危険?そうでもない?見かけてもそっとしておこう「ヒメハブ」

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やんばる(沖縄本島北部)の水場やその近くで最もよく遭遇するヘビがこのヒメハブ Ovophis okinavensisです。

沖縄で「太くて短いヘビ」を見かけたらヒメハブ

太短い体型が特徴で、体の色は変異がありますが、赤っぽいこげ茶色のものが多いようです。

ハブやサキシマハブなどとは少し違う仲間(ヤマハブ属)に分類されます。

沖縄の言葉で「ニーブヤー」(意訳:いつも眠そうにしている怠け者)と呼ばれるように、昼夜問わずじっとしていることが多く、あまり動き回りません。

ヒメハブの危険性は?

ヒメハブも、毒ヘビには違いありません。

これは体のつくりや性質を見ても明らかで、毒を使わずに狩りをするヘビは体も長く、もっとずっと筋肉質で素早いです。

ヒメハブの毒の毒性は、少なくとも人に対してはハブと比べてずっと低いと考えられ、またハブに比べると攻撃性も低いことから、山や畑作業に慣れた人には軽視されがちです。

ですが、2本指の欠けた手を見せながら「農作業をしていて咬まれて、放置していたら指が壊死してしまった」というお話をしてくださった方もいるので、あまり軽視しすぎない方がいいでしょう。

基本的に距離を保って観察する分には、向こうから近付いてくることはありません。

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また、枯れ葉にまぎれる体色や動かない性質から「いても気づきくい」ため、誤って踏んづけて咬まれないように注意が必要です。

万が一咬まれた場合は、慌てなくてよいので必ず病院を受診しましょう。

カエル食いのヒメハブ

ヒメハブはカエルが大好物…というより、餌のほとんどをカエルに頼っているそうです。

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沢の浅瀬につかるヒメハブ

普段は沢など水場のそばにいますが、雨が降ってカエルが活発に動き回るときは一緒に道路などに出てきます。

夜の沢やカエルの繁殖期の水場に入ると、何個体も目撃することができます。

ヒメハブは見つけてもそっとしておこう

沖縄では、ヘビを見かけると殺そうとする人もいます。

ハブの個体数が多く、ハブによる咬傷が絶えなかった時代は生活の知恵の一つだったのかもしれません。

しかし、今やハブの個体数はやんばるでもそれほど豊富ではなく、人家の敷地内に出た場合などを除いて殺す必然性はありません。

ヒメハブにいたっては、上に書いた通りもともとあまり危険性の大きなヘビではありません。

ヒメハブを見かけたら、侮らず適度な距離を取ってじっくり観察してみましょう。

ちなみにヒメハブは、世界中で沖縄諸島と奄美群島のみに生息する固有種です。

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夜の沢で見かけたヒメハブ。珍しく最初から攻撃態勢
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沖縄キャリア教育EXPO2016に出展しました!

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2016年12月23日に沖縄女子短期大学で開催された沖縄キャリア教育EXPO2016(主催:有限会社オーシャン・トゥエンティワン)に出展しました。

キュリオス沖縄は、会場内に設置された体験展示「多様な学びとの出会い」という企画に参加・出展。これまで活動してきたツアーや展示イベントの中で見られた子どもたちの学びについて紹介させていただきました。また、いつものようにちょっとしたハンズオン展示も行いました。

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今回の展示企画の主旨。

 

今回この体験展示全体は、仲栄真が以前よりお世話になっているてぃあんだぁクラブの佐渡山要先生が中心になって企画しており、子どもたちに自然体験を提供している団体としてキュリオス沖縄にお声がけいただきました。展示会場にはいくつかの団体がそれぞれの活動紹介を行っており、会場内は企画タイトルの通り、様々な子どもたち・ご家庭に対する多様な学びの機会を表す場となっていました。

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ホームスクール@おきなわさんのホームスクーリングサポートのカテゴリー。いろんな団体と協力して多様な学びの場を作っていました。「自然教室」のところにキュリオス沖縄の名前もいれていただきました。

 

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キュリオス沖縄のブース。ツアー中に見られた子どもたちの学びの一例をご紹介させていただいました。

 

私たちのブースでは、ツアー中に見かける「生き物が苦手な子」が実際の生き物に触ってみるという挑戦について一例を取り上げました。苦手な生き物に触ってみるという体験の中で自信をつけたり、苦手だった生き物について興味をもつ過程について紹介させていただきました。

 

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県内人工ビーチの砂、浜松にある中田島砂丘の海岸の砂を展示。海岸の砂もいろいろ違いがあります。

 

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オキナワアマビコヤスデにブラックライトを当てると・・・。前日に別の企画で使用したついでにお持ちしました。

 

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蛍光が観察できます。蛍光の役割についてはよくわかっておらず、そもそも意味などない、という話もあります。

 

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カタツムリの殻をよく観察したことはありますか?種類によって殻の形がどう違うのか、見比べてみるとなかなか発見があっておもしろいです。

 

多くの方にご来場頂き、キュリオス沖縄の紹介だけでなく、県内の教育事情についてもいろいろと情報交換をすることができました。

また、イベント中に企画されていたシンポジウムにも最後に参加することができました。多くの方が沖縄の子どもたちの未来を考えて熱心にキャリア教育へ取り組まれているのだと実感しています。

キュリオス沖縄もより一層、沖縄の教育へコミットできるよう、企画していきたいと思います。

 

(仲栄真)

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世界自然遺産登録を目指す「やんばる」の山に、県内の参加者と登ってきました!

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前回、天候不順のために山に入れなかった県内参加者向けのやんばるツアー。

今回は天候にめぐまれ、存分に山を堪能することが出来ました!

昼からのツアーなのでまずは大宜味の道の駅で腹ごしらえ。

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時期限定かもしれませんが、ここ大宜味の道の駅の食堂では水の代わりにシークワーサー水がピッチャーで飲み放題です(写真右上)。「◯◯の天然水」とか「◯ろはす」とかより濃くてしかも甘くなく、なかなか美味しかったです。

さすが、柑橘の里おおぎみ!

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山に登る峠道は「ススキロード」と化していました。7-8分ほどの峠道を登って登山口の駐車場へ。

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今回の参加者は16名あまりと、やや大所帯でございます。

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登山道の入り口に咲いていたサキシマフヨウ(アオイ科)。もうそろそろ花も終わりかけで、代わりに綿毛をつけた種がいっぱい詰まった果実も見られました。

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いざ入山。

登山道に入ると、湿度が一気に高くなるのが分かります。

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ツワブキ(キク科)の黄色い花がたくんさん咲いていました。沖縄ではこの花が咲くようになると、いよいよ本格的に冬の到来です。

ちなみにツワブキの花はキク科の花らしい清々しい香りがします。嗅いだことがない方はぜひ。

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こちらも冬の花、アリモリソウ(キツネノマゴ科)。

うつむき加減に咲きます。一見真っ白な花ですが、花の中をのぞきこむと赤紫色の模様が見えます。

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種類の分からないキノコ。

枯れた樹、弱った樹の材の中には、菌類の菌糸が入り込みはびこって分解を加速させていきます。倒木はキノコを含む菌類のパラダイスになり、そららを食べにカタツムリの仲間なども集まってきます。

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アオミオカタニシ。きれいな緑色をしていますがこれは実(肉)の部分の色で、殻は無色の半透明です。

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途中の広場で休憩。

今回のツアーは、沖縄県が「奄美琉球」の世界自然遺産を目指していることを県内のみなさまに普及啓発することが目的でもあるので、そのへんのお話もしました。

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さらに石段の登山道を登っていきます。

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お子さんが見つけて大喜びしたナナホシキンカメムシ。虫がやや少なくなったこの季節でも安定して見られるいい昆虫です。匂いはアレですが(キュウリの青臭い匂いを濃縮して強烈にしたような感じです)。

葉の裏に集団で止まっているところも見かけました。

 

バージョン 2

ようやく尾根に到着。ちょっとガスってましたが、やんばるの山々と西海岸の海が一望できます。

頂上へは、ここからなだらかな尾根道を歩いてすぐです。

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アオノクマタケラン(ショウガ科)の実。ドキッとするほど赤いです。

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そして尾根沿いの道に咲いていたのがこのオキナワテイショウソウ(オキナワハグマ)(キク科)。

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花弁の先がくるんと同じ方向に捻れた、独特の花です。

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サイズはこんなもん。

尾根道を歩いてすぐ、山頂に到着します。しますが、ここの山頂はあんまり開けてないので、さきほどの尾根道に着いた時点ですでに登頂が終わったような感じです。

そして、参加者の方が山頂で見つけてくれた面白い植物がこちら。

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ナンバンギセル(ハマウツボ科)という寄生植物です。

イネ科の植物の根に寄生し、地上へは花茎(かけい)と花のみが出てくる、というとても変わった植物。葉緑体はないため、生きているときも茎は枯れたような色をしています。

その他、下山途中でシリケンイモリや、

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オキナワキノボリトカゲなど。

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気温的にも植物の装い的にもすっかり冬ですが、冬でもそれなりに温暖な沖縄ではこの季節も様々な生き物が活動を続けていました。

車道に出てしばらく行ったところでオキナワスズメウリ(ウリ科)が大量に実をつけているのを見つけました。

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可愛らしい実ですが、すさまじい繁殖力ではびこるので庭などに植える際は要注意です。

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最後に、オオバギの葉が切られくるんと丸まっているのを発見。

開いてみると、ハネナシコロギスの巣でした。

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こちらは別の日、夜間に撮影

夜になると葉の上などで獲物を待っていますが、昼間はこんな感じの巣をつくってその中に隠れています。

そんな訳で、とても充実した山歩きでした。

なお、今回のツアーと同内容のツアーは、弊社のこちらのガイドツアーにてご参加いただけます。

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やんばる山トレッキング !植物・昆虫をじっくり観察しながら、季節の山を歩く

所要時間:約3時間
<混合プラン> ¥6,000/1名様
<グループ貸し切りプラン> 1名様¥7,000(4名でお申し込み)〜¥9, 000(2名で〃)

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日本サンゴ礁学会へ参加してきました。

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12月1日から始まっていた日本サンゴ礁学会へ参加してきました。

といっても何か発表したわけではなく、情報収集やお仕事関係のごあいさつ、友人の研究発表を聴きに、といった感じでした。早く発表できるネタを用意したいところですね。

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サンゴ礁学会のホームページでニュースレターが無料公開されています。こちらに今回の学会中に発表された研究のタイトルなどが公開されています。

今回は2年ぶりくらいに参加でした。久しぶりにお会いする方々とごあいさつしつつ、初日は自由集会へ。自由集会とは、学会会員が自由にテーマを設定してそれに沿った発表者を集めて開くセミナーのようなものです。

最初に参加したのは地球科学分野と生物学分野の研究者の方々による自由集会でした。発表していた地球科学分野の研究者たちは、過去の気候や環境、サンゴがどのように生息していたのか過去の地球環境についての研究を発表していました。

現在につながる過去の環境・生態系を知ることは、現在を知る上でも重要なのです。

一方で生物学分野の研究者たちは、現在ではどんなサンゴがどのように生息しているのか、集団遺伝学や生態学、分類学の研究手法を用いて現在のサンゴ群集についての研究を発表していました。

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2日目はなんとか午後のポスター発表から参加。会場の都合で今回発表予定の半分しか見て回れず。3日目は北部でツアーがあったのでほとんど出れず。最終日は那覇マラソンを横目に口頭発表と一般公開イベント「北琉球におけるサンゴ礁、研究・保全の現状と課題」に参加していろいろとお話を聞いてきました。

 

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スタート直後のランナーの皆様

 

2日目に参加した自由集会は今年の夏に起こった大規模な白化現象について情報交換する場となっておりました。

ちょこっと映ってました(^_^;)

ここで話し合われたことは後日に学会から総括として公開されるとのこと。サンゴの白化現象を気象災害と捉えてはどうか?という提言や白化ストレスに強いサンゴ株の発見など、とても興味深い内容でした。

 

ドタバタとした週末になりましたが、新たな情報を得たり、久しぶりにお会いする方々にごあいさつできたのはとても良かったです。これからのツアーやフィールドの保全に活かしていきたいと思います。

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