生物観察にオススメのシーズンについて:陸のフィールド・生き物編

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「結局、沖縄で自然観察にオススメなシーズンはいつ?今行ったら何が見られるの?」

沖縄旅行で沖縄の自然や生物を観察したい、お子さんに観察させたいと考えている方の多くが抱く疑問なのではないでしょうか?弊社(キュリオス沖縄)のツアーへの参加を検討してくださる方にも参考になると思います。

とは言っても、同じ仲間の生物でも種によっても活発になる時期が違ったりするので、あまり細かく挙げていくとキリがありません。今回はおおまかにシーズン別に、例年の気候とどんな生き物が見やすくなるのかを解説していきます。

※服装について、オールシーズン通して言えること

  • 野外・屋外アクティビティ全般について言えますが「ジーンズの長ズボン」は汗を吸ったり雨に降られたりして濡れると膝が曲げにくくなるのでおすすめしません。
  • 年間を通じて雨が降りやすい気候で、また天気予報も外れることが多いため、野外・屋外での活動を予定されている方はシーズンにかかわらず雨具を用意した方がよいです。
  • 湿度は年間を通じて高いです。思ったよりじめっとしてる・汗をかくという想定で服装を準備していきましょう。
  • 野外・屋外アクティビティでは暑い季節は帽子が必須ですが、晴れれば冬でも日差しはきついのであった方がよいです。持っていない場合はタオルを頭に巻くだけでも大丈夫です。
帽子はアドベンチャーハット的な形のものがオススメですが、キャップでも、なければタオルを頭に巻くだけでも。

3月〜4月

<気温と気候>

沖縄では「うりずん」と呼ばれる時節です。本州の暦で言えば春ですが、こちらの感覚ではどちらかというと晩春〜初夏という感じかもしれません。日に日に暖かくなってゆき、最高気温が20℃を超える日が多くなってゆきます。暖かい日だと25℃を超えることも。

うりずんの森を甘い香りで彩るセンダンの花

ただし気温の落差が大きい時期でもあり、3月末ごろまでは「寒の戻り」のような感じで気温がガタっと下がることもあります。

<服装>

暑くもなく寒くもなく、人間が野外で動くには一番快適な季節です。ただし気温が上がった場合と下がった場合とで落差がやや大きいので、どちらにも対応できるようにして行きましょう。厚すぎない生地の長袖〜場合によっては半袖の服装と、風をピタッとシャットアウトできるウィンドブレーカーのようなアウターをお持ちになるのがおすすめ。下は長ズボンが良いでしょう。

<自然・生き物>

木々の若葉がいっせいに展開する新緑の季節です。まだ暑すぎないので、午前・午後とも生き物が見やすい時期です(※生き物によっては活動する時間帯が決まっています)。ただし「寒の戻り」で気温がガタっと下がると生き物たちの活動は鈍くなり、山や森の様子が冬に戻ったようになってしまうこともあります(→12〜2月の項参照)。

アサギマダラはかなり早い時期から活発になるチョウのひとつ。夏の間は沖縄本島からは姿を消す

チョウの仲間は多くの種類が飛び始めます。アゲハチョウの仲間はこの時期に羽化する個体は小型のものが多くなります。バッタ・キリギリスの仲間、ナナフシの仲間、カマキリの仲間などはおもに幼虫が多く見られます。

オキナワトガリナナフシ。ナナフシやバッタの仲間などはこの時期はまだ幼虫しか出ないものが多い

またこの時期にしか成虫が見られない小型の甲虫もいます。日なたではトカゲの仲間が日向ぼっこする様子がよく見られるようになります。

オキナワトラフハナムグリ(オオシマオオトラフコガネ)はうりずんの季節にしか見られない甲虫

ちなみに沖縄本島では南部を中心に、4月の上旬あたりから「イワサキクサゼミ」というセミが鳴きだします。

5月〜6月

<気温と気候>

5月といえば大型連休、GWですが、実は沖縄は例年GW後半あたりから梅雨に突入してしまいます(もっと早い年も遅い年もあります)。沖縄の梅雨は入った直後かなりまとまった雨が降るのが特徴で、せっかくゴールデンウィークの沖縄に来たのに連日どしゃ降り…ということも少なくありません。梅雨は6月中旬〜後半に空けることが多いですが、5月後半くらいからほとんど雨が降らなくなってきて「梅雨どこ行った??」と言ってるうちに梅雨明け…というパターンになる年が多いです。

サクラランの花が咲くのはこの時期

気温は高く、最高気温25℃を超える日が多く、晴れれば30℃近くにまで上がる日も。また雨が降っても本州の梅雨のように肌寒くなることはなく、20℃を下回るような日はめったにありません。日陰はまだ涼しく感じます。

<服装>

雨具必須です(他の季節もですが)。本州の梅雨を想定して厚着してくると間違いなく暑いでしょう。半袖長ズボンがおすすめです。アクティビティによっては半ズボンでもいいでしょう。

<自然・生き物>

大雨が降ってしまえば多くの生き物は隠れてしまいますが、晴れの日、雨の後などはたいへん生き物が多く見られる時期です。チョウの仲間は種数がぐっと多くなりますし、バッタ・キリギリスの仲間も早いものは成虫が見られはじめます。

コノハチョウの姿が多くなってくるのもこのくらいの時期から
オキナワヘリグロツユムシ。5月くらいから成虫が多く見られるようになる

中〜大型の甲虫も多くなり、5月ごろからオキナワヒラタクワガタ、6月ごろからオキナワノコギリクワガタなどが出現するようになります(※お問い合わせが多数ありますが、弊社のツアーは昼間ですのでクワガタ・カブトムシ類との遭遇は多くありません)。昼行性の爬虫類もいちだんと活発になりますし、昼間にヘビを見かける機会も多くなってきます(ヘビが見られるかは基本的に運次第です)。雨後ならオキナワシリケンイモリが出歩いている姿にも出くわします。

大きなアカマタ。こんなのが見やすくなるのは夏前と、あと夏後の暑さが一段落した時期

7〜9月

<気温と気候>

屋外で活動するには正直暑さが厳しい季節です。気温はぐんぐん上がり、最高気温は30℃を切らなくなります。7月中旬〜9月にかけては最低気温も30℃前後をあまり下回りません。沖縄本島は上がっても34℃くらいなので、近年の東京などよりは涼しいと言われることも多いですが、夏の間ずっと湿度が高く、加えて夜も気温が下がらないため「別の種類の暑さ」を感じる方が多いと思います。日陰にいても暑く感じます。

照りつける太陽、湿気をたっぷりふくんだ空気、何も起きないはずがなく…(しばしばスコールのような突発的な大雨が降ります)

台風の多い季節です。7月、早い年は6月くらいから台風が来ます。

<服装>

ジメっとした暑さなのでとにかく風通しのよい服装を。ただしアクテビティによっては肌を出しすぎると危険なこともあるので注意が必要です。弊社が山や森のトレッキングでオススメしている服装は(やぶこぎなどはしない前提で)「半袖+ごく薄手の長ズボン」です。また洋服の替えを用意することを強くオススメします。汗かきの人はタオルなどを首に巻くとよいです。

<生き物>

気温が高いので、観察するにしても人間が活動しやすい午前中がおすすめ。トカゲなどの昼行性の爬虫類も、暑すぎる午後はかえって出てこなくなることがあります。チョウの仲間も暑い午後を避け午前中に活動的になるものが多いです。オキナワヒラタクワガタ、オキナワノコギリクワガタなどの出現もピークを迎えます(※問い合わせが多数ありますが、弊社のツアーは昼間ですのでクワガタ・カブトムシ類との遭遇は多くありません)。

暑いのが大好きなオキナワキノボリトカゲは一番活発な時期。ただし最も暑い時間帯には一時的にあまり活動しなくなることも

基本的には生き物が活発でたいへん賑やかな季節ですが、8月中に雨が降らないと暑さと乾燥で「夏枯れ」と呼ばれるような、生き物の姿が一時的に少ない状態になることがあります。

10〜11月

<気温と気候>

9月は8月の延長という感じで暑い日が続きますが、9月下旬か10月上旬ごろから少しずつ気温が下がってきます。といっても基本的には暖かく、日中は30℃、夜間は25℃に届いたり届かなかったりを繰り返しながら少しずつ気温が下がっていく感じです。日陰は涼しく感じられるようになります。

大ぶりのピンクの花をつけるサキシマフヨウが咲くとすっかり秋

台風は8月9月ほどではありませんが、来るときは来ます。

<服装>

人間が野外で動きやすい気候です。春先と比べると安定して暖かく、気温の落差はあまりありません。薄手の生地の長袖〜半袖の服装がおすすめ。下は薄手の長ズボンが良いでしょう。

この季節は寒い日でこのくらいの服装がベスト。暑い日は半袖の方がベター

<生き物>

涼しくなり、夏の暑さを避けていた生き物も姿を現すようになります。チョウの仲間は夏と変わらなきくらい種数が見れますし、バッタ・キリギリスの仲間、ナナフシの仲間、カマキリの仲間などは多くの種類で成虫が見られるようになります。昼行性の爬虫類も活発ですが、オキナワキノボリトカゲなど暑いのがとにかく好きなものはやや少なくなります(でも見られます)。夏のセミ(クマゼミなど)がいなくなり、代わりに秋のセミ(クロイワツクツク、オオシマゼミなど)が鳴くようになります。

タイワンツチイナゴ。バッタの仲間、キリギリスの仲間、カマキリの仲間の成虫が一番多く見られるのはこのころです

12〜翌2月

<気温と気候>

11月中旬以降も安定して暖かい日が続いたあと、早いと11月下旬、遅いと12月中旬ころに北西風が吹き始め、ガクッと気温が下がってきます(年明けになることもあります)。一度気温が下がると風が強く、曇りがちで肌寒い日が続くようになります。よく「夏から秋を飛ばして冬になる」と形容されます。気温にすると最高20℃弱、最低15℃前後くらいですが、風が強く、体感気温は一桁台。ただし、晴れて風が止まると気温が25℃近くの陽気になる日もあります。

冬の尾根を彩るオキナワテイショウソウの花

例年1月中旬〜2月上旬ごろに寒波が来て一年で一番寒くなり、最低気温一桁近くか一桁台まで下がり「列島凍える」などの見出しが地元紙に踊りますが、だいたいそのすぐ後くらいからは暖かくなり始めます。

<服装>

長袖と、風をピタッとシャットアウトできるウィンドブレーカーのようなアウターがおすすめ。防寒対策はインナーにヒートテックを着るくらいで、ダウンはほぼ不要と思ってよいでしょう。下は動きやすい暖かめのズボンがおすすめです。余裕があれば突発的に暖かくなった場合の服も持っていくとよいです。

気温はそこまで下がらないものの風が強いので、風を通さないウィンドブレーカーなどのアウターがおすすめ

<生き物>

沖縄の木々は常緑樹が多いものの、一部冬に落葉する木はこの季節には葉を落とします。気温自体は東京の秋くらいですが、沖縄の生き物にとってはまぎれもなく「冬」の季節で、爬虫類や目立つ昆虫は基本的に出てこなくなり、生き物の賑わいはなくなって山や森の様子が「冬だなぁ」という感じになります。

ナナホシキンカメムシなど通年見られる昆虫もいる

ただ成虫で冬を越す昆虫も多く、暖かい日には種類や個体数は少ないながらチョウの仲間が飛ぶこともあり、そんな日は爬虫類でも寒さに強いアオカナヘビなどは活発になります。

沖縄の爬虫類の中でも特に寒さに強いアオカナヘビは、真冬でも暖かい日には陽だまりに出てくる

結局オススメなのはどの季節?

沖縄の山や森など陸のフィールドに生き物が多く、かつ観察しやすく、人も多すぎず飛行機や宿も取りやすい(安めの)季節を皆さんにこっそり教えちゃいましょう。

というか!下記のシーズンはせっかく生き物がたくさん出ているのに毎年お客さんは少なく、ネイチャーツアー会社としては毎年大変もったいない思いをしているので大きな声で宣伝したいくらいです。ハイシーズンにお客さんを増やすよりは、フィールドへの負荷も少なくて済みます。学校やお仕事の都合が合う方は是非ご計画ください…

①4月上旬〜GW前

3月末までは学校が春休みになるためかなりのハイシーズンで、4月頭もそこそこ混みますが、それからGWまでは沖縄への旅客が少なく、野外で過ごしやすい気候で、かつ生き物が多く見られる時期です。

②梅雨明け前(6月中旬前後)〜学校の夏休み前

一年でおそらく一番多くの生き物が見られるにもかかわらず、沖縄への旅客が少ない時期です。本州の多くの地域では梅雨の真っ只中っですが、沖縄では明けているか、明けていなくても例年梅雨後半のほとんど降らない時期に差し掛かっています。

③9月〜11月中旬

8月までは沖縄への旅客が大変多く混雑しますが、9月に入るとぐっと人が少なくなります。気候的にも生き物も夏の延長という感じなので、台風のリスクはありますがおすすめの時期です。

冬はオススメできない??

この話はまた他の記事でまとめて詳しく書く予定ですが、冬だからといって自然観察が楽しめないわけではありません。目立つ昆虫や爬虫類などは出てきにくくなりますが、朽木や落葉の下を探したり、カタツムリ類を探して観察したり(沖縄には固有の陸貝類がたくさんいます)、植物を観察したり、ちょっと地味ながら観察できるものはいろいろあります。

シュリケマイマイ。沖縄は固有のカタツムリの多い地域で、詳しく知れば知るほど楽しめる

キュリオス沖縄のネイチャーツアーについて

キュリオス沖縄では、沖縄の山や森を歩き、昆虫、爬虫類、植物などを観察することをメインにしたネイチャーツアーを年間を通じて催行しております。

よく「秋冬の時期もやってますか?」というお問い合わせをいただきますが、やってます!寒い時期はやはりそれなりに目立つ昆虫や動物は少なくなりますが、そういうシーズンでもいろいろ観察するネタを見つけられるのが、生き物好きのガイドが揃っている弊社の強みでもあります。

こちらのページにツアーの一覧を掲載しております、よろしければ是非参加ご検討ください!

 

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オフシーズンこそ山に行こう!秋と冬の植物たち

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 新北風(ミーニシ)も吹き始め、すっかり秋になった沖縄島。 このまま気温が下がり冬になると生き物もいなくなる…と思われがちですが、そんな事はありません。 沖縄島では冬に観察できる生き物もたくさんいます!今回は秋や冬に観察できる植物を紹介していきます。

リュウキュウルリミノキ (タシロルリミノキ) Lasianthus fordii

まずはこちらのブルーベリーみたいな実をつけるリュウキュウルリミノキ。残念ながら実は美味しくないようですが、鮮やかな色でやんばるの森を彩ります。登山道などでごく普通に見られる植物です。

 

リュウキュウハナイカダ  Helwingia japonica subsp. liukiuensis

漢字で書くと「花筏」。葉の中央に花が咲く姿からそう名付けられました。秋から春にかけて花を咲かせます。

 

ヤマビワソウ Rhynchotechum discollor

秋から冬にかけて白い実をつける低木です。実はやや薄い梨のような味で、みずみずしくて美味しいです。

 

オキナワジイ (イタジイ) Castanopsis sieboldii subsp. lutchuensis

沖縄島の中部〜北部の非石灰岩地帯に見られるシイの仲間です。どんぐりはアクがなく、生でも食べられます。

 

オキナワウラジロガシ Quercus miyagii

こちらも沖縄島の中部〜北部の非石灰岩地帯に見られるどんぐりの仲間で、11〜1月頃に日本最大のどんぐりを落とします。ただし観察できる場所がやや限られています。ちなみにどんぐりは激マズいです。

 

シマサルナシ Actinidia rufa

沖縄島の北部で見られるキウイの仲間です。実はキウイを小さくしたような形をしていて、味もキウイそのままでとても美味しいです。晩秋から冬にかけて林道や登山道で実を拾うことができます。

コダチスズムシソウ (セイタカスズムシソウ)  Strobilanthes glandulifera

6年に一度、12〜1月ごろに一斉開花を行う植物です。写真は2021年の12月に撮影したものなので、次の開花は2027年の12月頃だと思われます。薄紫色の花が美しいです。 

 

寄生植物

多くの植物は光合成を行いますが、実は光合成をやめて何かに寄生して生活している植物もいます。沖縄島では様々な寄生植物が見られますが、今回は秋冬に観察しやすい3種を紹介します。

ヤッコソウ Mitrastemon yamamotoi

やんばるで12月頃に見られる植物で、光合成をせずに樹木の根から栄養を吸う寄生植物です。大名行列の奴に見立てて名前がつけられました。名付け親は朝ドラで有名になった牧野富太郎です。

 

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キイレツチトリモチ Blanophora tobiracola

こちらも沖縄島の主に石灰岩地帯で冬に見られる寄生植物です。まるでキノコみたいな形をしています。トベラやシャリンバイなどの根に寄生します。

 

リュウキュウツチトリモチ Blanophora fungosa

一方こちらは沖縄島南部の琉球石灰岩地帯で見られるツチトリモチの仲間です。こちらも知らなかったらキノコにしか見えません。クロヨナなどの根に寄生します。

 

シダ植物

シダ類は基本的に常緑なので、年中観察できます。しかし見分けるのが難しく、スルーされてしまいがちです。冬は他の植物と一緒に是非シダも観察してみましょう。今回は特徴的なシダを3種選抜して紹介します。

ヒカゲヘゴ Cyathea lepifera

沖縄島の中部以北で見られる日本最大のシダ植物です。幹には葉が脱落した小判型の痕が残ります。この痕を触ると金運が上がるという話もあるようです。私は上がっていませんが…

 

リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia

大きく成長する根茎を龍の鱗になぞらえて名付けられた大型のシダです。葉は全長2mを超えとても迫力があります。

 

コバノカナワラビ Arachniodes sporadosora

林道沿いや登山道で普通に見られる小型のシダです。葉は光沢があり、硬く革質で、まるで針金で作られているかのような質感です。

 

タイワンコモチシダ (ハチジョウカグマ)  Woodwardia prolifera

低地〜山地の林縁沿いなどで見かけるシダです。葉の表から無数の子株を出すことからこの名がついています。子株は落ちると新しい株として成長していきます。

まとめ

春〜秋に比べて気温が下がり、昆虫や爬虫類がどうしても少なくなってしまう冬ですが、そんな時期だからこそ普段スルーしてしまいがちな植物たちに目を向けるチャンスです。今回紹介した植物たちは冬だけ花や実をつけたり、そもそも冬にしか姿を表さない種もいます。このチャンスに是非植物観察をしてみませんか?

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