスの原因を減らすために、農場から赤土が流れないようにしたり、海に流れ出る生活排水を減らしたり、サンゴにやさしい日焼け止めを使ったりと身の回りで始められることもあります。

また、そもそもサンゴがどういう生き物なのか、サンゴ礁がどういった環境なのかを知ることも重要です。図鑑以外にもサンゴやサンゴ礁の生き物を題材にした書籍がいくつかあります。そういった本を読んでみたり、実際にサンゴ礁の海へ足を運んだりするのも良いでしょう。

最近だとサンゴマップという一般市民が観察したサンゴの状態や生息情報を投稿できるWebコンテンツもあります。沖縄旅行の際や休日に海へ遊びに行った際に観察したサンゴの情報を投稿するのもいいかもしれません。これらの投稿情報を研究者がデータとしてサンゴ研究に活用もしていますので、サンゴ研究者を応援することにもつながりますね。

 

沖縄の海で起こっていることを紹介しましたがいかがだったでしょうか。沖縄の夏のピークは過ぎましたが、2017年の夏をサンゴ礁の海がどう乗り切ったのか、その結果がまとまるのはこれからです。2017年のサンゴ礁がどうなるのか、そしてこれから先の未来のサンゴ礁がどうなっていくのか、注目したいと思います。

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のんびり一人旅の沖縄旅行で、ガイドが同行するエコツアーへの参加が意外とおすすめな5つの理由

急にぽっかり空いた休暇に、日ごろの自分へのご褒美に、のんびり自由な旅がしたくて、一人旅で沖縄へ…という方は年々増えています。

一人旅は気ままでいいものです。スケジュールにしばられた日頃の生活から解放されて自分のペースで行動するなら特に、一人旅に限ります。なにせ、行き先はもちろんのこと、何時に起きて何をいつ食べて…ということまで、何もかもまったくあなたの自由です。

もし一緒に行く相手が徹底的に自分に合わせてくれる人だったとしても、「合わせてもらってる」という感覚がどこか頭のかたすみにありますよね?一人旅はそれすらありません。

せっかく行き先が自由なのですから、徹底的に自分の好きなこと・興味のあることをしましょう。

レンタカーは必須?食堂へは一人で入れる?沖縄への一人旅のプランを立てるなら

1.一人旅でのアクセス

バスなどのアクセスにしばられず思い立った場所にふらっと行くなら、第一の選択肢はレンタカーになります。料金を抑えたいなら、ニコニコレンタカーはオススメ。県内に14店舗もあり、景色のいいスポットの多い県北部にも2店舗(名護市)あるのはポイント高いですね。ただし乗り捨て不可なので要注意。

“格安レンタカー革命!激安ニコニコレンタカー 沖縄のレンタカー店舗一覧”
https://www.2525r.com/okinawa/

少し値は上がりますが、乗り捨て可能なレンタカー屋ももちろんたくさんあります。またレンタカーは、ハイシーズンは申し込みが殺到してどこも空きがない…という状態になりやすいので、とにかく早めの予約を。

一人旅なら思い切ってバスを利用してのんびり巡ってみる、というのもアリかもしれません。が、沖縄のバスは基本的に「遅れます」。ハプニングが起こっても動じないぞ、という方ならチャレンジしてみてもいいかもしれません。

2.一人旅で日帰り離島

レンタカーを借りたなら、本島から気軽に船で渡れる離島に足を伸ばすのもアリです。船酔いなどの問題もあり、このへんは同行者がいると意見が分かれそうなところですが、一人旅なら問題なし!

ちなみに本島から日帰りで無理なく船で渡って観光できる離島は「久高島」「水納島」「伊江島」「伊是名島」「津堅島」「渡嘉敷島」など。

ほかに「瀬底島」「屋我地・古宇利島」「浜比嘉・伊計島」「奥武島(南城市)」など、橋で渡れる離島も気軽に寄れてオススメです。

屋我地島と本部半島の海峡「ワルミ大橋」。沖縄本島指折りの絶景だ。

3.一人でも参加できるアクティビティ

沖縄、とくに沖縄本島は人気の観光地になっているだけあって、ダイビングなどの体験も1人でも気軽に参加できるプランが豊富に揃っています。

ダイビング業者は「激安」をうたっている所より、ある程度しっかり料金を取って上質なサービスを提供している業者の方が安心です。

極端な安売りをせず、少人数制でしっかりしたダイビングサービスを提供している人気のショップ。
“マリンクラブナギ”

思い切ってパラセーリングをやる、なんていうのもアリかもしれません。ほとんどの業者が一人での参加を受け付けています。
“沖縄パラセーリング特集”

4.一人で入れる体験型観光施設

体験型の施設として、一人で参加する方にオススメなのが「ガンガラーの谷」のガイドツアー。数十万年前に鍾乳洞の天井が崩れてできた谷の中を歩ツアーで、非常に人気です。鍾乳洞の中にあるカフェ「ケイブカフェ」なんて珍しい施設もあります。

※2017年10月28より、これまで非公開だったエリアを利用した夜歩きツアー「夜のジャングル探検ウワーガージャングル」も始めるそうです。

室内でじっくり楽しむアクティビティとして一人旅の方に圧倒的にオススメなのが、首里琉染の「サンゴ染め体験」。サンゴの骨をカットした時に現れる模様を利用して、ストールやTシャツなどを専用インクで染めます。もちろんお一人様可。こちらも一人旅ならではこそ、じっくりと好きなだけこだわって1つの作品を仕上げられます。

5.一人で入れるレストラン・食事処

一人旅でとくに気になるのは、食事のときレストランや食堂に一人で入れるか…というところぐらいでしょうか。

しかし、外食が普通の文化ということもあって、沖縄の食堂はたいていの場合カウンター席など1人でも入りやすい席を用意しています。

一人旅で、ふと誰かと話したくなったら…エコツアーへの参加で決まり!

さて、ここからが本題。一人旅は気ままでいいものだ、という話をさんざん紹介してきました。たしかに、何事もマイペースで進められるというのは一人旅の圧倒的なメリットです。

しかし、「今日、これから何する~?」みたいな感じではしゃいだり、感動をその場で共有したりするぐ仲間はいません…一人旅ですから。人によっては「今日一日、お店の注文以外で会話しなかったな…」というのにふと寂しさを覚えるかもしれません。

沖縄らしさを満喫し、一人旅のメリットを活かしきりつつ、旅先で交流もしたい。そんなあなたに断然!おススメなのが…

エコツアーへの参加です(断言)!

「あ、ちょっといいかも?」と思った方も、「いやいや、あんまり興味ないし…」と思った方も、まあ聞いて下さい。

一般には家族向けと思われがちなトレッキング、ウォーキングなどのエコツアー、ネイチャーツアーですが、実は一人旅で「こそ」が楽しめる要素が満載なのです。

1. まず、ガイドという現地友達ができる!

一人旅のいい所は、何といっても旅先で新たな知り合い・友達ができること。家族、友人同士で行ってももちろんできないことはないですが、やはり1人で行動すると旅先で出会う人々とぐっと交流しやすくなりますね。

そしてそんな交流の第一歩として、エコツアーのガイドは最適です。もともと職業上、ホテルや観光施設の職員さんなどと違って接する距離が近く、自然な流れで自己紹介や雑談ができます。

居酒屋で見ず知らずの人に声をかけたり、かけられたりというのがちょっと苦手な方でも、ツアーは「もともとそういう場」なので大丈夫。ガイドや他の参加者たちと、ごく自然に交流することができます。

ガイドをやっている方はたいてい見識も広く、土地のおいしい店、地元の人のみ知る名所やスポット、方言、お土産などについて、ネットでは情報に埋もれてしまって手に入りにくいような情報をたくさん持っています。また交友の幅が広い人も多いので、そこからいろんな繋がりが増える可能性も。

ちなみに、ガイドもまたいろいろな地方から来るいろいろなお客さんに会えるのを楽しみにしています。私自身ガイドをしていますが、同僚のガイドの案内したお客さんには、(貸し切りでツアーで)道中しゃがみこんで次々とデッサンを始める、なんてお客様もいらっしゃいました(デザイン関係のお仕事をしている方だそうです)。

沖縄で知り合ったガイドとFacebookやLINEを通じて交流を続けていけば、次に家族や友人、恋人を連れて沖縄に行ったときに「実は、現地に親友がいるんだ…」なんてことも可能です。

2. インスタ・FacebookなどのSNSのタイムラインが華やかに

フォトジェニックなスポットの多いイメージがある沖縄ですが、とくに那覇の街中などは想像以上に「都会」。街から出ずに行動すると、大阪や東京にいたのとあまり変わらない被写体としか出会えません。

トレッキング、ウォーキングなどのエコツアー・ネイチャーツアーなどに参加すれば、美しい季節の草花や風景、さらに好きな人なら昆虫や爬虫類など、沖縄に行ってきた感満載の写真でSNSのタイムラインをうめつくすことができます。

本当に静けさと孤独を求めて一人旅をする方も中にはいますが、たいていの人はホテルや旅館にもどってSNSやメールを開いてしまうのではないでしょうか?そんな時、知り合いにリアクションしてもらえるような写真をいっぱい撮っていると、ちょっと旅先や帰った後の時間が豊かになるかもしれません。

3. 自然を知ることは文化を、ほんとうの沖縄を知ること

テーマを持って旅をする、というのも一人旅の楽しみ方のひとつです。

沖縄にかぎりませんが、その地域の文化や風習、人を深く知ろうと思ったら、その地域の自然について知る必要があります。「沖縄が好きで、沖縄のことは何でも知りたい!」という方には、ぜひ沖縄の自然についても興味を持ってほしいなと
思います。

たとえば、沖縄を代表する花として多くの方が真っ先に思い浮かべる「ハイビスカス」は実はインドなどが原産の外来種で、もともと沖縄にはなかった植物です。

代わりに、ハイビスカスによく似た「ユウナ(オオハマボウ)」という黄色い花を咲かせる植物が沖縄の海岸には自生していて、こちらは琉球民謡の歌詞に登場したり琉歌にも詠まれたりと、沖縄にとって非常に馴染みの深い植物です。

「ゆうな」と読ませる名前が沖縄の女性の名前として今も人気があるのも、たぶんこれと無関係ではありません。「ユウナの花」と聞いて灯りがともったような優しい黄色を思い浮かべられれば、ひとつ沖縄の人と共通の感性を手にしたことになります。

また、観光で訪れる方が沖縄の自然に興味を持ち知ろうとすることは、実は沖縄の観光の未来にとってとても重要なことです。

たとえば綺麗に整備されたリゾートやUSJやTDLのような巨大テーマパーク、魅力的なお土産や食事にばかり需要があれば、沖縄の観光の発展のためにはどんどん設備や施設を増やしていかなくてははなりません。

でももし「沖縄に来たんだから、沖縄の自然を楽しみたい」という需要が増えれば、地元としても観光資源である自然を積極的に保全せざるを得なくなります。これは私見ですが、沖縄が「沖縄らしく」あるため、そしてこの先も観光地としての魅力を持ち続けるために、沖縄の自然は絶対必要なものです。

4. 自然を通して、自分のあり方を見つめ直せる

一人旅をしてゆっくり自分の時間を持つことで、考えを深めたい、今の自分のあり方を見つめ直したい、という人もいます。

そんな時は、日々の生活の狭い世界での葛藤や衝突から抜け出し、自然の生き物の生き様に生き抜くヒントをもらってみるのはいかがでしょうか。

「ガジュマル」という沖縄を代表する樹があります。ガジュマルは影をつくる大きな樹がとなりにあると、まっすぐに伸びて高さを競うのではなく横に伸びて、より光を受けやすい方へ「逃げて」しまいます。そこで幹から根を下ろし、新天地で大きく成長します。

自然界というと厳しい掟というイメージがありますが、そしてそれは事実ですが、それ以上に自然界の生物は柔軟に、合理的に自らに合った生き方で生きています。

人類なんて生物の進化の歴史からすると「新参者」もいいとこなのですから、自然界の動植物の生き様から世渡りや人間関係、ビジネスのブレイクスルーを学んでみる、というのもアリかもしれません。

5. 土産話がとても豊かになる

旅先で出会ったエピソードに一人で向き合うと、人はその体験を誰かと共有したくなるもの。一人旅を終えるとたいていの人は旅先であったことをいろいろな人に「土産話」として語りたがります。

そんな時、何がおいしかった、何がきれいだったという話の中に、沖縄の自然や文化に関するキラリと光る「知識」が含まれていれば、聞く人からも一目おかれることうけあいです。是非エコツアー・ネイチャーツアーなどに参加して仕入れたネタで、定番とはひと味ちがう「沖縄通」を気取りましょう!

ツアーに参加するには?一人旅向けエコツアーの選び方と注意点

宿泊したいホテルや地域が決まっているのであれば、そこから遠くない場所、アクセスの良い場所のツアーを選びます。バスでの移動も可能ですが、とくに南部・中部のバスは遅れやすいため注意が必要です。北部のツアーには送迎などがなく現地集合・解散のレンタカー客向けのツアーも多くあるので、注意が必要です。

またツアーによっては、1人での参加を受け付けていないところもあるので、事前に要確認です。

ひとくちにコツアー・ネイチャーツアーといっても、カヤックや山登りなど体を動かすことが主体のツアーもあれば、じっくり草花や生き物、景色などを見て歩くツアーもあります。このへんは好みによって選択しましょう。どんなツアーか分からなければ、遠慮なく電話やメールで問い合わせてみるとよいでしょう。

★弊社(キュリオス沖縄)では、生き物を探したり観察したり、生態系や環境について学んだりするツアーを行っております。

よろしければ公式ページ、SNSも覗いていってくださいね!

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沖縄旅行をもっと楽しむ!島の自然を知る「エコツアー」をあなたが体験するべき3つの理由

沖縄旅行といえば、観光施設をまわったり、ショッピングをしたり、時にはビーチでのんびりしたりと様々な楽しみ方がありますよね。その中でも特に「沖縄の自然」を楽しみたいという方におすすめなのが「エコツアー」です。

エコツアーとは、簡単に言うと「地域の自然や文化を対象にした観光」といったところでしょうか。学びの要素が含まれているので好奇心旺盛な方には特におすすめですね。

ガイドさんがいっしょに自然の中を散策するするスタイルがほとんどで、カヤックやウォーキング、トレッキング、シュノーケリングなど、いろいろなジャンルがあります。今回は沖縄旅行をさらに楽しむためにこのエコツアーをオススメする3つの理由をご紹介します。

 

自然体験が与えるポジティブな影響


森林浴でリラックス!なんて話を聞いたことがありませんか?実は自然の中で様々な体験をすることによって、体験した人の心と体にリラックス効果をもたらし、病気の予防に役立つという研究が報告されています。

特に森林浴に関する研究が多くあり、日帰りの森林散策ツアーによってポジティブな感情が増し、ネガティブな感情をやわらげることが報告されています。また、2泊3日の森林散策ツアーでは、ストレス状態をつくるホルモンが減った結果、病原菌から体を守る細胞が増えたり、がんに対抗するタンパク質が増えたりする変化が約1ヶ月続くといった研究報告もあります。

 

沖縄本島北部の森の中にて。真っすぐ伸びるヒカゲヘゴ。

森林浴に限らず、海が広がる景色や波の音にもリラックス効果があると言われており、頭上に青空、足元にサンゴ礁の海が広がる広大な景色に出会ったときの開放感もきっとあなたの心と体を落ち着かせてくれることでしょう。

 

サンゴ礁の浅瀬が広がる沖縄本島南部の海

また、自然体験は子どもたちにもポジティブな影響を与えます。日常的な自然体験が子どもの「生物多様性」に対する親近感とその保全意識を育むなど、自然に対する意識に大きな影響を与えるという研究報告があります。

実際に私たちのツアーに参加した子どもたちの中には、最初は怖くて生き物に触れなかった子が少しずつ慣れていって触れるようになったり、自分から積極的に生き物を探すようになったりと短い時間の中でも子どもたちの成長を感じられることがあります。

 

オオイカリナマコに大興奮の子どもたち

エコツアーに参加することは、普段外で遊ぶ機会が少なくなった子どもたちが自然や生き物に興味をもつ良い機会にもなるでしょう。

その他にも、単純に体を動かして汗をかいたり、美しい景色と出会うことで感性が磨かれたり、エコツアーでの自然体験は私たちの心身をより健康に、豊かにしてくれます。普段の生活で出会うことのない沖縄の自然の景色の中で、心と体の休息をとりながら自然体験をしてみませんか?

 

沖縄でしか出会えない自然を体験できる

沖縄旅行で欠かせない物の一つに沖縄の特産品など、沖縄でしか買えないお土産があります。

実は自然環境も同じで、世界の中でも沖縄でしか見られない自然環境ばかりなのです。国内でもっとも南に位置する沖縄県には、日本の他の地域では見られない南方系の生き物が生息しています。

南方系のチョウ、コノハチョウ。沖縄県では天然記念物に指定されている。
背中のターコイズブルーが美しいルリマダラシオマネキ。国内では南西諸島にのみ分布。

また、世界中で沖縄本島やその周辺の離島でしか見られない動植物も多く生息しています。

 

シリケンイモリ。沖縄本島とその周辺の離島にのみ分布。山のなかのため池などに多い。
平たい殻と殻のまわりの毛が特徴的なシュリケマイマイ。沖縄本島と瀬底島の固有種
オキナワトラフハナムグリ。沖縄固有亜種。ときどき色が黒い個体がいる。

また、沖縄本島では、北部と南部で自然環境が大きく異なっています。北部では酸性土壌が広がる一方、南部ではアルカリ土壌が広がっています。植物は種類によって生育できる土壌が異なるため、沖縄本島の北部と南部の森では植物の種類が大きく異なっています。

 

沖縄本島北部には大型のシダ植物「ヒカゲヘゴ」が生息している。
一方、沖縄本島南部の森ではガジュマルやハマイヌビワの入り組んだ枝幹がよく見られる。

動物たちにおいても、ヤンバルクイナやオキナワイシカワガエルのように北部のみに生息する生物や、クロイワトカゲモドキなどのように同種でも北部と南部で特徴が異なる生物も知られています。沖縄本島だけでみても、北部と南部で見える景色や出会える生き物がかなり異なっているのです。

オキナワイシカワガエル。沖縄本島北部(やんばる)にのみ分布。一見派手な模様だが、コケむした岩の上にいると目立たない。

本島北部の個体は、背中の斑紋が途切れているものが多い。
本島南部の個体は、模様がつながって背中の真ん中で一本の筋になっている個体が多い。

 

沖縄の魅力に気づかせてくれるガイドとの出会い

自分たちだけで歩いていたら見逃してしまう自然の魅力に気づかせてくれるのが「ガイド」という存在です。エコツアーのガイドは、ツアー参加者とコミュニケーションをとりながら自然体験を提供し、ケガや事故がないように安全管理を行ってくれます。

普通なら気にも留めない生き物たちの特徴を解説してくれたり、自然との関わり方を教えてくれたり、自然と私たち人間のつながりに気づかせてくれたりと、豊富な知識とユーモアを交えつつ、沖縄の自然の魅力を体感させてくれます。沖縄をより深く楽しむためにガイドの存在は欠かせません。

普段なら素通りしてしまいそうな植物もガイドがいれば興味の対象に。

そして自然の中へ立ち入る際の安全上の注意やルール・マナー、自然体験に適した道具や服装など、ガイドから自然との向き合い方や利用の方法についても学ぶことができます。自然体験を安心・安全に、そして適切に楽しむ際には、ガイドのアドバイスがあるととても心強いです。

また、沖縄リピーターの中には、来沖時に必ずエコツアーを頼むほど仲の良いガイドがいたり、仲良くなったガイドとSNSで交流して沖縄情報を集めたりと、時には「沖縄の友人」といったレベルまで親交が深まることもあります。

 

わかりやすいようにいろいろな道具を使って解説してくれます。

ちなみにキュリオス沖縄では、ツアー参加者をガイドする際には、参加者の好奇心をいかに育むことができるかを意識してご案内しています。また、沖縄だけで完結せず、参加者が地元に帰った後もいつもの風景がちょっと違って見えるように「自然を見る視点」をお伝えできればと考えています。

ガイドによってツアーに対する想いや案内する方法、得意な分野が異なるので、ぜひいろいろなガイドと沖縄の自然を巡ってみてください。皆さんの知らない沖縄をきっと教えてくれますよ!

名護市でのカヤック・トレッキングは「おきなわさんぽ」(名護市)

■体験ダイビング・シュノーケリング・リバートレッキングなら美ら島探検隊「TLEBO(トレボ)」(本島北部)

■カヤックフィッシング・カヤック・トレッキングなら「ハーモナイズ。」(本島中北部)

■那覇から40分!沖縄のサンゴ礁とガジュマルの森ツアー「キュリオス沖縄」(本島南部)

 

さて、沖縄のエコツアーを体験すべき理由はいかがだったでしょうか?沖縄の文化は自然とも密接な関係にあるため、自然体験を通して沖縄の文化や歴史にまで話が広がるかもしれません。

広大な自然の中で沖縄の海や森と一体になる感覚や沖縄に対して湧く新たな興味・関心、訪れるたびに異なる沖縄の生き物との出会いなど、沖縄に来たなら体験して欲しいものがエコツアーには詰まっています。

エコツアーへの参加が皆さんの沖縄に対する興味をさらに育ててくれることでしょう。沖縄に来た際には、ぜひエコツアーにご参加ください。皆さんと自然体験できる日を沖縄でお待ちしています!

今回ご紹介したような、沖縄のサンゴ礁とガジュマルの森ツアーが楽しめるキュリオス沖縄へのお申込みはこちらからどうぞ!

沖縄の夜の森に、巨大なカニに会いにいくお話

さて、沖縄ではいよいよ夏も本格的になってきました。

先日、思い立って1人で懐中電灯片手に、夜の森に行ってきました。

カニに会いに。

翅の短いバッタ、オキナワモリバッタや

おやすみ中のキチョウの仲間がお出迎え。

蚊をたたきつつ夜の森を進むことしばし…(めんどいので、1人のときは蚊よけをつけてません)

いましたよ!本命のミナミオカガニ Cardisoma carnifex

カニって浜にいるもんでしょ?と思っている方には、落ち葉のつもった森の中にカニ、というのが新鮮かもしれません。

でもそういうカニなんです。

つかまえて写真を撮ろうとして、長靴をはさまれる

 

普段は海岸(とくにマングローブ)近くの林の中に穴を掘って暮らし、落ち葉などを食べています。

初夏の大潮のタイミングでいっせいに海に下って産卵し、しばらくプランクトンとして海で育った後、陸に上がってきて生活するようになります。そういう意味ではオカヤドカリやヤシガニに近いサイクルですね。

なんとか捕獲

カニをつかむのときは甲羅の横をつかむのが定石ですが、ミナミオカガニはハサミを甲羅のだいぶ後ろまでまわして威嚇してくるので厄介です。

こちらは♂

♂は、お腹にある三角形(腹節といいます。実はエビの食べる所にあたる部分です)がせまいのが特徴。

こちらは♀の個体。両方ともハサミがあまり大きくないですね。

こちらは♀

♀のお腹の三角形の部分は、卵をかかえられるように幅広になっています。

ごらんのようにかなり大きくなるカニですが、食べても味が薄くおいしくないようです。

もともと数もそんなに多く生息しているわけではないので、観察して楽しむにとどめましょう。

せっかくなので寄った写真も撮ってみました。

どうです、この威容。

はさまれたらさぞかし痛そうですが、♂の超大型個体になるとハサミが湾曲してきっちり閉まらないので、そこに指を入れてもはさまれません(写真の個体くらいだとダメです)(というかいずれにせよ真似しないでください)。

こんな感じでハサミを振り上げ威嚇してきます。そんなに動きが速いわけではないので、追い詰めるとじっくり観察できます。

シャキーン

 

こんなカニ、ツアーで見に行きたい方いらっしゃいます?

もし一定の需要があれば、イベント的にやるかもしれません。

〈文章:キュリオス沖縄 宮崎〉

【修学旅行】やんばるにて、都立農業高校さまの自然体験学習(亜熱帯の森コース)を担当しました。

4月20日、学習院高等科の修学旅行の「亜熱帯の森コース」のガイドを担当させていただきましたので、そのときのお話を。

当日は少し雨まじりの霧のかかる天候だったのですが、楽しんでいただけました。

トウヅルモドキという植物の葉を触っているところ

皆さん好奇心旺盛で、道すがら山の昆虫や植物について解説すると写真を撮ったり、触ったり。

センダンの花

登山道に入る前の道ではセンダンの花が満開でした。

リュウキュウコンテリギ

こちらはリュウキュウコンテリギ。アジサイのような装飾花はありませんが、アジサイの仲間。沖縄本島の北部「やんばる」に固有な植物です。

リュウキュウハナイカダ。

こちらはリュウキュウハナイカダ。葉の真ん中から花が咲く変わった植物です。葉の柄と花の柄が途中まで融合することで、こんな奇妙な形になっています。

そして意外と人気だった生き物が…

アワフキムシの巣

アワフキムシ。山中でこんな泡を見つけたら、誰かが吐いたツバではありません。アワフキムシの幼虫の巣です。

アワフキムシはセミやウンカに近い昆虫の仲間で、幼虫時代にお尻から出る水分と分泌物(アンモニウム石鹸)でこんな泡を作り出します。

泡なんて隠れ家としていかにも頼りなさそうですが、昆虫はふつう気門と呼ばれているお腹の穴を泡でふさがれてしまうと窒息死してしまうため、泡はきわめて有効な防御になります。

岩の上のカタツムリを激写中。

このとき撮られていたカタツムリはこちら。

シュリケマイマイ

シュリケマイマイという、殻の外周に毛が生えた平べったいカタツムリの仲間。いつも岩の上にいて、葉っぱの上や木の幹で見つかることはまずありません。

生徒さんの中にはデザイン専攻の方もいるそうで、自然の造形の面白さにとても敏感に反応してくれていました。

天気はいまいち

見晴らしのいい尾根に出ましたが、天気はいまいち。晴れた日ならここから海が一望できるのですが…

それでもめっちゃ笑顔

海側の景色がパッとしないので山をバックにパチリ。

こちらはもう1班のグループ。

ここでやんばるの自然の固有性についても解説。奄美〜沖縄本島〜八重山は温帯と熱帯のはざまに位置します。このような緯度の地域を地球上で探すと乾燥地帯がほとんどで、沖縄のような湿潤な気候の場所は他にほとんどありません。

熱帯でも本州のような温帯でもなく、かつ雨の多い沖縄は、気候的に見ただけでもすでにとても特殊な場所なのです。

さらにそこに、中国大陸とつながったり離れたり、という地誌が関係してさまざまな固有な生物が進化し、生態系が育まれました。

つまりは、こんな天気の日があるからやんばるの森が豊かでいられるって事ですね。

視界がちょっとよろしくないので下山は慎重に。

アリドオシの花。派手さはないですが整った形のきれいな花です。

…というわけで下山し、まとめをして終了!

自然や生き物の話を興味を持って聞いてくれたのも良かったですが、造形やデザインといった僕らが普段あまり見ない視点から楽しんでいた生徒さんもいて、こちらもとても刺激を受けました。

都立農業高校の皆さん、引率の先生、添乗員さん、ありがとうございました!

泡瀬干潟観察会でメナガオサガニハサミエボシに出会いました!

4月15日(土)に泡瀬干潟を守る連絡会主催の泡瀬干潟観察会に案内役として参加しました!

天気はちょうどよい感じの曇り。風も涼しく、快適に実施できました。

集合場所の浜。

 

出発前にアーサ汁が配られました。貝も入っています。ごちそうさまでした!

 

アナアオサ(左)とヒトエグサ(右)。やわらかさが違うね、と触り比べ。

アナアオサは2層の細胞でできているけどヒトエグサは1層の細胞でできているのでやわらかさが違う?触ってみていかがだったでしょうか。ヒトエグサは”一重草”ということですね。

小さいゴマフクモヒトデ。子どもたちに大人気でした。

 

左からホウシュノタマ、キンセンガニ、オヒルギの赤い萼。

 

小さいジャノメアメフラシ。目が可愛いと人気でした。

指先で背中をグリグリすると体内に殻が入っているのがわかります。アメフラシは殻を退化させた貝の仲間(軟体動物)。

ウミケムシの仲間?よく見るとかわいい。

 

ウロコムシの仲間?

 

ひょっこりと殻が水面から顔を出すハボウキガイ。

 

参加者が見つけたメナガオサガニに赤いハサミが・・・と思ってよく見てみると・・・

3本目の鋏脚ではなく、エボシガイの仲間っぽい。後で調べてみるとメナガオサガニハサミエボシ Octolasmis unguisiformis のようです。エボシガイは「ガイ(カイ)」とついていますがフジツボの仲間で甲殻類になります。ハサミに見えるので名前に「ハサミ」と入っているのでしょうか。ということはこの位置に特異的に着生するのでしょうか。そうだったらよくこんなところに・・・。

なんて感心していたらつい先日環境省が発表した海洋生物レッドリスト2017にて絶滅危惧IA類に指定されていました。絶滅危惧IA類は「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」というレベルになります。貴重な生き物だったんですね。

 

ちなみにメナガオサガニにはオサガニヤドリガイという小さな二枚貝も寄生(なのか共生なのか、関係性は不明)するようです。

ナマコ三兄弟。クロナマコ、トゲクリイロナマコ、ハネジナマコ。

 

クルマエビの仲間?参加者が砂を掘ると偶然発見。

 

今回の観察会のためにキュリオス沖縄の職人・宮崎に秘密兵器を製作してもらいました。

自作のヤビーポンプ。

砂の中に生息する生物を吸い出すヤビーポンプです。市販のものがあるのですが、日本国内では販売されておらず、手に入れるにはオーストラリアなどから個人輸入する必要があります。ということで作ってもらいました。

砂中泡瀬干潟をしばらく歩くとにはボコボコと小さな砂山に遭遇します。ゴカイやギボシムシ、ユムシの仲間など、砂の中に生息する生き物が排泄した砂が小さな山になっています。

そんな場所を見つけて試しに使ってみましたが結果はイマイチ。もうちょっと回数を重ねて使用してみたいところですが、道具そのものにも改良の余地がありそうです。
(使用の際はフィールドを荒らすことがないようにやたらめったらに使うことはしませんでした。)

 

当初の予想の倍近い参加者が集まって驚きましたが、事故やケガなく観察会は無事に終了!次回は8月に再度観察会を行う予定です。それまでにヤビーポンプの改良をしなくちゃ^^;

 

(仲栄真)

 

キュリオス沖縄では砂干潟と岩礁帯が隣接するフィールドでツアーを行っています。そちらもぜひ!

干潟ウォッチング!海の生き物の宝庫「亜熱帯の干潟」を訪ね歩いてみよう

生き物探しリーフトレッキング! 「サンゴ礁の海」で専門家ガイドと一緒に生き物さがし!

リスクマネジメント講習に参加してきました!

だいぶ日が経ってしまいましたが・・・。

2017年1月10日(火)にNPO法人エコツーリズムセンター(通称:エコセン)主催のリスクマネジメント講習を宮崎・仲栄真が受講してきました。ツアーの安全管理について体系的に学び、同業者の皆様と情報交換する良い機会となりました。

 

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塚原俊也 氏(くりこま高原自然学校 校長)が講師を務め、ご自身の経験談含めとても有意義な情報を提供していただきました。

 

リスクマネジメントとは

野外での体験型アクティビティやエコツアーは、自然を相手にする、または自然環境下で実施することから様々なリスク(講習の中では”不確実性“と表現)が存在します。「リスクマネジメント」とは、そのリスク(不確実性)を対応可能な範囲に収めたり、万が一の事態になった際に被害を最小限に留めるためにやりくりすることで、今回の講習ではそのための考え方や基礎的な知識を学びました。

その中で印象に残っているものを一つご紹介。ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故が起こり、300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったがその可能性があった出来事)が存在するという法則です。

 

ハインリッヒの法則
ハインリッヒの法則。1929年にアメリカのハーバート・ウィリアム・ハインリッヒによって提唱された法則。実際の労働災害を統計的に調べて導かれた法則とのこと。

 

ヒヤリ・ハットを減らせば、重大事故や軽微な事故が起こる可能性を抑えることができます。そのためには、日頃のヒヤリ・ハット事例を記録していき、それを安全管理マニュアルの作成等の日頃の取り組みに反映することが特に重要とのことでした。

 

安心・安全なツアーの実施のために

キュリオス沖縄では、ツアー事業を始める際に今回と同様の講習会に参加するなどして安全管理に関する情報収集を行いました。また、フィールドでの活動経験の豊富な先輩方にもアドバイスをいただきながら安全管理マニュアルを作成しました。

安全管理マニュアルでは、どういうときにツアーを中止・中断するのか、もしもツアー参加者が怪我をしたらどのように対応するか、そして緊急時の対応手順やリストアップした緊急連絡先などの情報をまとめています。

昨年(2016年)は沖縄県内においてビーチでの落雷事故やマダニによる感染症の発症などのニュースも話題になっていましたので、それらの事例も参考に見直しを検討しているところでした。今回の講習で新たに得た情報やリスクマネジメントに対する考え方を日頃の安全管理にうまく反映させて、これまで以上に安心・安全なツアーを提供できるようにしたいと思います。

 

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安全管理ハンドブックを教材としていただきました。

 

ツアーを選ぶ指標として

昨年は3月に西表島全域が国立公園となり、9月にはやんばる地域も国立公園に指定されました。これらの動きは世界自然遺産登録に向けたものであり、国は2年後の登録を目指して活動しています。

もしもやんばる地域が世界自然遺産に登録されたら、沖縄のエコツアー事業者は急激に増えるのではないかと予想されています。現状でエコツアー事業を始めるにあたって必要な資格や登録制度は特になく、誰でも開業できる状態にあります。そのため、事業者の数が急激に増えると、中には安全管理が不十分な事業者も出てくるかもしれません。

そうなると、体験ツアーを利用する際に事業者の安全管理体制やガイドスタッフの安全管理に関する講習の受講履歴、資格の有無を事業者を選ぶ際の指標として重要になってくるかもしれません。エコツアー事業者もどのような安全対策を行っているのか、きちんと情報発信しておく必要がでてきそうです。

沖縄で体験型ツアーを利用する観光客の皆さまもぜひ安全管理に関する情報をショップを選ぶ指標にご活用ください。そういった取り組みに力を入れている事業者が選ばれるようになれば、エコツアー事業者全体の意識がより高まってくると思います。

事業者と利用者の双方から「安心安全な体験」が提供できる沖縄観光にしていけるといいですね。沖縄で体験型ツアーに参加する際のご参考になれば幸いです。

 

 

危険?そうでもない?見かけてもそっとしておこう「ヒメハブ」

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やんばる(沖縄本島北部)の水場やその近くで最もよく遭遇するヘビがこのヒメハブ Ovophis okinavensisです。

沖縄で「太くて短いヘビ」を見かけたらヒメハブ

太短い体型が特徴で、体の色は変異がありますが、赤っぽいこげ茶色のものが多いようです。

ハブやサキシマハブなどとは少し違う仲間(ヤマハブ属)に分類されます。

沖縄の言葉で「ニーブヤー」(意訳:いつも眠そうにしている怠け者)と呼ばれるように、昼夜問わずじっとしていることが多く、あまり動き回りません。

ヒメハブの危険性は?

ヒメハブも、毒ヘビには違いありません。

これは体のつくりや性質を見ても明らかで、毒を使わずに狩りをするヘビは体も長く、もっとずっと筋肉質で素早いです。

ヒメハブの毒の毒性は、少なくとも人に対してはハブと比べてずっと低いと考えられ、またハブに比べると攻撃性も低いことから、山や畑作業に慣れた人には軽視されがちです。

ですが、2本指の欠けた手を見せながら「農作業をしていて咬まれて、放置していたら指が壊死してしまった」というお話をしてくださった方もいるので、あまり軽視しすぎない方がいいでしょう。

基本的に距離を保って観察する分には、向こうから近付いてくることはありません。

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また、枯れ葉にまぎれる体色や動かない性質から「いても気づきくい」ため、誤って踏んづけて咬まれないように注意が必要です。

万が一咬まれた場合は、慌てなくてよいので必ず病院を受診しましょう。

カエル食いのヒメハブ

ヒメハブはカエルが大好物…というより、餌のほとんどをカエルに頼っているそうです。

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沢の浅瀬につかるヒメハブ

普段は沢など水場のそばにいますが、雨が降ってカエルが活発に動き回るときは一緒に道路などに出てきます。

夜の沢やカエルの繁殖期の水場に入ると、何個体も目撃することができます。

ヒメハブは見つけてもそっとしておこう

沖縄では、ヘビを見かけると殺そうとする人もいます。

ハブの個体数が多く、ハブによる咬傷が絶えなかった時代は生活の知恵の一つだったのかもしれません。

しかし、今やハブの個体数はやんばるでもそれほど豊富ではなく、人家の敷地内に出た場合などを除いて殺す必然性はありません。

ヒメハブにいたっては、上に書いた通りもともとあまり危険性の大きなヘビではありません。

ヒメハブを見かけたら、侮らず適度な距離を取ってじっくり観察してみましょう。

ちなみにヒメハブは、世界中で沖縄諸島と奄美群島のみに生息する固有種です。

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夜の沢で見かけたヒメハブ。珍しく最初から攻撃態勢