北風吹いたら海へ行こう!ビーチコーミングで拾い物

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 北風吹きすさび寒い日が増えてきた沖縄ですが、こんな時期にこそ楽しめるフィールドがあります。それはビーチコーミング(以下ビーチコ)です。

 沖縄島の北西には黒潮と呼ばれる海流が南から北へと流れていますが、この黒潮に乗って南方から流れてきた様々なものが、北風によって沖縄島側に流され、やがて砂浜へと打ち上がるのです。ビーチコで拾えるもののジャンルは多岐にわたるため、あらゆる分野の人を虜にします。今回はどんなものが拾えるのか、色々紹介していこうと思います。

 

豆類

多種多様な漂着豆

 ターゲットとしてよく挙げられるものの一つが豆類です。沖縄島は大型豆類が多く産する東南アジアに比較的近いため、漂着する種数も多く、色や大きさも様々で集め甲斐があります。界隈での通称名もあるようで、ハンバーガーやどらやきなどユニークな名前がつけられていたりします。

とても大きなモダマ
手前はまだら模様がおしゃれなワニグチモダマ類。奥はククイノキの実と思われるもの

 

 

種子・果実類

ウルトラマンみたいなサキシマスオウノキの果実

 豆以外の木の実や種子も多く打ち上がります。よく見かけるのはヤシ科の植物や、オキナワキョウチクトウ、サキシマスオウノキ、モモタマナなどです。

川から流れ出たものが打ち上がったと思われるマテバシイの実
ココヤシの実。いわゆるココナッツ

 これらの種子や豆類は海を漂うことが前提となった作りをしており、数ヶ月漂ったあとでも死なず、打ち上がった先で発芽することがあります。こういった散布様式を取る植物を海流散布植物と呼びます。

ニッパヤシの実生。漂着していたものを植えたら発芽した!

 

 

死骸

マンジュウヒトデの死骸

 普段は海中にいる生き物が何らかの理由で打ち上がることがあります。特に台風などで海が荒れたりすると多くの生き物が打ち上がります(もちろん生き物以外もたくさん打ち上がります)。また、大寒波で海水温が著しく下がったりすると仮死状態となった魚が大量に打ち上がることもあります。状態のいい死骸は持ち帰って標本にすることもできます。

トウゴロウイワシの仲間。波が強かったのか、それとも何かに追われたのか数匹打ち上がっていた

 

 

ヤギの頭蓋骨
リュキュウイノシシと思われる下顎

 生き物死骸は肉などが残った状態で打ち上がることもありますが、骨になった状態で打ち上がることもあります。よく見かけるのは魚類ですが、時折クジラ類などの海棲哺乳類やリュウキュウイノシシなどの陸棲動物も見かけます。後者の場合は川から流れてきたものが一度海に出て打ち上がったか、その場で死んだものの場合が多いと思われます。

 

 

貝殻

ハチジョウダカラの貝殻。少し摩耗している

 ビーチコと聞いて最初に貝殻を思い浮かべる人も多いのではないのでしょうか。年間を通して温かい沖縄島近海では本州では拾えない貝殻が拾えることもあります。稀にほとんど摩耗していない綺麗な貝殻を拾えることもあります。

ホラガイの殻口(すさまじいピンボケ…)
いわゆる微小貝。小さすぎて見落としがちですが、よくよく見ると個性豊かで面白いです。収納にはピルケースやアクセサリーケースがオススメ

 

 

鉱物・化石

福徳岡ノ場の海底火山噴火で押し寄せた大量の軽石。とても軽いので波と風が強い日は浜から離れたところにまで打ち上がっていた
泥岩の破片と、めり込んでいるカモメガイの仲間。この仲間は泥岩や流木に穿孔して生活する

 よく拾えるのはサンゴや海中の生物の死骸で構成された琉球石灰岩ですが、周辺の地層や海の様子によっては大きく変化します。2021年には南硫黄島近海にある福徳岡ノ場の海底火山が噴火し、大量の軽石が流れ着きました。

 

 

ビン・ガラス製品

フィリピンのサンミゲールが製造するレッドホースビール
ガラス製の浮きとビンの底。UVライトを当てると、、、
なんと緑色に蛍光!古いガラスの証です

 戦前〜戦後の古い人工物が拾えるのもビーチコの醍醐味です。コカ・コーラや酒瓶、ガラスでできた浮き玉などが拾えることがあります。古いガラスでは緑系の着色料にウランが使われていた時期があり、UVライトを当てると緑色に蛍光します。

 

 

陶器・磁器

酒瓶だと思われるもの
スンカンマカイの破片
スンカンマカイ。この状態のものを拾うのは難しい

 使わなくなったりして川や海に捨てられたものや、海に落ちた船積み品が流れ着いたりします。沖縄の伝統的な焼物である壺屋焼などのやちむんや、戦前〜戦後の沖縄の家庭で普及したスンカンマカイ、運が良ければ青磁が拾えることもあります。その他、戦前の沖縄でグスクから一般家庭まで広く使われていた赤瓦の破片もよく流れ着いています。他の人工物もそうですが、ビーチコではその地域のかつての暮らしや歴史が垣間見えることがあります。

 

 

ビーチグラス

緑系だけあつめてみた
そう。UVで光るから

 前述したガラス瓶なども含めて、その破片が海中で摩耗して打ち上がったものをビーチグラスと呼びます。本州では角が取れて丸くなったガラスが打ち上がることが多いですが、沖縄ではあまり角が取れていません。これは海中の砂や岩を構成している鉱物の硬度によって生じる差で、沖縄周辺ではガラスよりも硬度が低い琉球石灰岩やサンゴの死骸などで揉まれるので、角が取れにくいのです。

拾うときのポイント

時期:オススメは前述した通り秋〜春の北風が吹いている時期です。黒潮に乗って流れてきた漂着物が、北風によって沖縄島へ押し寄せてきます。一方、海が大きく荒れる台風の後は海底に沈んでいるものがごっそり打ち上がり、普段見かけないものが拾えたりするのでオススメです。また、大寒波で海水温が著しく下がると海中の生物が仮死状態になって打ち上がるため、生物標本の採集には適しています。

場所:沖縄島内で北風を頼りに拾うのであれば西海岸がオススメです。台風や寒波の時は状況を見ながら海岸を決めると良いでしょう。ただし、台風後の収集の際は波風が完全に収まってから行きましょう。

探し方:砂浜を眺めると、漂着物が何箇所か帯状に固まっているのが観察できます。漂着物の大きさや軽さ、また直前の波の高さや潮の満ち引きによって場所が変動するので、ターゲットの特徴やタイミングを見計らって適切な場所を探しましょう。小さな漂着物は海藻類などの下に埋もれたりするので、棒などで適宜払いながらじっくり探すと良いです(短い棒で探すと中腰で歩くことになり腰がつらいので気をつけてください)。

帯状になっている様々な漂着物。これらに沿うようにしてひたすら歩き、探し、拾います。

 このように、ビーチコでは様々なものが拾えるため重度の収集癖を持つ中の人などは頻繁に行って色々なものを集めてしまいます。集めたものは箱に入れて飾ったり、工作の材料にしたりと様々な活用ができますが、拾った日の日付と場所、採集者を記したラベルをつければ立派な標本にもなります。また、生物由来の漂着物からは周辺の海中の様子が探れ、人工物からはそこにかつて存在した人々の暮らしや、歴史の一部を覗くことができます。拾えるものは地域によって異なるので、沖縄以外でも是非ビーチコをしてみてください。ちなみに、本州だと古いガラス製品が多いらしく、中の人は本州でめちゃくちゃビーチコしたいです。

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