ペリーさんと沖縄の植物学

昨日はキュリオス沖縄も休日だったのですが、ボスから連絡が入りました。

「ペリーが県立博物館に来るらしい!」

意味不明な興味深い発言だと思い調べてみると、9月16日から19日の日程で沖縄コンベンションセンターで開かれていた日本植物学会の公開講演会が県立博物館で開かれるそうで、そのタイトルが「黒船から始まった沖縄の植物学」でした。

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会場で配布されていた資料。

 

ペリー艦隊が来日して徳川幕府に開国を迫ることは教科書にも載っていることですが、実はその来日の足がかりとして、先に当時の琉球王国へ来航していたのです。1983年に一度琉球王国へ入り、その後に主力艦を率いて来日しますが交渉がうまくいかなかったため琉球へ戻ります。二度目の来日も琉球王国を経由しており、その際には日米和親条約を結びます。このようにペリーさんは琉球王国を足場にして日本と交渉を行っていたのです。

このとき、ペリー艦隊に随行した学者らが沖縄の植物を採取しており、そのときの標本が今もアメリカのスミソニアン研究所やハーバード大学、ニューヨーク植物園に学術標本として保管されているそうです。

今回の講演会では、ペリーさんたちが採取した植物標本を使った研究や、沖縄の植物がどこからやってきたのかその起源を探る研究、クワズイモを使った光合成に関する研究が紹介されました。

改めて沖縄の歴史と自然について興味を深める時間となりました。今回聴講した内容をツアーでもお話できるように調べておこうと思います。ぜひお楽しみに。

 

泊の外国人墓地にペリー来航の記念碑があるそうなのですが、そこにボスが行きたがっています。いつでも行ける距離だけど、なかなか行かない場所なのですが、ちょっと足を運んでみようかな。

白化したサンゴはその後にどうなる?

三連休もいよいよ終わってしまいますね。結局青空を十分に拝めたのは初日だけだったのではないでしょうか。

ということで三連休初日はツアーで利用している恩納村のフィールドへ行ってきました。7月末にミドリイシサンゴの白化が確認できたので、その後どうなったのか見てきました。

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7月31日に訪れたときはリーフエッジ付近で特にミドリイシの仲間が白化していました。

 

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7月31日の観察時はハマサンゴも白化している群体が複数みられました。

 

白化したばかりのサンゴはまだ死んでおらず、環境が改善されると共生していた褐虫藻が戻ってきて回復します。一方で、環境が厳しいままだとそのまま死んでしまい、藻類が生えてきます。

ではでは今回はというと・・・。

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残念ながら白化したミドリイシサンゴの多くは死んでしまったようです。藻類が生えて写真のようになってしまっていました。とはいえ、全部が死んでしまったわけではなく、問題なく生きている群体もいます。

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ミドリイシの仲間は健康な群体かすでに死んでしまった群体がほとんどで、まだ白化している群体はごくわずかでした。一方で、7月末には白化していなかったコモンサンゴの仲間が白化中でした。

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シート状に広がるコモンサンゴの仲間が多く白化していました。
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エダコモンサンゴも全体が白化している群体や、または半分以上が白化している群体が多く見られました。

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よく見るとポリプが確認できます。

 

ハマサンゴはだいぶ回復したようで白化している群体はごくわずかでした。

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二つの群体が融合しているようですが、片方は健康で片方は白化していました。

 

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上のハマサンゴとは違う群体。

 

ちなみにこの日の水温は、リーフエッジの礁原近くで干潮時に15 cm~30 cmの深さで測って32°でした。このフィールドでは確かに白化したサンゴもいますし、その後死んでしまったサンゴもいますが、現在でも十分に健康なサンゴが生息しています。テレビや新聞で報道されているようなあたり一面が真っ白な危機的状況というわけではないようです。

沖縄の夏はもう少し続きますし、引き続き観察を続けたいと思います。

そんな感じで途中で雨に2回も降られ、水温計が流されたり、野帳を海に落としたりしながらも無事退散できました。

ついに誕生、やんばる国立公園

今朝はずっと外出していたのですが、昼になって事務所に戻ると

「ついにだね!!」

と、やや興奮気味のボス。新聞などで大きく報道されているので皆さんご存知とは思いますが、沖縄本島北部の国頭村・東村・大宜味村にまたがる陸域・海域の一部が本日9月15日付けで「やんばる国立公園」に正式に指定されました。

国内では33箇所目となり、沖縄では平成26年3月に慶良間諸島が指定されて以来となります。

 

(参考)
9月15日は、やんばる地域にのみ分布する「ヤンバルテナガコガネ」が発見された日(昭和58年9月15日)。

 

最後の方にある一文にへぇ〜っとなりました。

 

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キュリオス沖縄でもツアーでやんばる地域を利用させていただいています。ツアー一覧: http://curiousokinawa.com/lineup.html

 

今回のやんばる地域の国立公園への指定は「保全」を目的にしたものであり、奄美・琉球世界自然遺産登録に向けたものとなります。すでに国頭村では、今月9月から林道への夜間進入を厳しく制限するなど、新たな取組も始まっています。夜間にやんばるへ遊びに行く際はご注意ください。

国立公園指定や世界自然遺産登録でやんばる地域や沖縄にどんな変化が現れるのか、そんな話をボスとしながら今年度の残りのスケジュールを確認。いろいろと動いていきます。

 

さて、台風16号が先島諸島(石垣島と宮古島周辺の島々)へ向かっていますね。明日16日の夜から接近して風が強くなるようです。

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台風16号の進路予想。気象庁より引用 http://www.jma.go.jp/jp/typh/1616l.html

 

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9月14日の沖縄近海の海面水温。気象庁より引用。http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html

 

海水温、下がるといいな〜。

朝から砂浜めぐり

今朝は事業所に到着と同時にボスから

「海の砂を調べたい」

というめんどくさい力強い要望をいただいたため、午前中は近くのフィールドへ。

まずは人工ビーチの砂ってどんなだっけ?ということで那覇市内のビーチへ。

 

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途中で新しく大きな建物が立っているなぁと思ったら大型客船でした。

 

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波で打ち上げられたものが帯状にまとまっている打ち上げ帯周辺を散策。

 

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観光客で賑わっていました。

 

急にカタブイに降られて撤退。次は自然海岸の砂を見に行こう!ということで浦添へ移動。

 

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入り口の様子が以前とちょっと変わっていました。

 

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以前より減ってはいるけど、マガキガイの殻が多い。

 

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殻の形が猛毒をもつイモガイに似ていますが、殻口のところに凹みがあるのがマガキガイです。

 

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タイワンガザミのオス。脱皮殻がいくつか漂着していました。

 

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通称 「砂茶碗」。タマガイの仲間が卵と砂をいっしょに固めたものです。たくさん落ちていました。

 

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海岸沿いに道路建設中。58号線と平行して那覇につながる道、になるようです。

 

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車道を挟んだ反対側は絶賛工事中。

 

工事の都合で海に放り込まれた礫の周囲にルリスズメダイやツノダシがふらふらしててボスも大興奮。干潮の時間を過ぎる前に退散したかったのでボスを急かしつつ自然海岸の砂もサクッと観察。気になるものは持ち帰って調べることに。

 

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別の日にとってきた某人工ビーチでの拾い物。人工ビーチの砂は深いところから取ってきているので、深いところに住む生き物の殻が多くみられます。

 

「どこの砂浜も同じ砂でしょ」と思っている皆さま、ぜひ海へ遊びに行った際に砂を一握りとって目の前に持っきてみてください。様々な色や形をした生き物の痕跡が見えてきますよ。

 

車内で一人盛り上がるボスを横目にビーチコーミング企画もしっかり作らなきゃなと焦りつつ、この日の砂浜めぐりは終了。海の砂ネタの企画にご期待ください。

 

エナジードリンクの蛍光

あーだーこーだと作業していたら最近光り物にハマっているボスが一言、

「エナジードリンク、光るらしいよ」

どうやら紫外線を当てると蛍光を発するらしい。やってみたい!やってみたい!とうるさかったので 興味津々だったのでさっそくやってみることに。近所のスーパーと自販機をめぐって材料をそろえました。

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今回用意したのはこの5種類。

 

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小分けすると元々の色がけっこう違う。傾向の強さを単純に比較するのはさすがに無理か。黄色いやつは蛍光が強そうだな。

 

「発光」と「蛍光」は異なる現象で、蛍光の場合は紫外線や青色光など特定の光を当てないと光りません。今回はツアー中にも良く使っているUVライトを使用しました。

また、事前に調べたところ、蛍光を放つのはドリンクに含まれるビタミンB2が原因だということがわかりました。成分表示から各ドリンクにどれくらいビタミンB2が含まれているのかチェック。下記の様になりました。

 

<ドリンク100 mlあたりのビタミンB2>

オロナミンC     2.0 mg
リアルゴールド   0.8 mg
モンスター     0.7 mg
パワーギア     0.4 mg
レッドブル   0.09 mg

 

蛍光の強さもこの順番で強いのではと予想。蛍光強度もちゃんと測りたくなってきた。

 

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紙コップの底に穴を開けてUVライトをセット。

 

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ライトのスイッチを入れるとこんな感じ。実際は紫色の光が見えます。

 

同じような装置を白色LEDライトでも作って比べることに。この穴の上に小瓶に写したドリンクを置いて蛍光をチェックしていきます。

 

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まずは普通の水。左が白色LED、右がUVライト。水は蛍光を発しないのでUVライトをあてると青・紫っぽく光が反射しています。

 

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オロナミンC 。白色LEDライトとUVライトの位置は先ほどと同じ。UVライトのほうはライトの青紫色ではなく黄緑色に光っていました。

 

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続いてリアルゴールド。

 

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もともとの色が黄色っぽくなかったけど意外に光ってる!

 

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パワーギア。蛍光でてますね〜

 

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レッドブル。一番蛍光が弱かった。

 

という結果になりました。青紫色の光(UVライトの光)を当てているのに黄緑色に光る。これが蛍光です。ほんとに光ったのでボスも大興奮!!

もともとのドリンクの色が違うし、蛍光の強さも見た感じでしか比べられませんでしたが、ビタミンB2 が一番少ないレッドブルが明らかに蛍光が弱かったですね。

蛍光について簡単に体験するにはちょうど良いかも。生き物を含めて、意外に身近なものが蛍光を発するかも知れませんね。

 

ちなみに実験で使用したドリンクはスタッフがおいしくいただきました。

台風14号発生

先週足早に去っていった台風13号。週末には台風14号が発生して現在は台湾、中国大陸に向かって進行中です。

2016年台風14号
気象庁台風情報より引用。http://www.jma.go.jp/jp/typh/1614l.html

なかなか沖縄へは直撃しませんね。あとは南シナ海に熱帯低気圧が発生しており、台風になりそうとのこと。こちらも進路が気になります。

そして気になる海水温。

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2016年9月11日の海面水温。気象庁日別海水温より引用。http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html?areano=3

段々下がってきてはいるけれど、やっぱりまだまだ高いですね。

2016. 09. 11, サンゴ白化現象をドローンで確認 沖縄 石垣島 | NHKニュース 

知人が上記の撮影に参加していたのですが、水温は30℃以上あるとのこと。台風の直撃がほしいところです。

 

先週は台風の影響もあって天気が崩れっぱなしの沖縄でしたが、今朝は晴れ間が見えていました。今週は天候も回復してくるようです。

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台風13号。そして気になる海水温。

昨日は雨音で目が覚めて天気をチェックすると熱帯低気圧が台風になりそうとの予報。その後、予報通りに台風となり、足早に沖縄本島近海を通過。

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気象庁の台風情報より引用。http://www.jma.go.jp/jp/typh/1613l.html

 

特にツアーの予定はなかったのですが、打ち合わせが何件か入っていたので窓の外が気になる一日でした。

今年の沖縄は全く台風が来ないために海水がかき混ざらず、表層の海水温が上昇し続けていました。そのため、サンゴの白化(サンゴの体内に共生している褐色の藻類がいなくなり、白色の骨が透けて白くみえるようになる)が大規模に起こるのではないかと心配されていました。最近は連日のように新聞やテレビでも報道されていますね。

2016, 08, 27 日本最大のサンゴ礁が白化 専門家「沖縄のサンゴ半数以上死滅の恐れ」 | 沖縄タイムス+プラス

2016. 08. 29 サンゴ:白化9割も…海水温上昇で 国内最大「石西礁湖」 – 毎日新聞

2016. 08. 29 サンゴの白化拡大、98年以来の被害か 沖縄・鹿児島:朝日新聞デジタル 

2016. 09. 01 石西礁湖、慶良間、本部、恩納…サンゴ白化拡大 – 琉球新報 –

2016. 09. 05 鹿児島:奄美サンゴ白化 海水温高く大浜海浜公園の8割 – 毎日新聞 

2016. 09. 05 サンゴの末期、悲しい輝き 沖縄「白化」の海に記者が潜った | 沖縄タイムス+プラス

キュリオス沖縄でも7月31日にツアーで使用している恩納村のフィールドでサンゴの白化を確認していたので、記事中に何度か取り上げられているサンゴマップに投稿しました。

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藻場のシコロサンゴ、タイドプールのハマサンゴでは全体が白化してる群体が多く見られました。

 

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リーフエッジ付近は特にミドリイシが顕著に白化。ほとんどが群体全体が白化していました。

 

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エッジ付近の礁原では白くなったミドリイシが目立ちました。

 

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とはいえ全然白化していないハマサンゴもいました。タイドプールごとに環境が異なっているようです。

 

今回の台風13号は沖縄のダイバー、サンゴ研究者、海に関わる人々にとっては待望の台風?と思いきや、この台風が来る前にすでに水温が下がってきていました。

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こちらは7月1日、15日、31日の沖縄近海の水温。だんだん水温が上がっていきました。気象庁の日別海水温より引用・改変。http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html?areano=3

 

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こちらは8月1日、15日、30日、そして9月5日の海水温。段々下がってきていますね。

 

どうやら8月19日・20日あたりから下がり始めたようです。とはいえまだまだ水温は高いままですので、今回の台風13号が海をかき混ぜてくれることを期待したいですね。このまま下がっていくといいのですが・・・。

 

まだまだ夏の干潟ツアー

昨日は午後から恩納村で干潟ツアー。

大阪からお越しのご家族と県内から参加のご夫婦の二組をご案内。9月に入り、朝晩は涼しい風が吹くようになった沖縄ですが、日中はまだまだ夏。熱中症に気をつけながらあっという間の2時間をお過ごしいただきました。

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iPhoneアプリで360°写真を撮影。広大な海草藻場が広がるフィールドです。

この日はエントリーしてすぐの岩場でシオマネキの仲間やイソアワモチ、ヒザラガイなどなど、子どもたちが歩けば何かを見つけてじっくり観察モードでスタート。

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ルリマダラシオマネキ

 

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ソデカラッパ発見!ハサミ脚が片方なかった・・・。

 

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砂浜で小さなアオヒトデを発見。

海草藻場にたどり着いたら今度はカニ、ナマコがフィーバー。岩礁帯ではサンゴの蛍光を観察しました。飽きるほど生き物を観察して今回もツアーを無事に終えました。。

夏の暑さが続く沖縄ですが、水分補給を忘れずにまだまだ夏を楽しみたいですね!

 

夏休みの終わりに、沖縄の干潟へ出かけて子どもたちと海の生物探しに興じる!!

沖縄県地域環境センター(沖縄こどもの国チルドレンズセンター1F内)の主催で、先日8月20日、恩納村の干潟にて「海の生き物観察会」が開催されました。

この観察会に弊社のメンバーも講師として参加して来たので、その模様をお伝えします。

 

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講師陣はこちら。

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「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕さん

「しかたに自然案内」を運営し、沖縄における海洋・生物教育啓蒙活動を行ってらっしゃいます。

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そしてキュリオス沖縄の仲栄真礁君

そして我らがキュリオス沖縄の仲栄真君。

私宮崎は、もっぱら写真を撮るというポジションで参加しました。

また、沖縄こどもの国のスタッフさま方(集合写真撮り忘れましたorz)がイベントのお膳立てから会場設営、当日の安全管理まで担当してくださいました。

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まずは、事前学習が行われる恩納村ふれあい学習センターの教室にて打ち合わせ。

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集合時間の13:30になり、続々と参加者が集まってきます。この日の参加者は全体で30名ほど。

ここで一通り危険生物・熱中症への注意喚起、観察の際のポイントなどについてレクチャーが行われました。

干潟の生物観察に行く際の注意点をごく簡単に挙げると、

  • 熱中症対策をしっかり(帽子、首にタオル、水分をこまめに補給)
  • サンダル厳禁(後述します)
  • 危険生物に関する知識をある程度身につけていく
  • サンゴ、そしてなるべくなら海草も踏まないように歩く
  • ひっくり返した石は必ずもとにもどす

こんなところでしょうか。

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レクチャーが終わり、いよいよセンターの裏の干潟海岸へ!…観察会にクバ笠って、渋い。

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皆さん、足元はバッチリでした。

海というとビーサンや草履で行く人が多いですが、こと足元が岩場だったり、転石がごろごろしてたりという海岸では岩で足を切ったり、生き物の棘に刺されたりというリスクがあり大変危険です。

こういう場所での生物観察に一番いいのはフェルト底のマリンブーツですが、底がしっかりした運動靴でも十分代用できます。詳しくはこちらをご覧下さい。

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さて、先陣を切って生き物を探してくれていた子が探してくれたこの生き物、なんだか分かります??

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この写真と次の写真は別の日に撮影

裏返してみたら分かりやすいでしょうか。これ、イソアワモチという「殻のない貝類」です。

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こんな感じで岩にひっついています。

殻がない、というだけでもヘンな奴ですが、実はこの貝、肺で直接空気を呼吸します(多くの海産の貝類はエラ呼吸のみ)。さらに、呼吸をするための穴が肛門の後ろに空いています。

海辺で見かけたら、是非おしりの辺りを覗き込んでみて下さい。

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こちらはナマコの仲間のオオイカリナマコ。

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こちらも別の日に撮った写真

たいへん長くなるナマコで(2mぐらい)、サンゴ礁の浅い砂地やアマモ場に多く生息しています。

体はぶよんぶよん(大部分が水)で、おまけに触ると手にひっつきます。ぱっと見、粘着しているようにも見えますが、実はこれは体の表面にあるカルシウムの棘(骨片)が引っかかっているのです。この骨片が錨(いかり)の形をしているので「イカリナマコ」という名がついた、といわれています。

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ちょっと遠目で分かりづらいですが、こちらはソデカラッパというカニ。カラッパが見つかったら面白いね〜なんて話をしながら歩いていたら、なんと一人の男の子が見つけてくれました!

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これも別の日に撮った写真

?これのどこがカニなんだ?という形をしています。DSC04286

ひっくり返すと分かりやすいでしょうか。なんというか甲羅の左右が張りだして脚を覆うアーマー(鎧)みたいになってます。そして左右のハサミはその甲羅と完璧につながるようなデザイン。

上の写真でカニの右(カニから見て右)のハサミに奇妙な白い突起があるのが分かるでしょうか。またの機会に詳説しますが、実はカラッパ類はこの突起を支点にして巻き貝類を「缶切り」の原理でバリバリと割って食べるのです。

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ちなみにこちらは鹿谷さんのグループ。

事前の班分けで「生き物を探してガンガン行く組(弊社仲栄真)」と「のんびり行く組(鹿谷さん)」とに分かれたのですが、結局どちらのグループも生き物を目にすると「もっと探そう!」とガンガン前に進んでしまう感じでした。

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岩をどけて生き物を探す。ひっくり返した岩は、そーっと元通りに!

しかし、子供たちの生き物を見つける速度の素早いこと。弊社仲栄真、そして私も普段から海の生き物を探し慣れているはずなのですが、この日解説した生き物の半分くらいは子どもたちが先に見つけてしまいました。

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こちらはカワテブクロというヒトデの仲間。腕が冗談のように太いですね。

かなり暑い日で、2時間ほどで海岸での生き物観察は終了。参加した子どもたちには大変楽しんでくれたようで、「来年も来たい人〜?」との問いかけに全員挙手してくれました。

鹿谷さん、仲栄真君、お疲れ様です。企画を立てて色々お膳立てしてくださった子供の国の皆様、ありがとうございました!

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おまけ。ホワイトボードに海の生き物を描いてウェルカムボード的なものにしよう!ということで描き始めたものの、いつのまにか「うろ覚えイラスト大会」になってしまいました。

(宮崎)

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「藻場」はなるべく踏むべからず!沖縄で海を歩く際はご注意を。

「藻場(もば)」

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海藻や海草が一面に生えている場所をこう呼びます。紛らわしいですが、「モバゲー」等のモバは「モバイル」のモバであって藻場ではありません。

海藻と海草の違いは?

どちらも読みは「かいそう」です(海草の方は「うみくさ」と読む場合も)。

「海藻」の方は藻類(そうるい)と呼ばれる植物を指します。藻類とは簡単に言うと、花を咲かせず胞子で殖える植物の仲間で、体のつくりは単純で、根・茎・葉の区別はありません。「緑藻」や「紅藻」「褐藻」などいくつかのグループに大別されます。

身近なところではコンブやワカメなど。ローカロリーでうれしい「海藻サラダ」に入っているアレですね。岸近くで藻場を形成する海藻としてはホンダワラやカジメ、アラメなどが有名です。

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イソスギナ Halicoryne wrightiiこちらは藻類の仲間。

これに対して、「海草」は花を咲かせ種をつくる植物(被子植物)の仲間です。

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リュウキュウスガモ Thalassia hemprichii

海藻には「根」「茎」「葉」の区別がありませんが、海草にはちゃんとあります。

関東に多いのはアマモやコアマモ、沖縄だと一番多いのはおそらくリュウキュウスガモではないでしょうか。岸近くの砂地、特に河川があって陸からの栄養分が適度に流れてくる場所に多く育ちます。

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一面の海草藻場(うみくさもば)

海草はどっから来た?

植物の祖先も、最初は海で誕生・進化し、その後一部のグループが進化の過程で陸上に上がったと考えられています。

コケ→シダ→維管束植物の順に進化(分岐)した年代が新しいとされていますが、この順番は、より陸上に適応していく過程でもあります。端的に言えば、古いグループ方が乾燥に弱いのです。森の中がコケで覆い尽くされた屋久島なんて、「年400日雨が降る」と言われていますよね。ちなみに「藻類」は、そもそも陸上に上がらなかったグループの一つです。

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コケ植物の多くは湿潤な環境を好む。やんばるにて。

ところが「海草」の仲間は一度陸上に適応したのち、海に戻った変わり者の植物です。哺乳類でいうところのイルカやクジラみたいなイメージでしょうか。

海草藻場を見つけたら

さて、沖縄も海が楽しい季節になりましたが、サンゴ礁や砂浜を歩いていてこのような海草が茂っている場所を見つけたら、なるべく踏まないようにお願いします。多くの人によって踏み荒らされると枯れてしまいますので。

ただ、藻場は生物観察をするならうってつけの場所でもあります。

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カマスベラの幼魚と思われる

分かりますかね?定規に右下にいる緑色の魚。カマスベラという魚食性のベラの幼魚です。

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イッカクガニ Menaethius monoceros

そこそこの大きさの藻場があればたいてい、こんな感じで緑色をした生き物やいろいろな魚の幼魚などが隠れ住んでいます。詳しくはまともな写真が揃ってから特集しようと思いますが、この他にも小型のイカの仲間やモエビの仲間、イソギンチャクの仲間など「藻場」にしか出てこない生き物がわんさかいます。

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(宮崎)