沖縄産カメムシ2種がそれぞれ「英国風」「和風」すぎると話題に!

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カメムシと言えば、悪臭を出すことで嫌われ者というイメージがありますね。

でも、沖縄にはこんなカメムシもいます。

@curious_okinawaが投稿した写真

今回紹介するカメムシも、なかなかのお洒落さん達です。

(試しにInstagramの昆虫写真の投稿をファッション系のタグまみれにしてみたところ、Instagramをファッションやメイク関係の情報収集に使っているであろうお姉さま方からもリアクションがありました。いろいろな方に興味を持ってもらうのはとても重要なことです)。

英国風ロイヤルカメムシ

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シロジュウジホシカメムシ Dysdercus philippinus

どうです英国風!

…え、どこが英国風か分からないって?

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ほら、集まってると近衛兵っぽくないですか?

こんな 英国風な出で立ちですが、もちろんれっきとした沖縄在来の昆虫です。この模様を「インディアンの盾」と表現している方もいました。言われてみれば。。

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那覇市内にて、2月

冬場、オオハマボウという樹の葉の裏にこんな風に集まって冬越しします。特にぽかぽかと日の当たる地面に近すぎない場所の葉の裏をのぞいてみると高確率で出会えます。

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さらに、こいつの幼虫の頃の姿がこんななので笑ってしまいます。チョッキか!っての(若い世代の人よ、チョッキとはベスト、ジレーのことです。)

こってり和風カメムシ

それと対をなすように和風な出で立ちをしているのがこちら。

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アカホシカメムシ Dysdercus cingulatus

はい、こちらは文句無しに、誰が見ても和風だと思います。

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黒いスポットが目玉で、人の顔にもちょっと見えますね。

幼虫の写真…はちょっと手持ちが見当たらないのですが、シロジュウジホシカメムシとよく似ています。

カメムシは植物食のものが多く、今回紹介したカメムシ2種もアオイ科の植物(オオハマボウやハイビスカス、フヨウなど)に口吻を突き刺して汁を吸います。ただしカメムシの中には肉食のものもいて、ベニホシカメムシ Antilochus coqueberti なんぞは、(今回紹介した)近縁種のアカホシカメムシを専食するというから驚きです(ひっくり返して口吻を突き刺し体液を吸うようです)。いつか絶対写真撮って記事にしよう。

今回の記事を書くにあたって、あまにりヘタな事を書いてないか一通りweb検索したのですが、wikipediaの情報が安定しているのがいいとして、ニコニコ大百科のカメムシのトピックが素晴らしい。

(by 宮崎)

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【番外編】愛媛県に行ってきました、ので愛媛の身近な生物紀行。

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こんにちは、キュリオス沖縄の宮崎です。

愛媛県にいる祖母のもとに親戚が集まるというイベントがあって、愛媛県に行ってまいりました。いや〜、普段からカメラのメモリーの中は生物とか景色ばっかりなのですが、久々にこんなに「人」の写真撮りました。そんな中で少しですが、沖縄にいると出会えない(出会いにくい)生物の写真も撮ってきたのでご紹介します。

まずは祖母の家の近所から。

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アジサイが花盛りでした

愛媛は梅雨真っ盛り…だったのですが、そこは流石に瀬戸内。沖縄よりよっぽど空気が乾いています。久々に体温調節がうまく機能している感じを堪能しました。

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ツチガエル Glandirana rugosa→ヌマガエル Fejervarya kawamurai 

ツチガエルと思っていたのですが、ヌマガエルとのことです(富永先生、ありがとうございます)。

沖縄には近縁種のサキシマヌマガエル Fejervarya sakishimensisが分布します(僕は間違えたツチガエルとは、腹が白いこと、背面のいぼ状突起が小さく滑らかなことなどで区別できます)。

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ドクダミ Houttuynia cordata

いくつかの図鑑では沖縄に分布することになっているのですが、滅多に見ないドクダミ。花は可憐ですが香りは強烈です。葉をもんで鼻につめたら、強烈な臭気とともに少年時代のことをいろいろと思い出しました(葉っぱを顔の前でちぎる、くらいで十分強烈な香りがします)。

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ウメエダシャク Cystidia couaggaria couaggaria

日中からパタパタと飛び回る蛾。羽ばたきは速いのに飛ぶ速度はゆっくりで、これが大量に飛び回っていると何か不吉・不気味な感じがします。ウメやサクラを食草とします。

瀬戸内の海の景色を見るため、しまなみ海道を通って島にも渡ってみました。

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最近、しまなみ海道はサイクリストを呼ぼうと頑張っているみたいですね。あちこちで自転車に乗った集団とすれ違いました。確かに道中の景色は最高だろうなぁ。

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ヤブキリ Tettigonia orientalis

サクラの樹上にいたヤブキリ。キリギリスの仲間の中でも肉食性が強く、アゴや脚に生えた棘がよく発達しています。こちらも沖縄を除く全国に分布。

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アオダイショウ Elaphe climacophora

そしてアオダイショウに遭遇!!これも沖縄では出会えない生き物です。本州・四国・九州では普通ですが、実は日本固有種なんですね〜。

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いつ見ても可愛くていいヘビです。無毒ですが、ヘビの種類を見分ける自信のない人、扱い慣れていない人は捕まえようとしないこと。ヘビの方にに怪我をさせてしまう可能性もあります。

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美しい鱗。よく見るとダニがついてますね。

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アオダイショウのお腹。幅の広い鱗(腹板)に覆われています。多くのヘビは、この腹板を立てたり寝かせたりする運動により前進します。

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横顔がカワイイですね!

という訳で、楽しい四国行でした。

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まるで和菓子のような可愛さ。やんばるの固有種「ナミエガエル」

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沖縄本島の北部の山林「やんばる」には、数多くの固有種(そこにしかいない生き物)の生物が生息しています。その一つがこのナミエガエル。

一見ヒキガエルにも似ていますが、分類学的には全然違う仲間のカエル。クールガエル属という台湾〜東南アジアにかけて生息・繁栄しているカエルのグループに含まれるそうです。

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ナミエガエル Limnonectes namiyei

低地にはおらず、夜間、山の渓流の周辺、それも流れが急ではなく緩やかに広がるような所に好んで集まるそうです。雨の日は活発に活動し、沢の周辺の登山道にまで出てきます。

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森の中で鳴いたり移動したりしている時は、こんな風に前脚を伸ばして堂々と佇んでいます。サイズも♂で10cm超と結構大型になるのでなかなか立派な感じです。

おいおい、こんなカエルのどこがカワイイんだよ…と思った方。

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雨の日のやんばるにて。雨滴が写り込んでいます

ナミエガエルは外敵に気づくと、こんな風に「ぺたん」と座り込んでしまうのです。この姿が最高にキュート!!

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虹彩に十字の模様が入ります

背筋を伸ばして(?)いると結構よく目立ちますが、いったん「伏せ」の体勢をとると、沢沿いの石に紛れて非常に目立ちにくくなります。

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産卵場所の、沢が広がった沼地で鳴いていた♂

繁殖期は4-6月、沖縄でいわゆる「うりずん」と呼ばれる初夏の季節で、この時期に♂は「クォックォックォッ…」と鳴きます。

この仲間のクールガエル属のカエルには、何と♂が下顎に牙(のような突起)を持つものが多く、ナミエガエルもこの牙を持つ…そうなのですが確認したことがありません。なにせ沖縄県の天然記念物に指定されているので、捕まえて口を開けて確かめてみる…というわけにはいかないのです。

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ナミエガエルの幼体。あっ、顔吸血されてますね^^;

あと文句なしにカワイイのが亜成体(オタマジャクシではないが、大人になり切ってもいないカエル)。ナミエガエルに限らずですが、カエルの亜成体は眼が体に対して大きくてキュートです。

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コロコロしていて、なんとなく団子を連想させます。「これは、アンコが入ってるに違いない!」とは友人のF氏談。

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亜成体も礫(れき)に擬態しているのでしょうね。夜間沢沿いを歩いていると、石の色にどうかしていてなかなか気づきません。

このナミエガエルですが、戦前、それから食糧難の戦後にかけては、「ミジワクビチ」(ミジ=水、ワクビチ=大型のカエル)と呼ばれて食料にされていました。大型で肉量が多く、しかも美味しかったそうです。その後、ナミエガエルの生息できるような沢や森の減少にともない、分布域・生息数ともに減少してしまいました(絶滅危惧IB類:EN)。

現在は県の天然記念物で、もちろん捕まえることも食べることもできません。ただ夜の沢に入って、「君、だんごみたいだな。中にアンコ入ってんじゃないか。じゅるり」と言いつつ写真を撮るのは自由です。

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意外とオシャレな美しさを見せるツユムシの仲間

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バッタやキリギリスの仲間はたいへん種類が多いのですが、その中でもツユムシは、多くの地域で最も身近な存在なのではないでしょうか。

そんなもん見たことねぇ!という方は今度、公園の草むらなんかをよく覗いてみてください。よほど街中でないかぎり、そしてよほど徹底的に虫が駆除されていない限り、茂みの草の中にはたいてい何らかの種類のツユムシの仲間がいます。

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ツユムシの仲間の幼虫。ここまで小さいと種類はよく分かりません。沖縄県大宜味村にて。

もっとも、全身緑なので慣れないと見つかりにくいのですが。この瑞々しい緑色は生きている時限定で、標本などにしてしまうと色あせた色になってしまいます。

ツユムシはキリギリスの仲間(キリギリス科)の中では華奢で脚も細く、弱々しい印象を受けます。実際、獰猛な肉食性の昆虫が多いキリギリスの仲間には珍しく、完全な草食性です。過密で飼ったりすれば共食いしないとは言い切れませんが。

さて、緑一色の種類も美しいのですが、ツユムシの仲間には意外なほどオシャレな色彩をまとうものがいます。

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ナカオレツユムシ Isopsera denticulata 沖縄県大宜味村にて。

こちらはナカオレツユムシの幼虫(Tさん、ご教授ありがとうございます!)

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緑の体に赤紫の目と脚。かなり大胆な小悪魔的コーデと言えるのではないでしょうか。そうそう、写真に撮ると中々ピント範囲に入らないですが、ツユムシと言えばシュッと長い極細の触角もチャームポイントです。

ただ幼虫はこんなにオシャレなのに、成虫になると全身緑のごく平凡なツユムシになってしまいます。大人になって「いい加減、小悪魔とか言ってる場合じゃないか…(溜息)」とスーツに身を包む感じでしょうか。

そして今回、意外に美しいな〜と改めて思ったのがこちらのオキナワヘリグロツユムシ Psyrana ryukyuensis

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ヤブニッケイの葉にとまるオキナワヘリグロツユムシ。沖縄県東村にて。

翅に、マスクメロンの模様をごく細かくしたような模様が入ります。また翅は黒く縁取られます

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捕獲してみた

「葉に紛れやすい」と言っちゃえばそれまでですが、大変シックでオシャレだと思います。

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かっちり撮ってみた

ツユムシの仲間としては大型で体もがっしりしています。

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ハイキーに振ってふんわり撮ってみた

ちなみに、熱帯にはもっとはるかにカラフルなツユムシの仲間が生息しています。緑の地にパステル調の赤・青・黄が入るツユムシの写真を見せられた時は度肝を抜かれました。一度は実物を見に行ってみたいですね。

さて、最後になりますが、ツユムシの仲間はかなり体が柔らかく華奢なため、イナゴなんかのノリでつかむとすぐ潰れてしいます。あまり無理な捕まえ方をせず、できるだけ優しく扱いましょう。

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