大宜味村の山に、ツアーの下見に行って来ました!(世界自然遺産普及啓発関連事業)

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本日はツアーの下見に、秋の大宜味村の山へと出かけて参りました!

このツアーは奄美・琉球の世界自然遺産登録に関する沖縄県内での普及・啓発を目的としたもので、今年11・12月に本番を迎えます。本日はその下見。参加していただいた関係者の皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました!

まずは大宜味の道の駅に集合。

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天候はまずまずで、途中少し雨がぱらつく場面もありました。

で、ここから車で山の登山口へ移動。

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登山口のすぐ横ではサキシマフヨウが見頃。

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そんなわけで、入山します!

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雨後だったので森はしっとりしていました。

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そして雨後だったのでカタツムリ類がたくさん出ておりました。こちらは触角の付け根のつぶらな瞳がかわいいアオミオカタニシ(狭義のカタツムリ類ではない)。

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厚手の葉が対生するボチョウジ。

今回、やんばるの自然に親しんでもらう手段として、いつ行っても確実に見られる植物に少しウェイトを置いてその生態や生存戦略、それに味や匂いなどを含めた人間との関わり、などについて紹介し、「顔なじみ」になってもらうという作戦を立てています。

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リュウキュウマメヅタ。こう見えてシダの仲間です。

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リュウキュウヌスビトハギの種子。種子の表面にマジックテープの引っ掛ける側みたいな突起が多数生えていて、こんな風に布にひっつきます。動物などの毛について運ばれるための仕組みです。

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葉はこんな感じの三出葉です。

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今回は花も咲いていました。うすいピンクの蝶型花です(モノによってもうちょっと濃いのもありました)。リュウキュウヌスビトハギはリュウキュウウラボシシジミという大変愛らしいシジミチョウの食草でもあります。

リュウキュウウラボシシジミはこんな蝶。

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リュウキュウウラボシシジミ(別の日、今年6月に撮影)

こんな事を言っては何ですが、流石に皆さん、ものすごく関心が高かったです。

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途中、こんなものも。

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菌類に覆われたリュウキュウアブラゼミの死骸。多分、生きているうちに菌糸に蝕まれ、木の幹についたまま息絶えたのでしょうね。なんとなく、「ナウシカ」の一場面を想起させます。

このコースは途中、けっこうな急坂もあります。

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この急坂の先は見晴らしのいい尾根です。

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今日はちょっとガスってましたが、奥間のビーチの辺りが綺麗に見えています。

でもこれ頂上ではないんですよね。尾根伝いに少し歩いて到着した頂上の写真はこちら。

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実は、頂上は草ぼうぼうであまり見晴らしはききません。いちおう三角点を確認して下山。

下山のルートはあっという間で、すぐに車道に出て来ます。

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道沿いに咲いていたアマクサギの花。花はかなりフローラルな良い香りがします。

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その葉。葉はかなり強烈に青臭い匂いがしましたが、若葉は食用にされいたそうです(本日参加者の方から聞いて知りました)。

というわけで駐車場に戻って無事終了。

奄美・琉球の自然遺産登録推進に関しては、歓迎する声がある一方、多くの人が大挙してやんばるに押し寄せることに危機感を持っている方も多くいます。それは正直、キュリオス沖縄の面々も同じです。

(自然遺産登録が実現したあかつきには)自然遺産登録された場所としての物珍しさだけではなく、そこに生きる動植物やそれらが織りなす生態系、人々の暮らしとの関わりなどについて知り、自然や生物の持つ美しさや不思議さへの感動を得たい、という方に訪れて欲しい。キュリオス沖縄ではそのような方々の想いの受け皿となるツアーを今後も作っていきたいなと思っております。

参加された皆様、弊社仲栄真も、お疲れ様でした!

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県立博物館での講演「沖縄の土を知って、これからの環境を考える」を聴いて来ました!

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少し時間が空いてしまいましたが、10月15日に県立博物館で催された土壌学者、金城和俊先生による講演会を聴きに行ってきましたのでその様子をレポートします。

まず驚いたのが、金城先生が持ち込んだ土壌の標本。地表から地下1.5mくらいまでの地層がスライスされて、薄い布に貼り付けられています。

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金城先生にどうやって作るのかお聞きしましたが、まず土壌を掘り進めて断面をつくり、そこに樹脂を浸透させて布を貼り付け、固化させてから剥がす、とのことです。何日もかかるそうで、雨が降ったりしたら一筋縄では行かなそうです。

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休み時間に近寄って見学できました。触ってもOKとのこと!

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土壌学とは?

土壌学というのは「地質学」とも微妙に違っていて、土壌を構成する成分や鉱物などの分析や比較に加え、土壌にかかわる生物の働きについての研究というニュアンスも加味されているそうです。

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気候帯によって分布する土壌は異なっており、沖縄を含む亜熱帯地域は「赤黄色土」と呼ばれる土壌が大きな割合を占めるそうです。

ちなみに全世界の土壌を陸地のエリアに均一な厚さになるように均すと、なんと平均18cmの深さしかないそうです。作物となる植物が健全に育つための土壌の深さが最低30cmと言われているので、いかに土壌が貴重であるか分かります。

土壌学ってどんなことをするの?

これは僕も興味ありました。

土壌はふつうは地表の浅いところにしかないので、重機を使って掘るようなことは稀だそうです。で、スコップを使っておよそ0.7t(!)の土を掘り出して人が中でしゃがめる穴を堀り、その穴の断面から土壌の様子を観察するそうです。沖縄の土は大変硬く、この大きさの穴を掘るのにがんばっても40-60分かかるとのこと。体力勝負な研究ですね。

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沖縄の土壌について

沖縄には、主に下記のような土壌が分布しているそうです。

  • 国頭マージ (赤黄色土)

一番多い 非常に年代的には古い→有機物が少なく、強い酸性 バラバラになりやすい。千枚岩、粘板岩、砂岩などが母材

  • 島尻マージ (暗赤色土)

海岸沿いに分布透水性が高い(根菜類の栽培に適する 人参の栽培に向いた津堅島もこれ)。母材としては国頭マージとほぼ同じ。水はけが良すぎるのでジャーガルをブレンドして土質改良をしている。風成塵(黄砂)が過去には(7万〜1万)大量に飛んできたと考えられ、これが島尻マージの生成のもとになったのでは?と考えられている

  • ジャーガル(灰色)

中南部、浜比嘉くらいまで。泥岩(クチャ)が母材。水はけがめちゃくちゃ悪い(スメクタイトを含む)※北部の灰色の土は酸性硫酸塩土壌といって性質が異なり、農作物には全く使えない

  • 沖積土壌

土壌の世界にも、開発などの影響によりほとんど見られなくなった土壌があり、「日本ペドロジー学会」により「レッドデータ土壌」なるものが制定されているそうです。沖縄本島では、森林が残っている場所のジャーガル地帯(県南部)が非常に貴重で、「絶滅危惧土壌」に指定されています。

赤土流出について

今回、このテーマを聞きたくて講演を聴きにきた参加者も多いのではないかと思います。

沖縄本島の赤土、国頭マージは、露出した(草などに覆われていない)状態、とくに露出して斜面になっている場所に雨が降った場合、土の団粒構造が崩れて流れてしまうということです。土の中に含まれている有機物は「ツナギ」の役割を果たすのですが、国頭マージには有機物が非常に少ないため、容易に粒がバラバラになって「濁流」となってしまうそうです。

赤土流出の原因とその対策についてはよく研究され十分なノウハウがあるそうです。具体的には土壌表面が裸地にならないよう植物を植える、勾配を修正する、など。これらの対策は現在では大きな工事の場合よく行われており、沖縄本島で現在流出の主因になっているのは農業用地からの流出である、ということでした。しかしその対策やコストを農家に丸投げするのではなく、行政の力で補助をしながら対策をすすめることが重要だということを非常に強調しておられました。

土壌と人の関わり

今回金城先生が結びで話されたのは、土壌と人類文明のお話。人類の四代文明はいずれも大河のほとり、作物を育てるための土壌が非常に栄養豊かな地域で始まりましたが、文明の荒廃や滅亡にも作物を育てる土壌の劣化が非常に大きく関わっていたのではないか、というお話でした。

土壌の汚染や流出は、なにも沖縄だけの問題ではありません。現在、土壌生成量は1t/ha/yrで、その5-30倍の土壌が侵食により失われて行っているそうです。平均で18cmの厚さしかない貴重な土壌が、です。

講演を聴いて

普段、フィールドで生き物を観察したり撮影したりするため土の上に這いつくばることはあっても、土壌というものに強い関心を寄せたことはあまりありませんでしたが、今回の講演を聴いて少し道端にある土についても「どこら来たのか…?」など今興味が湧くようにあんりました。

また、改めて人間の文明は自然のシステムに生かされているなぁという実感を持ちました。

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台風18号通過後のビーチは…?

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台風18号、すごい威力だったようですね。

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日本気象株式会社のサイト「地球気」より

「ようですね」というのは、今回は実際にその猛威を体験することはなかったので。

台風18号は最盛時に905hPa(!)という猛烈な勢力にも関わらずたいへんコンパクトな台風だったため、沖縄本島の真横を通り過ぎた(久米島を直撃)にも関わらず本島はそれほど無茶苦茶な大荒れにはなりませんでした。久米島在住の皆様におかれましては、一刻も早く生活が元通りになることを祈っております。

さて、台風が通り過ぎた後は海岸が気になるもの。

台風による波が外洋から、普段は流れ着かない「思わぬ土産」を浜に届けてくれることがあるからです(※必ず、絶対に、波がおさまったのを確認してから出かけるようにして下さいね!!)。

というわけで台風通過の翌々日、(就業時間中にもかかわらず)那覇の事務所からほど近い瀬長島に行ってまいりました。

島に向かって右側の北岸から

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こちらは新しい滑走路が海上にできて、外洋の波があまり入らなくなっている模様。

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大量に打ち上げられていたのはカイメンソウ。

生きている時は深緑色をしています。海綿(単骨海綿目のカイメン)と紅藻類が共生してこのような枝状の体を作ると考えられています。カイメンソウの体をつくっているカイメンと紅藻、どちらも単独では自然界で生きられない…という不思議な生物。

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ハマササゲ(マメ科)の黄色い花が咲いていました。

北岸はあまり目ぼしい打ち上がりはナシ。

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瀬長名物、離発着する旅客機

というわけで、南岸の方へ

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ビーチでの捜し物に熱中して俯いている人、傍目にはなんだかちょっとネクラに見えます(もちろん僕もです)。

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台風で千切れた海藻や流されてきた葉っぱなどが、高潮線に沿って延々と打ち上げられています。

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こちらは台風のときの打ち上げ。高潮線よりさらに上(陸より)に並んでいます。

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砂浜の上にはこんな足跡がたくさん。

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足跡の正体はオカヤドカリ。

海岸に打ち上がった海藻や生き物の死体を餌にしています(写真に写っているのはノコギリガザミ類のハサミ)。普段からたくさん見られますが、この日は打ち上げゴミの中に餌がたくさんあったためか、昼間から多く出歩いていた印象を受けました。

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こちらはオキナワヤマタニシ(陸産の貝類)の殻を背負ったオカヤドカリ。瀬長島にも恐らくたくさん生息しているのでしょう。

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ラッパモクという海藻(褐藻)の仲間。

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海草類もたくさん打ち上げられていました。このあたりの海中にかなり大規模な海草藻場があるのかもしれません。

というわけで、「打ち上がり」はいつもより多かったものの、あまり目ぼしいものは発見できませんでした。

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砂浜と道路の境目あたりに生えるオオハマボウ(ユウナ)の樹。オオハマボウは海岸にも多く生える植物ですが、さすがに台風の波の直撃はダメージが大きいのでしょう。

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こんな感じで、下の方の葉はすべて落ちるか枯れるかしていました。

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クサトベラの樹も相当なダメージだったようですね。

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グンバイヒルガオ。丈の低い植物はこのように砂に埋もれてしまうというリスクもあります。

それでも枯死してしまわないあたりはさすが海岸植物です。内陸の植物の中には、台風の影響で塩分を含んだ雨が降っただけで枯れてしまうものも多くあります。

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というわけで、残念ながら大きな収穫もないまま海岸を後にしました。

場所が悪かったのかな、とも思いましたが、今回は台風の風向きがイマイチだったらしく、中部や北部まで台風後のビーチコーミングに出かけた他の友人数名からも「大した収穫はなかった」とボヤいておりました。

波の高い時に行かない、というのが大鉄則ですが、台風後のビーチコーミングは運がいいといろいろ面白い「打ち上がり」を見られるのでオススメです。

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具志頭の遊歩道の下見に行って来ました!

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このたび、第8弾となるモニターツアー(10月19日水曜実施)の下見に、具志頭遊歩道(ホロホローの森)に行ってきました。

まずは具志頭体育館からちょっと降りたところにある場所に寄り道。

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この道、上を通るだけでは何てことない道なんですが…

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横から見るとこの通り。天然の石灰岩の橋になってます!どうやってこの形になったのでしょう。詳しくは当日…!

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近くではヤンバルアカメガシワが実をつけていました。「ヤンバル」という名がついていますが沖縄本島の中南部にも先島にもたくさんあります。アカメガシワ同様、新芽が赤くなります。ちなみに赤くなった新芽は、冬〜春くらいに行けば見られます。

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オオムラサキシキブの花。花とともに下の方にちょこっとm晩秋にはこんな感じに実が鮮やかな紫に色づきます。

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2015年12月撮影

さて、それでは遊歩道に入って参りましょう。

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まず森に入って目に入るのが、複雑怪奇な形に侵食された石灰岩とそこに絡みつくガジュマルやハマイヌビワの根っこ。

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大きく切り立った石灰岩の崖からは、上に生えているガジュマルから出た気根が垂れています。

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植物の体は「シュート(茎+葉)」とルート「根」とに大別でき、基本的にシュートは地上に、ルートは地下にあります。気根はルートが地上にある、という例外のひとつ。

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このひょろ長い気根も、地上につくと一気に太くなりはじめるそうです。こうなると手で動かすのも困難なほどの太さと強度になります。

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石灰岩の上の植物群。サタソウ、オニヤブソテツ、タイワンクズ、キダチハマグルマ、ホウビカンジュなど。

この辺りに生育する植物のかなりの種類が、土がほとんど、もしくは全く無くても根を下ろして発芽し、育つことができます。

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この向こうが明るいのは森が途切れて開けているからなのですが、向こう側が見えません。

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これは、このような「マント群落」と呼ばれるつる性植物でできたシートに覆われているからです。ハート型の葉はノアサガオ。

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他にもアマチャヅルや、

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ミツバビンボウカズラ

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キダチハマグルマ、などがマント群落を構成しています。

このマント群落には、森の外側を覆うことで水の蒸発を抑え、森全体を保湿する働きがあります。

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ふと頭上を見ると、ハマイヌビワの葉裏にナナホシキンカメムシ。カメムシなので無理矢理つかむとカメムシ臭を出します。

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マメ科のクロヨナの、淡いマゼンダの花が満開でした。

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マメ科特有の蝶形花。高いところに咲いている場合が多いのですが、いくつか目の高さに咲いている場所も見つけておきました。ただ、この台風でかなり散ってしまうことが予想されます。

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大きな樹の下には、この通り花がたくさん散っていました。

マメ科なので、当然マメがなります。

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昨年落ちたマメはこんな感じに発芽していました。ちなみに樹木の芽生えのことを「実生(みしょう)」と呼びます。

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こちらは同じマメ科のハカマカズラの実生。

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ヤシの仲間のクロツグ。

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写真ではサイズが分かりにくいですが、二抱えほどもあるシマタニワタリの大株(中央右)とホウビカンジュ(左)。

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道の頭上を横切るガジュマル。ガジュマルやハマイヌビワは、他の植物の影の下に入ってしまうと伸びる方向を変え、日照を求めて「逃げる」そうです。

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で、逃げた先で手をつくように気根を下ろしていくので、森の中を比喩でなく「歩く」(ただし長い時間をかけて)んだそうです。

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トウヅルモドキ。

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葉の先端がこんな感じで巻いていて、ここで他の植物に絡みついていきます。

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上っては垂れて、を繰り返すとときにものすごい密度になります。上の写真では右上〜中央の黒っぽい塊が全部トウヅルモドキです。こうなると光を通さなくなり、しまいには覆いかぶさられた植物は光が届かなくなり、枯れてしまいます。

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ノカラムシの花。

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目立ちにくい大変小さな花です。

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ちょこっと海が見える所に出て、

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切通しチックになった場所を通って、

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駐車場まで降りてきました!ちょっとしつこく見すぎまして、ここまで3時間強。当日はもうちょっと短縮します。

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駐車場脇に咲いていたアマクサギの花。クサギの仲間なので、花の作りがイボタクサギ(海岸やマングローブに多い)などと似ています。

最後に少し、当日使うかは分かりませんが海岸の方にも寄ってみました。いま来た遊歩道を戻って海側へ抜ける…のはしんどいので、車で海岸側の駐車場へ。

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こちらもなかなか面白い地形。隆起サンゴ礁が侵食されていく時にここだけ残ったのでしょうね。基部は波でかなり抉られてノッチになっています。

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グンバイヒルガオが花盛りでした。カンカン照りの砂浜に緑のじゅうたんを広げたように生育します。

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ハリツルマサキ。目立ちにくいですが、こちらも小さな花を咲かせています。

ハリツルマサキは街中にもたくさんありますが、海岸のものは街中のものに比べて、和名にふさわしく棘だらけです。

…という感じで今回は終了。現場でこの季節にお見せできるものはだいたい把握したので、あとはどうやって「植物学」を身近な体験と結びつけて伝え、皆様に楽しんでいただけるか…を画策中です!

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恩納村の海岸下見

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恩納村の海岸に、フィールドの下見に行ってきました。

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台風の影響で波はちょい高め。

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隆起サンゴ礁が波による侵食を受けてできたダイナミックな地形も、ここの魅力です。

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岩肌にはサンゴや二枚貝の化石も。こちらは単体性造礁サンゴのクサビライシ類。

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こちらはオオトゲサンゴの仲間。キクメイシ類(サザナミサンゴ科)に比べて隔壁(放射状に並んでいる部分)が分厚いのが特徴。

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貝類の化石もちらほら。

干潮のときに見られる潮間帯生物を確認するために波打ち際へ。

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ニセクロナマコ。

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水面で腕をフリフリして食事中のウデフリクモヒトデ。水面に浮いている泡(サンゴの粘液とプランクトンの死骸なんかが混ざったもの)が奴らの餌です。

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イボタマキビ(窪みにいる黒いツブツブした貝)。高潮帯(潮が目一杯満ちてくると水をかぶる場所)にいます。海岸で寝る場合、こいつらのいる場所で寝たら水没しますね。

そしてちょっと移動して、

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よく来る人はこの写真だけでどこか分かるかも。巨岩の中が抜けて洞になっています。

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内部はこんな感じ。よく見ると天井に石灰岩の柱が垂れていて現在進行系で雨による侵食を受けていることがわかります。

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現在の潮線の少し上あたりの窪みは、洞内に入り込んできた波によって侵食された跡。

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そしてこんな洞の上にも海岸植物が。中央少し右にソテツが見えます。

ここのもう一つの見どころは、沖縄の海岸植生がわりときちんと残っているところです。まずは波打ち際に近い最前線から。

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花をつけたウコンイソマツ。

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ソナレムグラ。

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ソナレムグラの花。

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こちらはイソフサギ。赤く見えるのは花です。

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イソフサギとウコンイソマツ(少し奥の方)こんな感じで岩礁の窪みを埋めるように生育します。

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ホソバワダン(ンジャナ)と思われるが、要確認。

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イソノギクの白い花。

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ボタンボウフウ(長命草)。

ここからちょっと陸寄りに移動して、

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ハマゴウ。

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マメ科のハマササゲ。

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こちらは木本(もくほん)のクサトベラ。

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さらに陸に上り、海岸植生も背が高くなり「海岸林」になるあたりにはアダン。

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葉の縁だけでなく、よく見ると裏側の中心にも棘がついています。

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まだ青い実もついていました。

という感じで、海プログラム実施のイメージもついた所でタイムアップ。ここは本当はもっと真面目に見れば海岸植物の種数が出るのですが、今回は時間が足りなかったのでまた次回にでも。

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ついに誕生、やんばる国立公園

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今朝はずっと外出していたのですが、昼になって事務所に戻ると

「ついにだね!!」

と、やや興奮気味のボス。新聞などで大きく報道されているので皆さんご存知とは思いますが、沖縄本島北部の国頭村・東村・大宜味村にまたがる陸域・海域の一部が本日9月15日付けで「やんばる国立公園」に正式に指定されました。

国内では33箇所目となり、沖縄では平成26年3月に慶良間諸島が指定されて以来となります。

 

(参考)
9月15日は、やんばる地域にのみ分布する「ヤンバルテナガコガネ」が発見された日(昭和58年9月15日)。

 

最後の方にある一文にへぇ〜っとなりました。

 

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キュリオス沖縄でもツアーでやんばる地域を利用させていただいています。ツアー一覧: http://curiousokinawa.com/lineup.html

 

今回のやんばる地域の国立公園への指定は「保全」を目的にしたものであり、奄美・琉球世界自然遺産登録に向けたものとなります。すでに国頭村では、今月9月から林道への夜間進入を厳しく制限するなど、新たな取組も始まっています。夜間にやんばるへ遊びに行く際はご注意ください。

国立公園指定や世界自然遺産登録でやんばる地域や沖縄にどんな変化が現れるのか、そんな話をボスとしながら今年度の残りのスケジュールを確認。いろいろと動いていきます。

 

さて、台風16号が先島諸島(石垣島と宮古島周辺の島々)へ向かっていますね。明日16日の夜から接近して風が強くなるようです。

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台風16号の進路予想。気象庁より引用 http://www.jma.go.jp/jp/typh/1616l.html

 

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9月14日の沖縄近海の海面水温。気象庁より引用。http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/sst_HQ.html

 

海水温、下がるといいな〜。

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夏休みの終わりに、沖縄の干潟へ出かけて子どもたちと海の生物探しに興じる!!

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沖縄県地域環境センター(沖縄こどもの国チルドレンズセンター1F内)の主催で、先日8月20日、恩納村の干潟にて「海の生き物観察会」が開催されました。

この観察会に弊社のメンバーも講師として参加して来たので、その模様をお伝えします。

 

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講師陣はこちら。

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「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕さん

「しかたに自然案内」を運営し、沖縄における海洋・生物教育啓蒙活動を行ってらっしゃいます。

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そしてキュリオス沖縄の仲栄真礁君

そして我らがキュリオス沖縄の仲栄真君。

私宮崎は、もっぱら写真を撮るというポジションで参加しました。

また、沖縄こどもの国のスタッフさま方(集合写真撮り忘れましたorz)がイベントのお膳立てから会場設営、当日の安全管理まで担当してくださいました。

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まずは、事前学習が行われる恩納村ふれあい学習センターの教室にて打ち合わせ。

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集合時間の13:30になり、続々と参加者が集まってきます。この日の参加者は全体で30名ほど。

ここで一通り危険生物・熱中症への注意喚起、観察の際のポイントなどについてレクチャーが行われました。

干潟の生物観察に行く際の注意点をごく簡単に挙げると、

  • 熱中症対策をしっかり(帽子、首にタオル、水分をこまめに補給)
  • サンダル厳禁(後述します)
  • 危険生物に関する知識をある程度身につけていく
  • サンゴ、そしてなるべくなら海草も踏まないように歩く
  • ひっくり返した石は必ずもとにもどす

こんなところでしょうか。

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レクチャーが終わり、いよいよセンターの裏の干潟海岸へ!…観察会にクバ笠って、渋い。

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皆さん、足元はバッチリでした。

海というとビーサンや草履で行く人が多いですが、こと足元が岩場だったり、転石がごろごろしてたりという海岸では岩で足を切ったり、生き物の棘に刺されたりというリスクがあり大変危険です。

こういう場所での生物観察に一番いいのはフェルト底のマリンブーツですが、底がしっかりした運動靴でも十分代用できます。詳しくはこちらをご覧下さい。

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さて、先陣を切って生き物を探してくれていた子が探してくれたこの生き物、なんだか分かります??

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この写真と次の写真は別の日に撮影

裏返してみたら分かりやすいでしょうか。これ、イソアワモチという「殻のない貝類」です。

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こんな感じで岩にひっついています。

殻がない、というだけでもヘンな奴ですが、実はこの貝、肺で直接空気を呼吸します(多くの海産の貝類はエラ呼吸のみ)。さらに、呼吸をするための穴が肛門の後ろに空いています。

海辺で見かけたら、是非おしりの辺りを覗き込んでみて下さい。

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こちらはナマコの仲間のオオイカリナマコ。

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こちらも別の日に撮った写真

たいへん長くなるナマコで(2mぐらい)、サンゴ礁の浅い砂地やアマモ場に多く生息しています。

体はぶよんぶよん(大部分が水)で、おまけに触ると手にひっつきます。ぱっと見、粘着しているようにも見えますが、実はこれは体の表面にあるカルシウムの棘(骨片)が引っかかっているのです。この骨片が錨(いかり)の形をしているので「イカリナマコ」という名がついた、といわれています。

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ちょっと遠目で分かりづらいですが、こちらはソデカラッパというカニ。カラッパが見つかったら面白いね〜なんて話をしながら歩いていたら、なんと一人の男の子が見つけてくれました!

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これも別の日に撮った写真

?これのどこがカニなんだ?という形をしています。DSC04286

ひっくり返すと分かりやすいでしょうか。なんというか甲羅の左右が張りだして脚を覆うアーマー(鎧)みたいになってます。そして左右のハサミはその甲羅と完璧につながるようなデザイン。

上の写真でカニの右(カニから見て右)のハサミに奇妙な白い突起があるのが分かるでしょうか。またの機会に詳説しますが、実はカラッパ類はこの突起を支点にして巻き貝類を「缶切り」の原理でバリバリと割って食べるのです。

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ちなみにこちらは鹿谷さんのグループ。

事前の班分けで「生き物を探してガンガン行く組(弊社仲栄真)」と「のんびり行く組(鹿谷さん)」とに分かれたのですが、結局どちらのグループも生き物を目にすると「もっと探そう!」とガンガン前に進んでしまう感じでした。

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岩をどけて生き物を探す。ひっくり返した岩は、そーっと元通りに!

しかし、子供たちの生き物を見つける速度の素早いこと。弊社仲栄真、そして私も普段から海の生き物を探し慣れているはずなのですが、この日解説した生き物の半分くらいは子どもたちが先に見つけてしまいました。

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こちらはカワテブクロというヒトデの仲間。腕が冗談のように太いですね。

かなり暑い日で、2時間ほどで海岸での生き物観察は終了。参加した子どもたちには大変楽しんでくれたようで、「来年も来たい人〜?」との問いかけに全員挙手してくれました。

鹿谷さん、仲栄真君、お疲れ様です。企画を立てて色々お膳立てしてくださった子供の国の皆様、ありがとうございました!

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おまけ。ホワイトボードに海の生き物を描いてウェルカムボード的なものにしよう!ということで描き始めたものの、いつのまにか「うろ覚えイラスト大会」になってしまいました。

(宮崎)

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「藻場」はなるべく踏むべからず!沖縄で海を歩く際はご注意を。

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「藻場(もば)」

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海藻や海草が一面に生えている場所をこう呼びます。紛らわしいですが、「モバゲー」等のモバは「モバイル」のモバであって藻場ではありません。

海藻と海草の違いは?

どちらも読みは「かいそう」です(海草の方は「うみくさ」と読む場合も)。

「海藻」の方は藻類(そうるい)と呼ばれる植物を指します。藻類とは簡単に言うと、花を咲かせず胞子で殖える植物の仲間で、体のつくりは単純で、根・茎・葉の区別はありません。「緑藻」や「紅藻」「褐藻」などいくつかのグループに大別されます。

身近なところではコンブやワカメなど。ローカロリーでうれしい「海藻サラダ」に入っているアレですね。岸近くで藻場を形成する海藻としてはホンダワラやカジメ、アラメなどが有名です。

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イソスギナ Halicoryne wrightiiこちらは藻類の仲間。

これに対して、「海草」は花を咲かせ種をつくる植物(被子植物)の仲間です。

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リュウキュウスガモ Thalassia hemprichii

海藻には「根」「茎」「葉」の区別がありませんが、海草にはちゃんとあります。

関東に多いのはアマモやコアマモ、沖縄だと一番多いのはおそらくリュウキュウスガモではないでしょうか。岸近くの砂地、特に河川があって陸からの栄養分が適度に流れてくる場所に多く育ちます。

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一面の海草藻場(うみくさもば)

海草はどっから来た?

植物の祖先も、最初は海で誕生・進化し、その後一部のグループが進化の過程で陸上に上がったと考えられています。

コケ→シダ→維管束植物の順に進化(分岐)した年代が新しいとされていますが、この順番は、より陸上に適応していく過程でもあります。端的に言えば、古いグループ方が乾燥に弱いのです。森の中がコケで覆い尽くされた屋久島なんて、「年400日雨が降る」と言われていますよね。ちなみに「藻類」は、そもそも陸上に上がらなかったグループの一つです。

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コケ植物の多くは湿潤な環境を好む。やんばるにて。

ところが「海草」の仲間は一度陸上に適応したのち、海に戻った変わり者の植物です。哺乳類でいうところのイルカやクジラみたいなイメージでしょうか。

海草藻場を見つけたら

さて、沖縄も海が楽しい季節になりましたが、サンゴ礁や砂浜を歩いていてこのような海草が茂っている場所を見つけたら、なるべく踏まないようにお願いします。多くの人によって踏み荒らされると枯れてしまいますので。

ただ、藻場は生物観察をするならうってつけの場所でもあります。

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カマスベラの幼魚と思われる

分かりますかね?定規に右下にいる緑色の魚。カマスベラという魚食性のベラの幼魚です。

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イッカクガニ Menaethius monoceros

そこそこの大きさの藻場があればたいてい、こんな感じで緑色をした生き物やいろいろな魚の幼魚などが隠れ住んでいます。詳しくはまともな写真が揃ってから特集しようと思いますが、この他にも小型のイカの仲間やモエビの仲間、イソギンチャクの仲間など「藻場」にしか出てこない生き物がわんさかいます。

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(宮崎)

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【番外編】愛媛県に行ってきました、ので愛媛の身近な生物紀行。

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こんにちは、キュリオス沖縄の宮崎です。

愛媛県にいる祖母のもとに親戚が集まるというイベントがあって、愛媛県に行ってまいりました。いや〜、普段からカメラのメモリーの中は生物とか景色ばっかりなのですが、久々にこんなに「人」の写真撮りました。そんな中で少しですが、沖縄にいると出会えない(出会いにくい)生物の写真も撮ってきたのでご紹介します。

まずは祖母の家の近所から。

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アジサイが花盛りでした

愛媛は梅雨真っ盛り…だったのですが、そこは流石に瀬戸内。沖縄よりよっぽど空気が乾いています。久々に体温調節がうまく機能している感じを堪能しました。

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ツチガエル Glandirana rugosa→ヌマガエル Fejervarya kawamurai 

ツチガエルと思っていたのですが、ヌマガエルとのことです(富永先生、ありがとうございます)。

沖縄には近縁種のサキシマヌマガエル Fejervarya sakishimensisが分布します(僕は間違えたツチガエルとは、腹が白いこと、背面のいぼ状突起が小さく滑らかなことなどで区別できます)。

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ドクダミ Houttuynia cordata

いくつかの図鑑では沖縄に分布することになっているのですが、滅多に見ないドクダミ。花は可憐ですが香りは強烈です。葉をもんで鼻につめたら、強烈な臭気とともに少年時代のことをいろいろと思い出しました(葉っぱを顔の前でちぎる、くらいで十分強烈な香りがします)。

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ウメエダシャク Cystidia couaggaria couaggaria

日中からパタパタと飛び回る蛾。羽ばたきは速いのに飛ぶ速度はゆっくりで、これが大量に飛び回っていると何か不吉・不気味な感じがします。ウメやサクラを食草とします。

瀬戸内の海の景色を見るため、しまなみ海道を通って島にも渡ってみました。

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最近、しまなみ海道はサイクリストを呼ぼうと頑張っているみたいですね。あちこちで自転車に乗った集団とすれ違いました。確かに道中の景色は最高だろうなぁ。

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ヤブキリ Tettigonia orientalis

サクラの樹上にいたヤブキリ。キリギリスの仲間の中でも肉食性が強く、アゴや脚に生えた棘がよく発達しています。こちらも沖縄を除く全国に分布。

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アオダイショウ Elaphe climacophora

そしてアオダイショウに遭遇!!これも沖縄では出会えない生き物です。本州・四国・九州では普通ですが、実は日本固有種なんですね〜。

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いつ見ても可愛くていいヘビです。無毒ですが、ヘビの種類を見分ける自信のない人、扱い慣れていない人は捕まえようとしないこと。ヘビの方にに怪我をさせてしまう可能性もあります。

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美しい鱗。よく見るとダニがついてますね。

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アオダイショウのお腹。幅の広い鱗(腹板)に覆われています。多くのヘビは、この腹板を立てたり寝かせたりする運動により前進します。

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横顔がカワイイですね!

という訳で、楽しい四国行でした。

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まるで和菓子のような可愛さ。やんばるの固有種「ナミエガエル」

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沖縄本島の北部の山林「やんばる」には、数多くの固有種(そこにしかいない生き物)の生物が生息しています。その一つがこのナミエガエル。

一見ヒキガエルにも似ていますが、分類学的には全然違う仲間のカエル。クールガエル属という台湾〜東南アジアにかけて生息・繁栄しているカエルのグループに含まれるそうです。

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ナミエガエル Limnonectes namiyei

低地にはおらず、夜間、山の渓流の周辺、それも流れが急ではなく緩やかに広がるような所に好んで集まるそうです。雨の日は活発に活動し、沢の周辺の登山道にまで出てきます。

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森の中で鳴いたり移動したりしている時は、こんな風に前脚を伸ばして堂々と佇んでいます。サイズも♂で10cm超と結構大型になるのでなかなか立派な感じです。

おいおい、こんなカエルのどこがカワイイんだよ…と思った方。

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雨の日のやんばるにて。雨滴が写り込んでいます

ナミエガエルは外敵に気づくと、こんな風に「ぺたん」と座り込んでしまうのです。この姿が最高にキュート!!

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虹彩に十字の模様が入ります

背筋を伸ばして(?)いると結構よく目立ちますが、いったん「伏せ」の体勢をとると、沢沿いの石に紛れて非常に目立ちにくくなります。

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産卵場所の、沢が広がった沼地で鳴いていた♂

繁殖期は4-6月、沖縄でいわゆる「うりずん」と呼ばれる初夏の季節で、この時期に♂は「クォックォックォッ…」と鳴きます。

この仲間のクールガエル属のカエルには、何と♂が下顎に牙(のような突起)を持つものが多く、ナミエガエルもこの牙を持つ…そうなのですが確認したことがありません。なにせ沖縄県の天然記念物に指定されているので、捕まえて口を開けて確かめてみる…というわけにはいかないのです。

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ナミエガエルの幼体。あっ、顔吸血されてますね^^;

あと文句なしにカワイイのが亜成体(オタマジャクシではないが、大人になり切ってもいないカエル)。ナミエガエルに限らずですが、カエルの亜成体は眼が体に対して大きくてキュートです。

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コロコロしていて、なんとなく団子を連想させます。「これは、アンコが入ってるに違いない!」とは友人のF氏談。

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亜成体も礫(れき)に擬態しているのでしょうね。夜間沢沿いを歩いていると、石の色にどうかしていてなかなか気づきません。

このナミエガエルですが、戦前、それから食糧難の戦後にかけては、「ミジワクビチ」(ミジ=水、ワクビチ=大型のカエル)と呼ばれて食料にされていました。大型で肉量が多く、しかも美味しかったそうです。その後、ナミエガエルの生息できるような沢や森の減少にともない、分布域・生息数ともに減少してしまいました(絶滅危惧IB類:EN)。

現在は県の天然記念物で、もちろん捕まえることも食べることもできません。ただ夜の沢に入って、「君、だんごみたいだな。中にアンコ入ってんじゃないか。じゅるり」と言いつつ写真を撮るのは自由です。

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