砂浜に落ちている、キレイに穴が空いた二枚貝の最期が壮絶すぎる件

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皆さんは、二枚貝の殻にこんな感じでキレイな円形の穴が開いているのを見たことがありませんか?

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工作機械で開けたようにしか見えないキレイな円形のこの穴。よく観察すると外側が広く、内側が狭くなっています。さらによく観察すると、この穴が開いている位置はほぼ10割方、貝の蝶番の部分(2枚の殻が繋がっている部分)であることが分かります。こんなことをする犯人はさて一体誰なのか…?

実は、犯人も同じく貝の仲間なのです。

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ツメタガイ Glossaulax didyma

こんな貝が砂浜に落ちているのを見たことがありませんか?

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下面はこんな感じ

ツメタガイというタマガイ科の巻き貝の仲間で、生きている時は殻から肉がはみ出んばかりの肉厚な貝です(リンク先のwikipediaの写真、とてもいいですね)。

こいつは獲物の二枚貝を見つけると軟体部で包み込み、歯舌(しぜつ)と呼ばれる貝の持つ”歯”を使ってゴリゴリと殻に穴を空け、そこから中身を残らず食べてしまいます。

これ、二枚貝からするとちょっと想像したくない最後ですよね。二枚貝は貝柱と呼ばれる強力な筋肉を使って殻を閉じることで身を守るのですが、なにしろツメタガイ相手にはそれが全く通用しません。必死で殻を閉じて守りを固めている横から、何の抵抗もできないまま穴を空けられてむさぼり喰われてしまうのですから…。

ちなみに二枚貝の天敵はいっぱいいます。タコやヒトデはガチンコ勝負で殻をこじ開けにかかるし、カワハギなど強靭な歯で殻を割って食べる魚もいます。でも、想像すると個人的にはツメタガイにやられる最期がいちばん嫌ですね。

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ホント、いい仕事してます

ちなみに、貝の蝶番の近くを狙って穴を空ける理由もちゃんとあって、早い話がここが一番殻が薄くて短時間で穴が開けられるからです。二枚貝は蝶番でくっついた部分から広がるようにして貝殻を大きくするので、この部分は貝殻が小さかった時の名残で貝殻の厚みが他と比べて圧倒的に薄いのです(下図)。

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赤い部分が小さいころの貝殻

同じタマガイ科には巻き貝を食べる種類もいて、この場合も貝殻が最も薄い場所を狙います。巻き貝で殻が一番薄い場所はどこか…?皆様も一緒に考えてみて下さい♪

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ちなみに、この貝は沖縄にはいません。上のツメタガイの殻の写真を撮ったのはこの神奈川県の逗子海岸という所。

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この辺は神奈川県でも地魚がうまい所でもあります。じゅるり。マアジの叩きとか、沖縄にいると時々無性に食べたくなりますね。

さて、ツメタガイは沖縄に分布しないと書きましたが、同じタマガイ科の貝は何種か分布しております。そのうちの一つがこちら。

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ホウシュノタマ Notocochlis gualteriana

サイズは小さいですが、こちらもツメタガイに負けず劣らず二枚貝を襲う獰猛なハンターです。

おまけに。

干潟でこんな形の物体を見たことがあるでしょうか。よく観察すると砂が固められてできています。

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実はこれ、タマガイの仲間の卵塊で、砂と粘液を混ぜあわせ、そこに微小な卵を埋め込んで作られています。産んだ卵が外敵におそわれないようにこんな物を作ると考えられています。

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サイズがだいぶ違う2タイプが見られます。別の種類のタマガイのものか?

その形状から、この卵塊のことを「砂茶碗」と言ったりします。

ツメタガイやタマガイ類の生きた個体を探すのにはちょっとコツが要りますが、穴が空いたアサリ・ハマグリや砂茶碗なら、生息地の海岸ならちょっと歩くだけで大変手軽に見つかります。皆さんも是非探してみて下さい。

(by 宮崎)

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こんなヒトデ、見たことないですか?腕が1本だけ長いやつ!

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ヒトデの仲間には、◯◯ホウキボシという名前のつくヒトデが何種類かいます。あるいは、「ホウキボシ科」というグループもあります。

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アオヒトデ Linckia laevigata アカヒトデ目ホウキボシ科

ヒトデは英語で”sea star”。「星」ならともかく、「ほうき星」とはこれいかに??

実は、こんな感じのヒトデがいるんですね。

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ゴマフヒトデ Linckia multifora

これなら文句なく「ほうき星」!!(ドヤ顔)

…うーんどうだろう^^;?アスキーアートの「☆彡」を想像してるとちょっと気持ち悪いかもしれません。ヒトデの5腕のうちの1つが異様に大きくなっています。というか、より正確にはその逆ですね。

実はこれはゴマフヒトデの本来の姿ではなく、腕がちぎれて1本になったあと、他の4本の腕が再生している途中なのです。このまま腕が成長していけば、5本とも同じ長さにまで成長します。このような成長(再生)途中の形態を「コメット comet」といいます。英語で「ほうき星」の意味ですね!

「コメット」になる種類は限られていて、ホウキボシ科であってもコメットにならない種類もいます。例えば、先に出てきたアオヒトデは超普通種ですが、コメットになっている個体はついぞ見かけたことがありません。コメットをつくる種類は一説には、自ら積極的に腕をちぎって増殖(無性生殖)していると言われています。

(宮崎)

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沖縄の池で魚獲り用のワナをかけると、何が入るのか??

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<この記事は、筆者の個人ブログOkinawa Biograffitiの過去記事をリライトしています>

皆さん、子供の頃池や沼に「ワナ」をしかけて遊んだこと、ありませんか?

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こんなやつ

僕はあります!というか子供時代の遊びのメインはそんなのでした。

「沖縄こどもの国」にて、そんな懐かしいワナを掛けて遊ぶというイベント(ワークショップ)があったので行ってきました。

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無駄を省いた記述、分っかりやす〜い!二度見したけどな!!

ちなみに僕が子供のころ地元(神奈川県)でよく使っていたのは、こんなやつなのですが、

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今見たらファスナーが完全にあかん、買い直さないと…

これ、「もんどり罠」っていうらしいですね。初めて知りました。

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で、こういう罠を沖縄の池で仕掛けると何がかかるのかというと…

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でェン!コンジンテナガエビ!!

日本最大のテナガエビとされています。大きなものは全長30cmを超えます。まぁテナガエビなので全長の半分は手(鋏脚)なんですが…

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いい笑顔すぎ。そして汗かきすぎ。

今回のイベントは、このTさんという学芸員の方がいろいろな解説をしてくださりました。トンボがご専門だそうです。広範な専門知識と、あっという間に子供に囲まれるスキルを併せ持ってます。

沖縄の淡水を語る上で外せないのがこの魚「ティラピア」。

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大量のティラピアの幼魚

多分、沖縄の方に「わなを掛けたら何が入ると思う?」と聞いたら10人中8,9人が「ティラピア!」と答えると思われます。アフリカ原産のティラピアは、県内ではそれくらメジャーな外来魚。もともと食用に持ち込まれた魚ですが、現在では沖縄のほとんどすべての水域に定着してしまっています。かなりの汚濁にも、40℃もの高水温にも、短期間なら海水にも耐える厄介な魚です。

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糸くずのように小さい魚も、すべてティラピアの幼魚

沖縄の河川や池には実は、他にもたくさんの種類の外来魚が定着してしまっています。

ティラピアの次に有名なのは他に南米産のナマズの仲間であるマダラロリカリア(いわゆるプレコ)。下の写真は某R大学内の池で撮影したもの。橋の上から余裕でシルエットが確認できます。水槽の“コケ取り”として売られていますが、大きくなるとコケ(藻類)を食べなくなり、持て余して捨てられるケースが多いようです。

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いわゆる「プレコ」

他にもアフリカ産シクリッドの仲間のアーリー(Sciaenochromis fryeri)がいたとか、ダム湖で熱帯アジア原産のパールダニオ(Danio albolineatus)が大量繁殖していたりとか、南米産のグッピー(Poecilia reticulata)や北米産のソードテール(Xiphophorus hellerii)がメダカのような顔(?)をして川に棲んでいたりとか…もう外来魚のデパートと言って差し支えないほど。冬でも水温がそれなりに高いので、飼いきれなくて捨てらてしまった「熱帯魚」が容易に定着してしまうのです。

「命を大事にする」という教育以外に「生態系を大事にする」という教育も必要ですね。

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今回のワークショップもそんな話で締めくくられました。外国産のカブトムシやクワガタムシなどの昆虫がホームセンターで手に入る昨今、子供たちとて外来種問題の当事者なのです。

おまけ。

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コイは沖縄島では立派な「外来種」です。しかも、本来生息していない水域のカニやらエビやら貝やら水草やら、何でもかんでもすごい勢いで食べつくす「世界の侵略的外来種ワースト100」にも名を連ねる困ったちゃんです。もちろんコイに罪はないですが。

区長…やんばるの自然を大切にするなら、コイ放しちゃだめっす…

(by 宮崎)DSCF0284

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