泡瀬干潟観察会でメナガオサガニハサミエボシに出会いました!

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4月15日(土)に泡瀬干潟を守る連絡会主催の泡瀬干潟観察会に案内役として参加しました!

天気はちょうどよい感じの曇り。風も涼しく、快適に実施できました。

集合場所の浜。

 

出発前にアーサ汁が配られました。貝も入っています。ごちそうさまでした!

 

アナアオサ(左)とヒトエグサ(右)。やわらかさが違うね、と触り比べ。

アナアオサは2層の細胞でできているけどヒトエグサは1層の細胞でできているのでやわらかさが違う?触ってみていかがだったでしょうか。ヒトエグサは”一重草”ということですね。

小さいゴマフクモヒトデ。子どもたちに大人気でした。

 

左からホウシュノタマ、キンセンガニ、オヒルギの赤い萼。

 

小さいジャノメアメフラシ。目が可愛いと人気でした。

指先で背中をグリグリすると体内に殻が入っているのがわかります。アメフラシは殻を退化させた貝の仲間(軟体動物)。

ウミケムシの仲間?よく見るとかわいい。

 

ウロコムシの仲間?

 

ひょっこりと殻が水面から顔を出すハボウキガイ。

 

参加者が見つけたメナガオサガニに赤いハサミが・・・と思ってよく見てみると・・・

3本目の鋏脚ではなく、エボシガイの仲間っぽい。後で調べてみるとメナガオサガニハサミエボシ Octolasmis unguisiformis のようです。エボシガイは「ガイ(カイ)」とついていますがフジツボの仲間で甲殻類になります。ハサミに見えるので名前に「ハサミ」と入っているのでしょうか。ということはこの位置に特異的に着生するのでしょうか。そうだったらよくこんなところに・・・。

なんて感心していたらつい先日環境省が発表した海洋生物レッドリスト2017にて絶滅危惧IA類に指定されていました。絶滅危惧IA類は「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」というレベルになります。貴重な生き物だったんですね。

 

ちなみにメナガオサガニにはオサガニヤドリガイという小さな二枚貝も寄生(なのか共生なのか、関係性は不明)するようです。

ナマコ三兄弟。クロナマコ、トゲクリイロナマコ、ハネジナマコ。

 

クルマエビの仲間?参加者が砂を掘ると偶然発見。

 

今回の観察会のためにキュリオス沖縄の職人・宮崎に秘密兵器を製作してもらいました。

自作のヤビーポンプ。

砂の中に生息する生物を吸い出すヤビーポンプです。市販のものがあるのですが、日本国内では販売されておらず、手に入れるにはオーストラリアなどから個人輸入する必要があります。ということで作ってもらいました。

砂中泡瀬干潟をしばらく歩くとにはボコボコと小さな砂山に遭遇します。ゴカイやギボシムシ、ユムシの仲間など、砂の中に生息する生き物が排泄した砂が小さな山になっています。

そんな場所を見つけて試しに使ってみましたが結果はイマイチ。もうちょっと回数を重ねて使用してみたいところですが、道具そのものにも改良の余地がありそうです。
(使用の際はフィールドを荒らすことがないようにやたらめったらに使うことはしませんでした。)

 

当初の予想の倍近い参加者が集まって驚きましたが、事故やケガなく観察会は無事に終了!次回は8月に再度観察会を行う予定です。それまでにヤビーポンプの改良をしなくちゃ^^;

 

(仲栄真)

 

キュリオス沖縄では砂干潟と岩礁帯が隣接するフィールドでツアーを行っています。そちらもぜひ!

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「藻場」はなるべく踏むべからず!沖縄で海を歩く際はご注意を。

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「藻場(もば)」

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海藻や海草が一面に生えている場所をこう呼びます。紛らわしいですが、「モバゲー」等のモバは「モバイル」のモバであって藻場ではありません。

海藻と海草の違いは?

どちらも読みは「かいそう」です(海草の方は「うみくさ」と読む場合も)。

「海藻」の方は藻類(そうるい)と呼ばれる植物を指します。藻類とは簡単に言うと、花を咲かせず胞子で殖える植物の仲間で、体のつくりは単純で、根・茎・葉の区別はありません。「緑藻」や「紅藻」「褐藻」などいくつかのグループに大別されます。

身近なところではコンブやワカメなど。ローカロリーでうれしい「海藻サラダ」に入っているアレですね。岸近くで藻場を形成する海藻としてはホンダワラやカジメ、アラメなどが有名です。

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イソスギナ Halicoryne wrightiiこちらは藻類の仲間。

これに対して、「海草」は花を咲かせ種をつくる植物(被子植物)の仲間です。

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リュウキュウスガモ Thalassia hemprichii

海藻には「根」「茎」「葉」の区別がありませんが、海草にはちゃんとあります。

関東に多いのはアマモやコアマモ、沖縄だと一番多いのはおそらくリュウキュウスガモではないでしょうか。岸近くの砂地、特に河川があって陸からの栄養分が適度に流れてくる場所に多く育ちます。

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一面の海草藻場(うみくさもば)

海草はどっから来た?

植物の祖先も、最初は海で誕生・進化し、その後一部のグループが進化の過程で陸上に上がったと考えられています。

コケ→シダ→維管束植物の順に進化(分岐)した年代が新しいとされていますが、この順番は、より陸上に適応していく過程でもあります。端的に言えば、古いグループ方が乾燥に弱いのです。森の中がコケで覆い尽くされた屋久島なんて、「年400日雨が降る」と言われていますよね。ちなみに「藻類」は、そもそも陸上に上がらなかったグループの一つです。

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コケ植物の多くは湿潤な環境を好む。やんばるにて。

ところが「海草」の仲間は一度陸上に適応したのち、海に戻った変わり者の植物です。哺乳類でいうところのイルカやクジラみたいなイメージでしょうか。

海草藻場を見つけたら

さて、沖縄も海が楽しい季節になりましたが、サンゴ礁や砂浜を歩いていてこのような海草が茂っている場所を見つけたら、なるべく踏まないようにお願いします。多くの人によって踏み荒らされると枯れてしまいますので。

ただ、藻場は生物観察をするならうってつけの場所でもあります。

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カマスベラの幼魚と思われる

分かりますかね?定規に右下にいる緑色の魚。カマスベラという魚食性のベラの幼魚です。

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イッカクガニ Menaethius monoceros

そこそこの大きさの藻場があればたいてい、こんな感じで緑色をした生き物やいろいろな魚の幼魚などが隠れ住んでいます。詳しくはまともな写真が揃ってから特集しようと思いますが、この他にも小型のイカの仲間やモエビの仲間、イソギンチャクの仲間など「藻場」にしか出てこない生き物がわんさかいます。

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(宮崎)

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砂浜に落ちている、キレイに穴が空いた二枚貝の最期が壮絶すぎる件

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皆さんは、二枚貝の殻にこんな感じでキレイな円形の穴が開いているのを見たことがありませんか?

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工作機械で開けたようにしか見えないキレイな円形のこの穴。よく観察すると外側が広く、内側が狭くなっています。さらによく観察すると、この穴が開いている位置はほぼ10割方、貝の蝶番の部分(2枚の殻が繋がっている部分)であることが分かります。こんなことをする犯人はさて一体誰なのか…?

実は、犯人も同じく貝の仲間なのです。

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ツメタガイ Glossaulax didyma

こんな貝が砂浜に落ちているのを見たことがありませんか?

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下面はこんな感じ

ツメタガイというタマガイ科の巻き貝の仲間で、生きている時は殻から肉がはみ出んばかりの肉厚な貝です(リンク先のwikipediaの写真、とてもいいですね)。

こいつは獲物の二枚貝を見つけると軟体部で包み込み、歯舌(しぜつ)と呼ばれる貝の持つ”歯”を使ってゴリゴリと殻に穴を空け、そこから中身を残らず食べてしまいます。

これ、二枚貝からするとちょっと想像したくない最後ですよね。二枚貝は貝柱と呼ばれる強力な筋肉を使って殻を閉じることで身を守るのですが、なにしろツメタガイ相手にはそれが全く通用しません。必死で殻を閉じて守りを固めている横から、何の抵抗もできないまま穴を空けられてむさぼり喰われてしまうのですから…。

ちなみに二枚貝の天敵はいっぱいいます。タコやヒトデはガチンコ勝負で殻をこじ開けにかかるし、カワハギなど強靭な歯で殻を割って食べる魚もいます。でも、想像すると個人的にはツメタガイにやられる最期がいちばん嫌ですね。

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ホント、いい仕事してます

ちなみに、貝の蝶番の近くを狙って穴を空ける理由もちゃんとあって、早い話がここが一番殻が薄くて短時間で穴が開けられるからです。二枚貝は蝶番でくっついた部分から広がるようにして貝殻を大きくするので、この部分は貝殻が小さかった時の名残で貝殻の厚みが他と比べて圧倒的に薄いのです(下図)。

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赤い部分が小さいころの貝殻

同じタマガイ科には巻き貝を食べる種類もいて、この場合も貝殻が最も薄い場所を狙います。巻き貝で殻が一番薄い場所はどこか…?皆様も一緒に考えてみて下さい♪

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ちなみに、この貝は沖縄にはいません。上のツメタガイの殻の写真を撮ったのはこの神奈川県の逗子海岸という所。

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この辺は神奈川県でも地魚がうまい所でもあります。じゅるり。マアジの叩きとか、沖縄にいると時々無性に食べたくなりますね。

さて、ツメタガイは沖縄に分布しないと書きましたが、同じタマガイ科の貝は何種か分布しております。そのうちの一つがこちら。

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ホウシュノタマ Notocochlis gualteriana

サイズは小さいですが、こちらもツメタガイに負けず劣らず二枚貝を襲う獰猛なハンターです。

おまけに。

干潟でこんな形の物体を見たことがあるでしょうか。よく観察すると砂が固められてできています。

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実はこれ、タマガイの仲間の卵塊で、砂と粘液を混ぜあわせ、そこに微小な卵を埋め込んで作られています。産んだ卵が外敵におそわれないようにこんな物を作ると考えられています。

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サイズがだいぶ違う2タイプが見られます。別の種類のタマガイのものか?

その形状から、この卵塊のことを「砂茶碗」と言ったりします。

ツメタガイやタマガイ類の生きた個体を探すのにはちょっとコツが要りますが、穴が空いたアサリ・ハマグリや砂茶碗なら、生息地の海岸ならちょっと歩くだけで大変手軽に見つかります。皆さんも是非探してみて下さい。

(by 宮崎)

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こんなヒトデ、見たことないですか?腕が1本だけ長いやつ!

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ヒトデの仲間には、◯◯ホウキボシという名前のつくヒトデが何種類かいます。あるいは、「ホウキボシ科」というグループもあります。

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アオヒトデ Linckia laevigata アカヒトデ目ホウキボシ科

ヒトデは英語で”sea star”。「星」ならともかく、「ほうき星」とはこれいかに??

実は、こんな感じのヒトデがいるんですね。

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ゴマフヒトデ Linckia multifora

これなら文句なく「ほうき星」!!(ドヤ顔)

…うーんどうだろう^^;?アスキーアートの「☆彡」を想像してるとちょっと気持ち悪いかもしれません。ヒトデの5腕のうちの1つが異様に大きくなっています。というか、より正確にはその逆ですね。

実はこれはゴマフヒトデの本来の姿ではなく、腕がちぎれて1本になったあと、他の4本の腕が再生している途中なのです。このまま腕が成長していけば、5本とも同じ長さにまで成長します。このような成長(再生)途中の形態を「コメット comet」といいます。英語で「ほうき星」の意味ですね!

「コメット」になる種類は限られていて、ホウキボシ科であってもコメットにならない種類もいます。例えば、先に出てきたアオヒトデは超普通種ですが、コメットになっている個体はついぞ見かけたことがありません。コメットをつくる種類は一説には、自ら積極的に腕をちぎって増殖(無性生殖)していると言われています。

(宮崎)

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